【S&P500】買い時、売り時はいつなのか? 2025年1月20日時点のチャートで分析してみた
配信日: 2025.04.01 更新日: 2025.04.02

そこで今回は、チャートのテクニカル分析に加え、移動平均線やフィボナッチ・リトレースメント、RSIといった各種指標から相場の現状を多角的に読み解きます。さらに、急騰・じわ上げ・もみ合い・下落といった4つのシナリオに応じたトレード戦略も整理します。

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U
チャート環境の確認
まず、チャート環境の確認です。
図表1 S&P500(日足)
※TradingView提供(解説を目的に使用しております)
(1)水平線(上値抵抗線と下値支持線)を引く
現在、S&P500はおおよそ6100ポイントの水準に位置しています。この水準は前回と前々回の高値を取っており、また、昨年の12月高値と近い水準であるため、この水準に水平線を引きます。この水準が軸になります。
次に、上昇する場合のめどとして上値抵抗線を引きます。この場合、切りのよい数字である6200ポイントと6300ポイントが上値抵抗線になります。
これに対し下落する場合、下げのめどとして下値支持線も引きます。現状では、下値支持線の水準は、6000ポイント、5900ポイント手前、5800ポイント手前、5700ポイント手前の4つです。
(2)上値と下値のトレンドラインを引く
次に、上値と下値のトレンドラインを引きます。引き方は、チャート画面で描いているとおりです。上値のトレンドラインは高値と高値で結ばれる線、下値のトレンドラインは下値と下値で結ばれる線です。
(3)移動平均線の位置を確認する
そして、移動平均線の位置を確認します。ここでは50日移動平均線(太い紫色のライン)が6000ポイントの水準に位置していることを確認します。また、200日移動平均線(太い紺色のライン)が5700手前の水準にあることも確認します。
(4)フィボナッチ・リトレースメントを描く
フィボナッチ・リトレースメントは、上値の余地と下値の余地を探るために用いる、テクニカル分析ツールです。これはエリオット波動理論の考え方に基づいているため、使いこなすには練度を高める必要がありますが、今回は短期的な上昇のめどを測るために、1月13日から1月24日の上昇幅と同じ長さを、2月4日の安値から伸ばしています。
この場合、上値のめどとして、6100ポイント(0.5)、6150ポイント(0.618)、6200ポイント(0.786)、6300ポイント手前(1.00)の水準があげられます。仮に上昇する場合、理論的には6300ポイント手前までの上昇が確率的に最も高いことが予想されるため、ここを「天井」と推定します。
天井をつけると予測する場合、今度はどこまで下がるかを測ります。ここでもフィボナッチ・リトレースメントを引いていきますが、下げのめどとして、6000ポイント、5800ポイント、5700ポイントの3つの水準が候補になります。
今の相場はかなり割高感があるため、これらの水準を「短期的な下げのめど」といったん捉えます。調整(この場合は下落)が深まる場合は、さらに下の候補値を視野に入れておきます。
(5)インジケーターを確認する
チャート画面に表示しているのは「RSI」と呼ばれる割高感・割安感を示すインジケーターです。この時点では極端に割高にはなっていませんが、割高寄りに位置しています。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
総合評価
(1)テクニカル的な判断
今のような波形の場合、パターンとして「(1)急騰する」「(2)徐々に上昇する」「(3)もみ合う」「(4)下落する」の4つの軌道をイメージできます。可能性が高いのは(1)と(2)ですが、(1)急騰する場合、その後、急落する可能性が高いので注意が必要である、と考えます。
(2)徐々に上昇する場合は、じわじわと値を切り上げていくため、そのスピードに合わせるようにトレードしていきます。ただし、この場合も割高感が伴うため、下げるときは「投資家の逃げ足は速い」と考え、急落に備えます。
また、(3)もみ合う場合は、現在の水準が強い抵抗となり、上値を追うことが難しくなる可能性が高まることから、目線を下に切り替えることが必要になります。この場合、利益確定の判断を伴いますが、この時点では6000ポイントの水準が損切りラインとなっています。
(4)の下落する場合とは、「5900ポイントの水準を下回って下落する場合」ということです。この場合、今の水準が天井になる可能性が高まるため、即座に損切りに動きます。この場合、むろん損切りラインは5900ポイントの水準です。このとき、下落のスピードと幅を確認しながら判断します。
(2)ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)的な判断
今のような相場環境は、非常に難しい状況にあると考えます。
現時点ではちょうど「ウクライナ戦争が終結に向かう」という段階にあるため、マーケットは戦争終結に向けた動きを示します。また、第2次トランプ政権における関税引き上げへの警戒心が強く、日銀の金利引き上げによる円高圧力も加わり、国内の投資家が米国株投資をする場合、相場の変動要因が複雑に絡み合っているように映ります。
このようなことから、常に下落への警戒感を意識しながらトレードを行っていく必要があります。このとき参考となる指標は、アメリカの株価指数以外では、原油、金、米10年物国債利回り、ドルインデックス、ドル/円、DAX(ドイツの株価指数)、ビットコインなどです。これらの指数を参考にしながら、総合的に投資判断をしていきます。
【PR】SBI証券
どこで入って、どこで降りる?
今から入る場合、トレードは短期で終わらせる必要があります。このため、今の水準を上抜けする場合、「入ってすぐに降りる」という視点を持っておく必要があります。
また、上抜けせず、もみ合う、もしくは下落する場合、下げのスピードと幅を確認しながら、いつでも降りる準備をしておく必要が出てきます。このとき、欲を出して今から入ろうとはしないと決めておくことも必要かもしれません。なぜならば、大きく調整(下落)する可能性があるからです。
まとめ
著名な投資家であるウォーレン・バフェットが、保有しているS&P500に連動するETF(上場投資信託)をすべて売却した、と報道されています。これは、彼が長期的に見て「S&P500がかなり割高な水準にある」と判断しているからだろうといわれています。
彼が売却したETFの比率は、ポートフォリオ全体の0.5%だそうですが、これは彼がインデックス投資よりも個別株投資にシフトしたことを意味します。つまり、相場の下落局面を見越し、インデックス投資で被る可能性のある損失を極力抑え、長期で安定的に推移する銘柄を物色することで、下落局面に耐えようとしていることが分かります。
日本では、NISA(少額投資非課税制度)を利用する個人投資家が増え、長期投資を前提にインデックス投資が人気を集めていますが、長期投資でも損失を被るリスク(不確実性)は当然あります。長期投資で重要なのは、その時代時代で世界情勢がどのように変化するかを観察することです。
投資は変化を観察し、対応するゲームでもあります。このような局面だからこそ、ちまたでまことしやかにいわれる「S&P500一択」という文言には惑わされず、しっかりと分散投資を図っていくようにしましょう。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)