今年“夏ボーナス50万円”の夫から「全額NISAに入れる」と相談が! これまで貯金に回してたのに、突然「全額投資」は不安です…元本割れもありますし、せめて“分散させるべき”ですよね?
将来への不安から、投資に関心を持つのは良いことです。ただ、これまで生活の備えとして積み上げてきたボーナスを、いきなり「全額投資」に切り替えるのには落とし穴があるかもしれません。
本記事では、ボーナス全額をNISAに入れることで起きやすい家計のショートと、急な出費が重なったときに「マイナスでも投資信託を取り崩すはめになる」状況についてFPが解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
ボーナスは「余剰資金」ではない!? 見落としがちな特別支出
「生活防衛資金(毎月の生活費の半年分程度)はある程度貯まっているから、今年のボーナスは全額投資に回しても大丈夫だろう」という夫の言い分には、見落としがあります。
多くの家庭において、夏のボーナスは単なる「余ったお金」ではありません。車の車検代や固定資産税、帰省・旅行の費用、数年に一度やってくる冷蔵庫やエアコンといった大型家電の買い替えなど、毎月の給与では賄いきれない「年間の特別支出」を補う役割を担っているケースがほとんどです。
これまでのボーナスがそうした出費の備えとして機能していたとしたら、それを全額投資に回した途端、いざというときに現金が足りなくなり、日々の生活費を圧迫する事態になりかねません。
家電の故障で大慌て!「元本割れ」でNISAを取り崩す事態に
もしボーナスを全額投資した直後に、車の故障や大型家電の買い替えが重なり、手元の現金だけでは支払いきれなくなったらどうなるでしょうか。足りない現金を補うために、NISAで運用している投資信託などを解約して現金化することになる可能性が高いのではないでしょうか。
しかし、投資商品の価格は常に上下します。ちょうどそのタイミングで株式市場が下落しており、50万円で買ったものが「40万円」に目減りしていたとしても、背に腹は代えられず「元本割れの状態で売却する」という結果になりかねません。
金融庁も「長期・積立・分散投資」を資産形成の基本として推奨しているように、NISAなどの投資は長い時間をかけてじっくり育てるものです。数年以内に使う可能性のあるお金まで一度に投資に回すのは、こうした考え方とは逆行しています。
FPが提案する、ボーナスの振り分け方とNISAの活用法
「どうしてもNISAを頑張りたい」という夫の気持ちを生かしながら家計の安全も守るには、全額を投資に回すのをやめて、役割ごとに分ける案を提案してみてください。
例えば、ボーナス50万円のうち「25万円は今後の特別支出や車の維持費として現金で残す」「15万円をNISAに回す」「10万円は家族のレジャーや楽しみに使う」といった配分です。
こうすることで投資も続けられつつ、急な出費にも対応できます。NISAは一度始めれば毎月の積立でも続けられるため、ボーナスで無理に一括投入しなくても資産は着実に育てられます。
まとめ
これまで生活の備えとして貯めてきたボーナスを、いきなり全額NISAに切り替えるのは、家計の安全網を外すことにつながります。投資はあくまで「当面使う予定のない余剰資金」で行うのが基本であり、ボーナスには年間の特別支出をカバーする役割があります。
夫の投資への意欲を否定するのではなく、「急な出費があったときに、マイナスでNISAを売るはめになるのは悔しいよね?」と話しかけ、家族が安心できるボーナスの振り分け方を一緒に考えてみてください。
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
