更新日: 2019.01.08 その他資産運用

〈柴沼投資塾〉時事ネタ編⑨ 時には休みも必要

〈柴沼投資塾〉時事ネタ編⑨ 時には休みも必要
 通常夏枯れといって、金融相場では市場参加者の夏休みにより大きく上下するような要因があまり見当たらないことが多く、相場関係者などは仕事にならないといわれます。相場関係者が相場を離れれば、相場を動かす主体も手薄になるため、ちょっとしたニュースなどで大きく値を崩す可能性はあるものの、基本的に方向感に乏しくなります。このような時期はどのようにして過ごすか、ということについて触れたいと思います。
 
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

夏休みはみんなといっしょに休みましょう

 

 市場参加者のうち、主に市場を動かしている機関投資家が休みになりますし、方向性を左右するヘッジファンドも2週間ほどの夏休みをとります。参加者が少なくなるタイミングで政治的なニュースやテロ関連などのニュースが出ると、いつも以上に大きく下がることもあります。

ですが、こういう時に慌てる必要は全くないのです。まず、大きな市場を動かす主体が不在なのですから、方向性は定まりません。再三お伝えしているように、マスコミで報道されるニュースで反応する相場は短ければ3日間、長くても2週間ほどで、本来の「稼ぐ力、成長力」に裏打ちされた市場の動きに回帰しますから、放っておくに限ります。無責任なコメントととられるかもしれませんが、ジタバタするだけ手数料を証券会社にプレゼントしているようなものです。例えばFXのように瞬発力が求められるような市場で、収益を獲得する機会は増えるかもしれませんが、逆にやられる危険性も高いので、取引高が薄いときに動くのはお勧めしません。

 

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スマホラリーだけでは長続きは期待薄

 

 今年のテーマは年初からAI(人工知能)IoT(インターネットオブシングス)です。その大きな理由の1つとして、働き手が減少することによる人手不足を補うための省力化投資、もう一つが新型iPhone発売に伴う関連商品や関連業種への増収増益期待、そして最後にこれまでインデクス投資で利益成長力よりもインデクスに含まれているものを平準的に買う(投資すること)ことの必要性から、食品などの消費財に資金が過度に集中していたことからの反動によるものです。

 

 これは一巡したかとみられていますが、それでもNYダウにおけるアップルや日本におけるアップルのiPhone関連のファナックなどの異常な上げを見ていると、「本当に材料に乏しい」と言わざるを得ません。本来であれば、経済が循環的な成長を示し、その中で特に世の中が注目し需要が盛り上がりそうな業種やさらに言えば特定の銘柄(会社)に投資されるものです。そしてその業種や特定銘柄はローテーションで循環しながら上方スパイラルを描き全体を引き上げていくというのが理想の形ですが、今年は「アップル」「AI」でほとんど説明できています。現にNY株が大きく下げ、それを受けて翌日の東京市場が調整する時というのは、決まってアップル株などが高値警戒感から利益確定売りに押されて下がったという理由です。アップルを買って上昇を待ち、上昇したら利益確定して、下がったらまた買うという、極端な言い方をすればごく限られた銘柄だけに依存したラリー(上昇相場)です。

 

トランプ青写真がどこまで現実的になるかを静かに見極める

 

 ここまでで、この夏はあまりに相場のテーマが偏りすぎているので、一休みしましょうとお伝えしましたが、いよいよ8月も終わりになって相場参加者が市場に戻ってきてからのことを少し頭にいれておきましょう。

 

 後半は、今まで辛口に評されているトランプ政権の求心力、政策運営能力に注力することになると思います。トランプ大統領が選挙戦で勝利した直後に打ち上げた大減税や大規模インフラ投資がどこまで現実のものとなるのか、が相場の先行きを占ううえで重要になります。10月からは本格的なトランプ政権が始動しますから、待ったなしです。幸か不幸か、本邦の政治基盤が今までになく揺らいでいるために、ラリー(上昇相場)に乗り遅れないように見切り発車、お手付き発車も必要になるというシナリオは崩れていますから、客観的に上げなのか下げなのか冷静に見極める時間的余裕が、我々個人投資家にはできたようです。焦らずに政策運営の行方を見極めてからでも遅くはなさそうですね。

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