銀行や証券会社から「資産承継用の信託商品」を提案されます。手数料が高く感じる一方、「資産家ならやっておくべき」とも言われました。本当に商品型信託に頼るべきでしょうか?
「資産家ならやっておくべき」と言われると不安になりますが、信託は万能ではなく、目的や家族状況によって向き不向きがはっきり分かれます。ここでは商品型信託の特徴と注意点、代替策まで整理します。
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目次
商品型の「資産承継信託」とは? メリットの整理
銀行や証券会社が提案する資産承継用の信託商品は、一般に「家族に資産を残す流れ」を仕組みとして整えるものです。例えば、親の判断能力が低下しても、受益者(資産を受け取る人)に一定の条件でお金を渡せるよう設計でき、家族の管理負担を減らせる点は魅力です。
また、遺言では難しい「段階的に渡す」「子の配偶者に渡さない」などの意図を、契約内容に落とし込めるケースもあります。相続発生後の手続きを一部シンプルにしやすい点は、資産規模が大きい家庭ほどメリットになり得ます。
国立長寿医療研究センターによると、年齢が上がるにつれて認知症の有病率は増加傾向にあります。判断能力が低下する前に、資産承継信託などを活用する人が増えています。
手数料が高く感じる理由と、見落としやすいコスト
商品型信託の費用が高く感じられるのは、契約時の設定費用だけでなく、管理報酬や信託監督人・受託者関連のコストが重なることがあるためです。
さらに、信託財産の運用がセットになっているタイプでは、信託報酬に加え運用商品側のコストがかかり、総費用が見えにくくなる場合もあります。
提案時に「相続対策として有効」と強調されても、費用に対して得られる効果が十分かは家庭ごとに異なります。特に、相続人が少なくもめにくい家族構成なら、信託でなくても同程度の目的を達成できる可能性があります。
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「資産家なら必須」は本当? 向いているケースと向かないケース
商品型信託が向きやすいのは、資産額だけでなく「承継の難しさ」がある家庭です。例えば、家族に判断能力の低下が心配な人がいる、子どもが未成年・浪費傾向がある、再婚で相続関係が複雑など、遺言や通常の相続だけでは意図通りに運びにくい場合は検討価値があります。
一方で、資産の種類がシンプルで、相続人間の合意形成が比較的容易なら、信託に高い手数料を払う必要性は下がります。「資産家=信託必須」ではなく、実際は家族事情と資産の中身が判断軸になる点を押さえることが大切です。
代替策は意外と多い? 遺言・生前贈与・法人化・家族信託の比較
商品型信託に頼らなくても、目的によっては別の手段で十分なことがあります。例えば、分け方を明確にしたいだけなら遺言書で足りることも多く、相続人の納得感を高めるために付言事項を工夫する方法もあります。
また、暦年贈与や相続時精算課税など生前贈与を組み合わせれば、承継のタイミングを調整できます。資産が不動産中心なら管理会社化(法人化)で承継と管理を整理できる場合もあります。
さらに「家族信託(民事信託)」を専門家と設計する方法なら、商品コストより合理的な設計になることもあり、比較検討の価値があります。
失敗しない判断基とは?比較するポイントと専門家の使い方
最終判断では「何のために信託を使うのか」を言語化し、目的に対して最も費用対効果が高い手段を選ぶことが重要です。比較のポイントは以下の4です。
1.総コスト(初期費用+年間費用+解約コスト)
2.資産の自由度(途中変更や売却のしやすさ)
3.家族の運用負担
4.相続・税務面の整合性
の4つです。
提案内容は、手数料体系と出口戦略(いつ終えるのか、途中で見直せるか)を必ず確認しましょう。また、銀行側の提案だけで決めず、相続に強い弁護士・税理士・FPなど利害関係の薄い専門家にセカンドオピニオンを取ると、判断の質が上がります。
信託は「資産家の必須」ではなく、目的次第で選ぶ
資産承継用の信託商品は、家族関係が複雑だったり、承継の設計に工夫が必要だったりする場合に力を発揮します。一方で、費用が高くなりやすく、資産規模だけで「やるべき」と決めるのは危険です。
まずは目的とリスクを整理し、遺言や贈与、法人化、家族信託などの代替策と並べて比較することが大切です。総コストと柔軟性を確認したうえで、必要なら専門家の意見も取り入れ、自分の家に合う方法を選びましょう。
出典
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 認知症はじめの一歩
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
