更新日: 2019.07.02 その他資産運用

1つの資産運用手段である【ソーシャルレンディング】とは

1つの資産運用手段である【ソーシャルレンディング】とは
資産運用の中の1つの手段として、徐々に認知度を高めている「ソーシャルレンディング」。既に取り組まれた経験がある方も少なくないかもしれません。
 
本稿では、そのソーシャルレンディングの内容についてのご紹介と、忘れてはいけない確定申告時の取扱いについて述べていきます。
 
星田直太

執筆者:星田直太(ほしだ なおた)

税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))

一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。

税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。

中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。

「ソーシャルレンディング」とは

ソーシャルレンディング(Social Lending)は、金融の一形態です。お金を借りたい人とお金を運用したい人、それぞれのニーズをインターネット上でマッチングするサービスといえるでしょう。
 
ソーシャルレンディング事業者の1つであるSBIソーシャルレンディング株式会社のWEBサイトによれば、「借手は少ない金利負担でお金を借りられる場所を求めていますし、投資家はリスクを取る分利回りのいい資産運用ができる場所を求めています」とされ、「行われるのは、投資家から集めたお金を借手に貸して運用すること」と説明がされています。
 
比較的小口の出資額から投資をすることができますので、入口のハードルが低く、余剰資金がある人にとっては人気がある資産運用手法といえます。
 

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ソーシャルレンディングの投資形態

ソーシャルレンディングでは、一般的に商法に定められた「匿名組合」(「TK」ともいわれます)という形が用いられますので、以下は匿名組合契約であることを前提に話を進めていきます。
 
この匿名組合契約では、複数の投資家が営業者のために出資を行い、営業者はその受けた出資を運用して利益をあげて、これを投資家に分配するという流れになります。もちろん貸付先によってリスクの程度が異なりますので、投資家は自身の判断でリスクテイクして出資を行う必要があります。
 

分配金と源泉徴収

匿名組合の分配金は、営業者の側において20.42%の源泉徴収を行うこととされています。つまり、投資家が受領する分配金は、20.42%の源泉所得税等が控除された残りの手取り額ということになります(その他の手数料は考慮外とします)。
 

分配金と確定申告

ソーシャルレンディングを行った際に忘れてはいけないのが、確定申告です。匿名組合分配金に係る所得は、原則として投資家側における「雑所得」になります(所得税基本通達36・37共-21、投資家が法人や非居住者である場合を除きます)。
 
雑所得は、他の所得と合算されて所得税額が計算される「総合課税」の対象ですので、源泉徴収されているから確定申告をしなくてもよいというわけではありません。注意が必要です。
 
また、ソーシャルレンディングでは、事業者が時々キャンペーンを行うことがあります。このキャンペーンでは、現金のキャッシュバックやギフト券のプレゼントなどが行われるようです。これは法人からの贈与に該当すると考えられますので、雑所得ではなく「一時所得」として課税がされると考えられます。
 
ただし、一時所得はその計算をする上で特別控除額が50万円ありますので、その年における他の一時所得と合算して50万円を超えた場合に、一時所得課税が生ずることになるでしょう。
 

所得税等の確定申告が不要の場合

例えば、給与を1か所からもらっていて、その給与が年2千万円以下かつ源泉徴収が行われており、その年におけるソーシャルレンディングによる分配金が20万円以下であった場合は、他に所得がなければ所得税・復興特別所得税の確定申告は不要になります(ご自身が確定申告不要制度に該当するかどうかは、国税庁のWEBサイト等で確認をしてみてください)。
 
一方で、所得税・復興特別所得税の確定申告が不要であっても住民税の確定申告は必要になりますので、注意をしてください。
 
投資を始める際の敷居が比較的低く、投資内容としても面白味があることから、最近注目されているソーシャルレンディングですが、税務上は留意すべき点が何点かあることがお分かりいただけたでしょうか。
 
確定申告シーズンでもありますので、申告漏れが無いように注意したいものです。この時期には、税務署や税理士会が各地で確定申告無料相談会を開催していますので、確定申告について不安な方は、そのような相談会に相談してみるのも良いかもしれませんね。
 
執筆者:星田直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
 

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