インデックス投資が人気なワケ
配信日: 2019.01.28 更新日: 2019.07.02
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
http://marketoinfo.fun/
インデックス投資の魅力は手数料の低さ
運用には大きく分けて、インデックス運用とアクティブ運用があります。前者は先に述べた通りですが、後者は、運用者がその知識や経験によって少しでも高いリターンを目指すものです。
どちらが優れているかという議論は昔からありますが、ここ10年ほどはインデックス運用に軍配が上がりつつあります。長期的にインデックスを上回る成績を上げ続けるアクティブ投信は少ないという研究結果が多いためです。
その理由として、アクティブ投信の手数料の高さがよく挙げられます。インデックス投信に比べて分析や調査などにコストがかかるため、手数料が高く、手数料控除後の成績が悪くなりがちだというのです。
昨年から始まったつみたてNISAも、運用対象の約9割がインデックス投信です。金融庁も手数料の安さを重視して運用対象を選別した結果です。またインデックス投資は、特に投資の初心者にとって分かりやすい点も魅力なのでしょう。
インデックス投資には、間違いなくメリットがあります。しかし、弱点はないのでしょうか?弱点も踏まえておけば、インデックス投資をより上手く活用できると思います。以下に、インデックス投資ならではの弱点を考えてみます。
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インデックス投資の弱点とは?
― 市場全体が下がっているときには、絶対損する
インデックス投資は市場平均並みの成績を目指しているので、これは当然と言えます。
アクティブ運用なら、市場平均がマイナスとなっていても、値上がりする、あるいは値を保つと思われる個別銘柄を選び出し、プラスの成績を生み出せる可能性があります。少なくとも、全体の持ち高を減らして損失を限定するなどの調整を図ることができるでしょう。
しかし、インデックス運用には通常それすらできません。また同じ理由から、市場全体が上がっているときに市場平均以上に勝つ可能性もありません。
― 割高な銘柄を更に買い増している可能性も
TOPIXとは、東証1部上場の全銘柄の時価総額を指数化したものです。例えばTOPIXに含まれるある銘柄が値上がりして割高感が出てきても、TOPIX連動のインデックス投信では、新規資金が入るとその銘柄も含めて買わなくてはいけません。
値上がりを続けても買うのを止めないというインデックス投信の買い方は、日常の買い物では余り見かけないものです。ただ値上がりしている裏に正当な買い材料があればいいのですが、インデックス運用ではそれを見極めることはしません。
― 受け身になりすぎる危険
インデックス運用はパッシブ運用とも言われます。パッシブとは「受け身」という意味で、市場の動きに合わせるという手法を表しています。
しかし、受け身が「放置」にならないようには注意したいところです。先に述べた通り、インデックス投資は市場全体が下げているときには抵抗力がなく、また市場が根拠なく過熱しても追随してしまう性格を持っています。
インデックス投資は簡単で効率的な運用手法です。アクティブ運用よりも長期的には成績が良い場合が多いことも先に述べた通りです。
ただ、世界的にインデックス投資の人気が高まり、個別銘柄を吟味しない資金が急増していることは、市場にとって余り健全とは言えません。また、長期的に市場が横這いや低迷状態になりそうなら、その間インデックス投資で利益を上げることはできません。
インデックス投資をしていても、市場動向や経済状況などの大きな流れには注意を払っておくことが、この投資手法のツボだと言えそうです。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー