日経平均が暴落したときに役立つ指標_PBRとは
配信日: 2019.03.02 更新日: 2019.06.19
しかし、パナソニックや三菱電機などの企業は2019年3月期予想を下方修正しており、「2020年3月期の業績は良くないのでは?」という投資家の予想が優勢です。
上値が抑えられる中、何かのきっかけで日経平均が大きく下がる可能性も考えられます。大きく下がったときは、逆張りの個人投資家にとって株式購入のチャンスになります。
できれば1番安いところでうまく買いたいものですが、どのくらい下がったら底値と言えるのでしょうか?そこで役立つのがPBRという指標です。
執筆者:大堀貴子(おおほり たかこ)
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員
2008年南山大学法学部法律学科卒業後、大手証券会社で、営業として勤務。主人のタイ赴任がきまり、退社。3年間の在タイ中、2人をタイで出産、子育てする。本帰国後、日本で3人目を出産。現在、3人の子育てと長女の国立小学校受験に奮闘中。子供への早期教育の多額の出費、住宅ローン、子供の学資資金、また老後資金準備のため、いろいろな制度を使って、資産運用をしています。実際の経験を踏まえた、お金に関する、役立つ情報を発信していきたいと思います。
PBRとは?
PBRとは、Price Book -value Ratioの略で、株価純資産倍率とも言います。ある企業の市場価値(時価総額=株価×発行済株式数)が、会計上の解散価値である純資産の何倍であるかを表す指標です。
純資産は自己資本とも呼ばれ、会社の資産総額から負債総額を差し引いた金額を言い、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」に分類されます。
このうち、株主資本とは、純資産のうちの株主からの出資金と会社がこれまで稼いだ利益の配当金を支払った後に残る内部留保の累計額です。
PBR=株価÷1株あたりの純資産(BPS)=時価総額÷純資産
例えばパナソニック(銘柄コード6752)で計算してみます。
PBR=株価1061(2019年2月4日終値)÷775.78(BPS)=1.37倍
計算式に利益の要素が入っていないため、株価がどのぐらい上がるのかという目安にはなりません。しかし、PBRが1倍を割り込むと、株を全て買って、企業の純資産を全て売却すれば儲かります。そのため、1倍がちょうど解散価値となり、1倍を割り込むことはめったにありません。
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日経平均暴落時には1倍を割り込むことも?
世界経済に不安要素があり、日経平均が大きく下がってしまい、疑心暗鬼になっているような経済状況においては、企業の価値よりも不安な背景が先行して、PBRが1倍を割るようなことがあります。
そんなときに、冷静に買うと将来大きく上がる可能性があります。
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過去、1倍を下回ったときは?
過去に1倍を下回ったときの例を、パナソニック(6752)で見てみます。
ここ最近のパナソニックは、2017年に1800円近くまで上がりましたが、2018年は1000円を割り込むまで下がっており、現在1061円です(2019年2月4日終値)。
■パナソニック(6752)
・過去20年間で、結果的に底値となった水準、平成24年11月5日終値388円
(株主資本1,149,631百万、期末発行済株式数2,453,053,497株、期末自己株式数141,368,990)
1株あたりの株主資本=1,149,631百万÷(2,453,053,497-141,368,990)=497.31
PBR=388÷497.31=0.78倍※
・過去5年間での安値、平成28年2月12日終値801.7円
(株主資本1,928,619百万円、期末発行済株式数2,453,053,497株、期末自己株式132,183,321株)
1株あたりの株主資本=1,928,619百万円=(2,453,053,497-132,183,321)=830.99
PBR=801.7÷830.99=0.965倍
このように、1倍を下回るような株価は、企業価値よりも売られ過ぎる傾向にあります。その後、市場が落ち着けば見直し買いが入る可能性が高く、底値になることが多くなっています。
しかし、注意しなければいけないのは、債務超過になりそうなときや、赤字幅が拡大して持ち直せそうにないときです。このような場合は、株価が戻らないこともあります。
株価が暴落しているときは冷静にPBRに注目
経済不安が起きていて、日経平均が大きく下がっているときは、良い株も売られ過ぎてしまうことがあります。
そんなときは冷静にPBRを見ましょう。1倍を割っている、もしくは1倍に近くなっていれば、底値で買えることもあるかと思います。
出典※平成28年2月3日発表 平成28年3月期 第3四半期決算短信
執筆者:大堀貴子(おおほり たかこ)
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員