「アメリカの関税措置」の影響で株価の変動が心配です…。「NISA」をやめて「貯蓄」にまわすべきでしょうか?

配信日: 2025.06.02 更新日: 2025.06.26
この記事は約 3 分で読めます。
「アメリカの関税措置」の影響で株価の変動が心配です…。「NISA」をやめて「貯蓄」にまわすべきでしょうか?
将来を見据えた資産形成を始めて日が浅い、またはこれから始めようという段階で大きな株価の変動を目の当たりにすれば、投資に対して不安を抱くのも無理のない話です。本記事では、NISAの基本的な特徴とともに、評価額の大きな下落があった際に損切りすべきかどうかについても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

「アメリカの相互関税」の影響で株価は乱高下

広く用いられる株価の1つである「日経平均株価」を参考に、株価の変動を見てみましょう。日経平均株価は2025年3月10日時点での終値が「3万7028円」でしたが、アメリカの相互関税措置が発動された4月9日の終値は「3万1714円」まで急落しました。
 
しかしその後、一部を除き報復措置を取らない国に対して「90日間の相互関税停止」が発表されると株価は回復傾向に入り、4月30日時点での終値は4月1日終値の「3万5624円」と同等まで上昇しています。
 
とはいえ関税停止が一時的な措置であることから、世界的な景気後退リスクへの懸念は払拭しきれない状況といえますので、今後も市場の動向を注視する必要があるでしょう。
 

「NISA」は短期的な株価の下落にあわせて損切りすべきでない

さて、NISAに限っていえば、このような株価の乱高下に影響されての損切りはあまりおすすめできません。というのも、そもそもNISAは「少額投資非課税制度」であり、長期的な資産形成を有利に進めるための「長期投資」「積立投資」「分散投資」を主軸とした制度です。NISAにおけるそれぞれの用語の概要は以下のようなものになります。
 

・長期投資

元本に投資で得られた収益をプラスしていくことで運用できる原資を徐々に増やす「複利効果」により、安定した利益率を目指す方法です。
 

・積立投資

値動きが発生する投資商品に対し、決まった額を毎月積み立てる形式で投資することにより、安い時に買い逃したり、高い時にだけ買ってしまったりといったリスクを防ぐことができる方法です。
 

・分散投資

値動きが異なる複数の投資先が含まれる投資商品を購入する事で、価格の変動リスクをある程度抑えて安定した運用を目指す方法です。
 

「NISA」が短期売買に不向きな理由

NISAで購入可能な銘柄は各金融機関・証券会社によって異なりますが、特につみたてNISAにおいては中長期向け商品が散見されます。
 
こうした商品は、先ほどご説明した長期投資による「複利効果」と、積立投資・分散投資による「リスク分散」を主眼に置くものです。投資商品に含まれる1つの投資先の値動きに対して短絡的に損切りしてしまうと、これらのNISAの基本的なメリットを打ち消してしまう可能性があります。
 
また金融庁によると、NISA口座は年間投資枠に上限があり「つみたて投資枠120万円」「成長投資枠240万円」と定められているため、損切りからの購入を繰り返しているとすぐに上限に達してしまう点でも短期売買に不向きだといえるでしょう。
 
さらに、NISA口座では受け取った配当・分配金に対して非課税となるのが大きなメリットの1つですが、対して損益通算や繰越控除といった「大きな利益と損失の両方が発生しうる場合に活用したい税制優遇」は受けることができません。
 
これらのことから、頻繁に「損切り」が必要となりうる短期売買を行う場合には、NISA口座よりもむしろ一般口座・特定口座といった課税口座の利用が向いているといえるでしょう。
 

まとめ

関税措置の例に限らず、株価その他の値動きが発生しうる要因は無数に存在しますが、NISAはそうしたリスクを可能な限り低減したうえで、資産運用を長期間続けるための制度といえます。貯蓄に回すのはひとつの選択ではあるものの、もし既にある程度の金額をNISAで積み立てているのであれば、長い目で見守るのがよいかもしれません。
 

出典

金融庁 NISAを知る
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問