「金が最高値を更新した」とニュースで見ました。銀行預金だけでは不安な場合、“金”に変えたほうがいいのでしょうか?
ただし、金にはメリットだけでなくデメリットもあるため、持っていれば安心という単純なものではないのです。
そこで記事では、金投資の特徴を整理し、資産運用のなかでどのように位置づけるべきかを考えていきます。
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金が注目される背景
近年、金価格は上昇傾向が続いており、2024年以降も歴史的な最高値を更新する動きが相次いでいます。その背景には、いくつかの要因が絡んでいます。
まず一つは、世界的なインフレの進行です。物価が上がると紙幣の価値が下がり、現金の実質的な価値が目減りするため、価値の保存手段として「金」が注目され、需要が高まっています。
次に、国際情勢の不安定化も重要な要因です。紛争や金融市場の混乱が起こると、株式や通貨の価値が大きく揺れることがあり、現物資産である金は投資家から高い信頼を得ています。さらに、多くの国の中央銀行が外貨準備の一部として金の保有を増やしていることも価格上昇に寄与しています。
これらの背景から見えるのは、金の価格上昇は単なる投機的な動きではなく、世界経済や金融市場における不安心理を反映した現象といえるでしょう。
金投資のメリット
金に資産の一部を振り向けることには、いくつかのメリットがあります。
第一に、インフレに対する耐性です。世界的な物価上昇により通貨の価値が下がるなか、金は歴史的に価値を維持しやすい実物資産として評価されており、購買力の目減りを防ぐ手段として役立ちます。
第二に、資産分散の効果があげられます。金は株式や債券と異なる値動きを示すことが多く、ポートフォリオ全体のリスクを軽減し、安定化に寄与することが期待されています。
また、金は世界中の市場で広く取引されており、換金性が高い点も魅力です。金融機関の経営破綻などの際にも、現物資産としての価値を持ち続けることから、「資産防衛の保険」としての役割も担います。こうした理由から個人投資家にとどまらず、多くの国の中央銀行や機関投資家も一定割合で金を保有しています。
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金投資のデメリットと注意点
一方で、金投資にはいくつかの注意すべき点もあります。
まず、最大の特徴は金自体が利息や配当を生まないということです。株や債券のような保有するだけで収益が期待できる金融商品とは異なり、金の投資は価格変動による値上がり益に依存します。
また、価格変動が大きい点もデメリットです。過去には数年単位で大幅に価格が下落したこともあり、高値で買ってしまった場合には含み損を抱えるリスクがあります。現物を保有する場合は、盗難や紛失リスクを考慮し、保管コストや売買手数料も加味しなければなりません。
さらに、金は国際的に米ドル建てで取引されるため、円建てで購入する場合は為替相場の影響も受けます。円高が進むと、実際の金価格に変化がなくても円換算で価格が下落する場合がある点に注意が必要です。
これらの理由から、金は絶対安心な資産とは言い切れず、資産全体の一部に組み入れる形で保有することが一般的に推奨されています。
銀行預金だけでは不安な人が考えるべき選択肢
銀行預金は元本が保証され、流動性も高いため安心感がありますが、2024~2025年のような超低金利の状況では資産がほとんど期待できません。さらに物価上昇(インフレ)が進むと、実質的には資産価値が目減りする可能性があります。そのため、「預金だけでは資産保全に不安を感じる」という人が増加傾向にあります。
こうした状況では、資産の一部を金に振り向けて株式や債券、投資信託と組み合わせる分散投資を検討するのが一つの方法です。金を現物で持つことが不安な人は、金価格に連動するETFや投資信託を利用する方法もあります。
重要なのは、資産全体のなかで金をどの程度組み入れるかというバランスです。全額を金に換えるのではなく、生活資金や将来の資金ニーズに応じて適切に配分することで、安心感を確保しつつリスクを抑えることができます。
金を資産防衛の選択肢として考えてみよう
金価格の最高値更新は、世界の経済的な不安定さや地政学的リスクの高まりを反映しているといえます。銀行預金は元本保証や流動性の面で安心ですが、インフレや超低金利環境下では資産の実質価値が目減りしやすいため、資産防衛のために金を含めた分散投資が有効な手段の一つとなります。
ただし、金は利息や配当を生まず、価格の変動も大きいため、万能な資産とはいえません。
大切なのは、金を含めた複数の資産でバランスを取ることであり、自身のリスク許容度や目的に応じた適切な配分が望まれます。預金のみでは不安と感じる場合は、まず少額から金を取り入れてみることを検討し、資産を守る一歩を踏み出しましょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
