NISAの生涯投資枠「1800万円」をフル活用!枠を最大限に生かす賢い活用術とは
配信日: 2025.01.29
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ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
非課税保有限度額(生涯投資枠)とは
図表1は、新NISAの概要をまとめたものです。
図表1
金融庁「NISA特設ウェブサイト NISAを知る」(※2)に基づき筆者が作成
新NISAでは、年間投資枠が「つみたて投資枠」120万円、「成長投資枠」240万円の合計360万円となり、非課税保有限度額(生涯投資枠)は1800万円となっています。
生涯投資枠1800万円は、すべてつみたて投資枠として使用できますが、成長投資枠は、内数で1200万円が上限となっています。また、2023年までの旧NISAでの保有額は、2024年からの新NISAの生涯投資枠1800万円の外枠で管理されます。
生涯投資枠1800万円は、購入時価額で非課税投資枠が管理されます。したがって、仮に成長投資枠において200万円で購入した株が300万円になった場合でも、成長投資枠の残高は200万円となり、なお40万円の非課税投資枠があることになります。
年間投資枠360万円を毎年フルに利用した場合は、最速で1800万円の非課税保有限度に達するのは5年後ということになります。
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生涯投資枠の再利用
生涯投資枠は、再利用できることになっていますが、再利用する場合は、2つのケースが考えられます。
●生涯投資枠が1800万円の非課税保有限度に達した場合
●NISA口座内の株式や投資信託等を売却した場合
生涯投資枠が1800万円の非課税保有限度に達した場合
生涯投資枠が1800万円に達した場合は、保有の株式や投資信託等を売却することによって、生涯投資枠を再利用することができます。
例えば、取得価額300万円の株式を400万円(売却時時価)で売却した場合は、300万円の生涯投資枠が復活します。この場合、復活する生涯投資枠は取得価額の300万円であることには注意が必要です。したがって、取得価額300万円の株式を売却時時価240万円で売却した場合だと、復活するのは300万円です。
これらの場合、復活した生涯投資枠が利用できるのは、売却した翌年になります。また、翌年の年間NISA投資枠は、復活した生涯投資枠を含めて年間360万円(つみたて120万円、成長枠240万円)になりますが、今回の場合は売却した株式等の取得額の300万円になります。
NISA口座内の株式や投資信託等を売却した場合
仮に、生涯投資枠を720万円まで利用した時点で、利益確定(または損切)のため取得価額200万円の株式や投資信託等を時価の300万円で売却した場合は、翌年の年間投資枠は360万円のままです。生涯投資枠の残高は、1080万円から1280万円に増え、この分の生涯投資枠が活用できるのは、将来になります(1800万円に達する時点)。
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生涯投資枠の中でのつみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
NISAの制度自体が、新規に投資運用を始める人がリスク度の低い金融庁の基準に合った投資信託から始めて、長期間積み立てることによって生涯投資枠までの金融資産を保有できることを重点に設計されています。その金融資産を築くためには、生涯投資枠をフル活用したいところです。枠を使い切るための方法には、次のようなものがあります。
つみたて投資枠の使い切りの方法
つみたてNISAの金額は、毎月の収入(給料)から一定額を積み立てるので、年間120万円の投資枠に対して、「毎月10万円を積み立てている」という人よりは、数万円程度を積み立てている人が多いと思われます。
このような場合は、その年の収支に余裕が出ると想定されるときに、ボーナス月の金額を変更することによって、つみたて投資枠を120万円に近づけることが可能です。
つまり年間投資枠は、「毎月の積立額 × 12ヶ月+ボーナス月の増額 = 120万円」と計算されます。例えば、毎月3万円の12ヶ月分36万円 + 1回目のボーナス20万円 + 2回目のボーナス64万円で合計120万円のようになります。
つみたて投資枠と成長投資枠を併用して年間投資枠360万円を使う
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円あります。
例えば、初年度はつみたてNISAだけで運用し、金融商品への知識を深めた後、2年目から成長枠投資で株式・ETF・REITなどへ運用商品を広げるような場合があります。
このような場合は、収入に余裕があればその一部について、成長投資枠を使って株式や投資信託等への投資に振り向けるほか、保有の普通預金や定期預金を投資に切り替えることも考えられます。
ただし、株式・投資信託・ETF・REIT等は、元本保証のないリスク商品であることを十分理解したうえでの運用が大切です。
終わりに
NISA枠を上手に使いこなすには、多少の知識と年間での投資枠や生涯投資枠を考えた対応が必要です。また、生涯投資枠をフルに生かすためには、リスク資産全体での比率を考えながらNISA枠外の金融資産(株式・投資信託等含む)の計画的な移行も大事です。
出典
(※1)日本証券業協会 NISA 口座の開設・利用状況調査結果
(※2)金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP