先日40歳の誕生日を迎え、60歳までに「老後資金」を用意できるか心配になってきました。40代から「月1万円」で「NISA」を始めても無駄でしょうか…?
配信日: 2025.05.21

本記事では老後資金のひとつの目安となる金額と、NISAのシミュレーション結果を交えて解説します。

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定年後に必要な「老後資金」のひとつの目安は「1200万円以上」
老後資金の目安のひとつとして「老後2000万円問題」という言葉が取り沙汰されて久しいですが、この金額は根拠となった総務省統計局の「家計調査」の収支バランスとともに、年々変化している点に注意する必要があるかもしれません。
例えば2019年の「家計調査年報(家計収支編)」では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支は月に3万3269円の赤字であったのに対し、翌2020年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支では1111円の黒字に転じており、対象となっている夫婦世帯の年齢に違いはあるものの、2020年の結果だけ見れば貯蓄はほとんど不要に近い計算となってしまいます。
より新しい調査結果を参照してみると、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、可処分所得22万2462円に対し消費支出は25万6521円で、月に約3万4000円、30年でおよそ1224万円が不足する計算となります。
概算ではありますが、2024年時点での「老後2000万円問題」は「老後1200万円問題」になるといえそうです。
40代からNISAを始めて「月1万円の積み立て」だと「老後資金」が不足する可能性も
NISAは、例えば年齢によって保険料率の変化する「生命保険」などとは異なり「遅く始めたために金利などの条件が不利になる」ということはありません。しかしながら、生涯に積み立てられる回数や期間の差が、運用後の金額に直結するのも確かです。
金融庁のNISA特設ウェブサイト「つみたてシミュレーター」を利用した試算によれば、「年間想定利回り3%」とした時、「月1万円」を「40歳から60歳までの20年間」積み立てた場合、運用後の試算結果は「328万円」となっています。
参考までに、同じ年間想定利回りおよび期間で目標金額を「1200万円」として資産形成したい場合、上記のシミュレーターでは「月3万6552円」の積立金額が必要となります。期間中の利回りの上下や、ある程度金額に余裕を持たせることも考慮すると、月4万円程度は積み立てられるとベターかもしれません。
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とはいえ無理は禁物! 「長期・積立・分散」を意識し少額でも続けることが重要
「月4万円は難しい」という場合でも、少額からNISAを始めておくことは無駄ではありません。
NISAの基本的なメリットは、長期投資による「複利効果」、積立投資・分散投資による「リスク低減」が主軸です。これらを意識して資産運用を行う場合、たとえ少額からであっても長く積み立てを続けた方が「複利による元本の増加」「リスク低減」の両方のメリットを享受しやすくなる可能性が高まります。
100円からでも積み立てを始められ、いつでも積立金額を変更できる点を考慮すれば、年齢を理由にNISAを資産形成の選択肢から外す必要はないといえるでしょう。
まとめ
40歳から月1万円の積立金額でNISAを始めるのは、決して遅くも無駄でもありませんが、老後の資産形成としてはもう少し金額を増やすと安心できるかもしれません。幸い積立金額はいつでも変更可能ですので、長期・積立・分散投資のメリットを生かすためにも、ご自身の収支状況に合わせ、まずは無理のない範囲で毎月積み立てられるとよいでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 高齢無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 高齢夫婦無職世帯の家計収支 -2019年-(18ページ)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2020年-(18ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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