「退職金2000万円」だけど“貯金500万円”で不安…でもNISAで「年率4%・10年」で運用出来たら安泰ですか? 運用の“可能性とリスク”をシミュレーション

配信日: 2026.03.06
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「退職金2000万円」だけど“貯金500万円”で不安…でもNISAで「年率4%・10年」で運用出来たら安泰ですか? 運用の“可能性とリスク”をシミュレーション
退職金は2000万円あるものの、手元の預金は500万円程度しかない場合、年金収入だけで生活できるのか不安を感じる人もいるでしょう。物価上昇に加え、医療費や介護費の増加も見込まれるなか、退職金を運用すれば老後資金の足しになるのではないか、と考えるのは自然な流れかもしれません。
 
本記事では、65歳で定年を迎えた後、退職金2000万円をNISAで運用した場合の、10年間の資産推移と、その後の取り崩しまでをシミュレーションします。定年後の生活を現実的にイメージしながら、運用の可能性とリスクを整理していきましょう。
金田サトシ

FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト

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定年後の生活費を考えると年金だけでは足りない?

まず押さえておきたいのが、定年後の収入と支出のバランスです。会社員の場合、公的年金として老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。受給額は、現役時代の保険料によって変わってきますが、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は、令和8年度で平均月23万7279円とされています。
 
一方、総務省の家計調査年報によると、2024年の二人以上世帯のうち65歳以上の無職世帯の平均消費支出は25万9295円です。生活スタイルや住居費の有無などによって差はあるものの、平均すると毎月およそ2万2000円の赤字が生じる計算になります。
 
もっとも、この程度であれば、500万円の預金を取り崩しながら生活すること自体は可能です。毎月2万2000円の取り崩しであれば、年間26万4000円、10年で約264万円にとどまり、短期的に家計が破綻する状況ではありません。
 
ただし、問題は長期的な視点です。物価上昇や医療費・介護費の増加、想定以上に長生きするリスクを考えると、貯金が減り続ける生活には心理的な不安が残ります。
 
やがて貯金が減少し、退職金にも手を付けざるを得なくなる可能性がある点は、無視できません。こうした背景から、定年後に退職金運用を検討する人が増えているのです。
 

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退職金2000万円をNISAで運用するとどうなる?

ここで注意したいのは、NISAには制度上の上限があるという点です。
 
非課税で保有できる生涯投資枠は1800万円、年間投資上限は360万円です。したがって、退職金2000万円を一度に全てNISAへ投資することはできません。上限を超える200万円分は、課税口座での運用になるか、預金などで保有する形になります。
 
ただ、本記事では、説明を分かりやすくするために、2000万円を年率4%で65歳から10年間運用した場合、という単純ケースで試算します。
 
年率4%で10年間、安定的に運用できたとすると、10年後の75歳の時点で資産額は約2960万円となります。単純計算で約960万円の増加です。NISA口座であれば、元本1800万円までは運用益に税金がかからない点も大きなメリットといえます。ただし、重要な前提条件もあります。


・毎年安定して4%の利回りが得られるとは限らない
・相場の下落局面では一時的に資産が減る可能性がある
・一括投資は運用開始時の相場環境に左右されやすい

このシミュレーションは、あくまで条件が比較的良好だった場合の一例です。実際には、運用額を分ける、生活資金として現金を一定割合残すなど、リスクを抑える工夫が欠かせません。
 

運用後は毎年いくら使える?

次に、10年間運用した後、75歳から資産をどのように取り崩して生活費に充てられるのかを考えます。仮に、10年後の資産が約2960万円あり、そこから20年間で計画的に取り崩すとすると、単純計算では、2960万円÷20年=年間約148万円(月約12万円)となります。
 
これは年金に上乗せできる金額であり、月々の赤字分を補うには十分な水準といえるでしょう。さらに、取り崩しながらも一部を運用し続けられれば、実際の資金寿命はより長くなる可能性もあります。一方、注意すべき点もあります。


・医療費や介護費など、想定外の支出が発生する可能性
・相場状況によっては取り崩し額の調整が必要になる
・想定より長生きして多くの資金が必要になるリスク

そのため、毎年・毎月必ず同額を引き出すと決めるのではなく、生活費や相場状況に応じて柔軟に調整する姿勢が重要です。
 

まとめ

退職金2000万円をNISA等で運用することは、定年後の資金不足を補う有効な選択肢になり得ます。ただし、運用には価格変動リスクがあり、増える前提で計画を立てるのは危険です。
 
重要なのは、退職金を全て運用に回すのではなく、現金と運用資産をバランスよく持つことです。いくら増やすかではなく、いかに長く安心して使えるかという視点で、老後の資産設計を考えていきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和8年度の年金額改定についてお知らせします
総務省 家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年) 家計の概要
 
執筆者 : 金田サトシ
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト

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