金利が上がっているので、金利上昇のメリットを受けられる金融商品に投資したいと思います。元本が保証される商品はありますか?
配信日: 2025.02.09


執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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個人向け国債(変動金利型10年)
個人向け国債は、個人の方のみが購入できる利付国債です。証券会社、銀行などの金融機関や郵便局の窓口やインターネットで、国債専用の口座を開設して購入できます。
「変動10年」と「固定5年」「固定3年」の3タイプが、毎月発行されています。このうち、変動10年は、半年ごとに利率が見直され、債券市場の動向に応じた資産運用が可能です。さらに、市場金利が下がった場合でも、最低年0.05%の利率が保証されています。
1万円から1万円単位で購入でき、1回の購入金額や年間の総購入総額に制限はありません。
通常、利付国債などの債券を満期前に売却すると、元本より高く売却ができて利益が出ることもある一方で、価格が下がって元本を下回り損失が発生することもあります。しかし、経済環境などにより実勢金利が変動した場合も、個人向け国債は元本部分の価格変動はしないため元本割れのリスクはありません。この点が、通常の債券と異なる大きな特徴です。
個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを保証しているので安心です。万一、口座を開設している金融機関が破綻した場合でも、その権利は保護されますので、元本や利子の支払いを受けられます。
中途換金のシミュレーション
個人向け国債は、発行後1年を経過すれば、満期前にいつでも額面1万円単位で中途換金することが可能です。ただし中途換金の場合、「直前2回分の各利子×0.79685」が中途調整換金額として差し引かれます。中途換金(買取請求)する場合の受取金額は、次の計算式から求められます。
個人向け国債を中途換金した場合の受取金額=額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額
例えば、下記の個人向け国債(変動金利型10年)を新規に購入して、2年3ヶ月(90日)後に中途換金をした場合の経過利子相当額および中途換金調整額、中途換金受取金額を計算してみましょう。
・額面:100万円
・基準金利(適用利率=基準金利×0.66)
第1回利払時:0.49%(0.32%)
第2回利払時:0.59%(0.39%)
第3回利払時:0.74%(0.49%)
第4回利払時:0.93%(0.61%)
中途換金時:0.93%
購入後2年間の受取利子は、次のようになります。
第1回利払時の受取利子:100万円×0.32%×0.5(6/12)×0.79685≒1275円
第2回利払時の受取利子:100万円×0.39%×0.5×0.79685≒1554円
第3回利払時の受取利子:100万円×0.49%×0.5×0.79685≒1952円
第4回利払時の受取利子:100万円×0.61%×0.5×0.79685≒2430円
次に、経過利子相当額を求めましょう。経過利子相当額とは、前回利子を受け取った日から中途換金日までの利子を日割りで計算したものをいいます。これには課税されません。
経過利子相当額=100万円×0.61%×90日/365日≒1504円
最後に、中途換金受取金額を求めます。中途調整換金額として、直前2回分の受取利子が差し引かれます。
中途換金受取金額=100万円+1504円−4282円(=1952円+2430円)=99万7222円
一見、元本割れしているようですが、すでに受け取り済みの利子を合わせると、100万51円となります。
出典
財務省 「変動10年」商品概要
財務省 個人向け国債 中途換金シミュレーション
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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