父が退職金「1500万円」をそのまま普通預金に置いています。「必要になったら使う」と言うのですが、老後資金の管理として問題はないのでしょうか?
そこで今回は、退職金1500万円を普通預金で貯金している事例を参考に、老後資金を資産運用することの是非について考えていきます。

行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
普通預金に置いておくこと自体は悪くない
まず前提として、退職金1500万円を普通預金で貯金しておくこと自体が直ちに間違いというわけではありません。普通預金は元本割れの心配がなく、必要なときにすぐ使えるため、急な支出のための資金の置き場所としては合理的でしょう。
特に老後は病気やけがを起こしやすく、使う時期が読みにくい支出もあります。普通預金のように流動性が高いことは大きな強みです。
ただし、金融機関が万一破綻したときを想定してみましょう。この場合、原則として1金融機関ごとに元本1000万円とその利息までしか保証されません。1500万円を1つの金融機関の普通預金に集中させているなら、2つの金融機関に分散させ、1つの金融機関での預金が1000万以下になるようにすることをおすすめします。
普通預金では実質的にお金の価値が下がることもある
普通預金は株などと異なり、その時々の時勢によって価値が減ることはありません。しかし、この低金利が長く続いている昨今において、物価が上がる局面ではお金の実質的な価値は下がります。
例えば、1500万円は10年後もほぼ1500万円ですが、10年後に物価が5%上がっていれば、それだけ1500万円で買える物やサービスが減少します。これは実質的にお金の価値が目減りしていることと同義です。
現在、日本銀行は、金融政策の目標として消費者物価の前年比上昇率2%を掲げています。物価が上がる環境では、先のようなお金の目減りが続きます。
こうした状況では、退職金は「使わずに置いておけば安心」なお金というより、年金で足りない分を補うために資産運用も併用する方がより安心だといえます。
どこまでを資産運用しどこまでを普通預金にしておくか
とはいえ、1500万円全額を資産運用に回すのは堅実とはいえないでしょう。
なぜなら、資産運用には元本割れのリスクも潜んでいるからです。特に株や投資信託などを中心とした資産運用は、不況がひとたび起これば10%以上もの価格下落を引き起こし、それが5年、10年と長期間戻らないということも起こりうるからです。
そのため、1500万円全額を資産運用に回すのは避ける方がよいでしょう。かといって1500万円をそのまま普通預金で置いていても、前述の通りお金の実質的な価値は減っていく恐れがあります。
5年、10年単位で戻らなかったとしても、老後困ることのない部分で多少なりとも資産運用しておくのがおすすめです。
例えば、1500万円のうち、1000万円は老後資金の柱として普通預金で貯金しておき、残りの500万円は10年単位で資産運用し、少しでも1500万円の退職金を長持ちさせるという具合です。
まとめ
退職金1500万円を全額普通預金に置いておいても、老後資金の管理として大きく問題があるわけではありません。しかし、物価の上昇に伴う実質的な目減りを考えると、最善とは言い難い部分もあります。
現在では節税しつつ資産運用可能なNISAという制度もあります。もし、少しでも老後資金の1500万円を有効に活用し、老後をより豊かに過ごしたいと考えているのであれば、一部は株や投資信託などで資産運用に回し、元本割れさせたくない部分は普通預金に置いておくという方法がよいでしょう。
執筆者 : 柘植輝
行政書士




