夫が「タンス預金300万円」を夫婦で「150万円ずつNISAに入れよう」と言います。“節税になる”とのことですが、これって「脱税」になりませんか? 課税口座でかかる税金も確認
例えば、タンス預金300万円を持っている夫が、「夫婦それぞれ150万円ずつNISAに入れよう」と提案してきた場合、「節税になるの?」「それとも脱税みたいなことになるの?」と、タンス預金を動かすことに不安になる人もいるでしょう。
本記事では、「節税」と「脱税」の違いを整理しながら、タンス預金をNISAで運用する際のポイントについて解説します。
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「節税」と「脱税」の違い
まず整理しておきたいのが、「節税」と「脱税」はまったく別物だということです。節税とは、法律で認められた制度を利用して税負担を軽減することです。例えば、NISAを利用して運用益を非課税にすることなどが該当します。
一方、脱税とは、本来納めるべき税金を不正な方法で免れる行為です。収入を隠したり、架空の経費を計上したりするケースが代表例です。つまり、税金を減らすこと自体が問題なのではなく、法律の範囲内かどうかが大切なのです。
タンス預金そのものに税金はかからない
「タンス預金には税金がかかる」と思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。税金は、お金をどこに保管しているかではなく、そのお金をどのように取得したかによって判断されます。
例えば、給与や事業所得など、すでに税金を納めた後のお金を自宅で保管しているだけであれば、それ自体に税金が発生することはありません。そのため、自分のタンス預金300万円を自分名義の銀行口座に入れたり、投資に回したりしても、それだけで課税されることはないのです。
夫はなぜ「夫婦で分けよう」と言っているの?
夫が「夫婦で150万円ずつNISAに入れよう」と言う理由は、NISAの投資枠にあると考えられます。NISAの成長投資枠は年間240万円までです。そのため、300万円を1人の成長投資枠で一括投資しようとすると、60万円が余ってしまうことになるのです。
もし、余った60万円を特定口座などの課税口座で投資することになると、運用益に対して通常約20%の税金がかかります。そのため、税負担を避ける方法としては、NISAのつみたて投資枠を併用する、翌年のNISA枠に回す、夫婦それぞれのNISA枠を使うといった選択肢があります。
なお、夫婦それぞれが自分のNISA口座で投資すること自体は制度上問題ありませんが、実際には夫のものであるお金を妻名義のNISA口座に移す場合は、贈与と見なされて課税対象となることもあるため、扱いには注意が必要です。
課税口座を使うと税金はいくらかかる?
それでは、夫婦で分けずに、1人のNISA成長投資枠で240万円を投資し、残り60万円を特定口座で運用した場合を考えてみましょう。
・NISA成長投資枠:240万円
・特定口座:60万円
・運用期間:10年
・年利:5%
まず、NISA成長投資枠で240万円を10年間、年利5%で運用した場合、10年後は約391万円になります。利益は約151万円ですが、NISA口座内の運用益なので非課税です。
一方、特定口座で60万円を同じく10年間、年利5%で運用した場合、10年後は約98万円になります。つまり、利益は約38万円です。この利益38万円には約20%の税金がかかりますので、目安として約7万6000円(38万円×20%)が差し引かれることになります。
まとめ
きちんとした手段で取得したお金であれば、タンス預金だからといって、それ自体に税金がかかるわけではありません。また、NISAを使って運用益を非課税にすることは、法律で認められた節税方法であり「脱税なのでは」と不安になる必要はありません。
ただ、300万円を1人のNISA成長投資枠のみで投資しようとすると、年間240万円を超える60万円分は課税口座で運用することになり、利益に税金がかかります。しかし、夫婦それぞれのNISA枠を使えば、この課税を避けられる可能性があります。
なお、夫婦それぞれが自分のお金でNISA口座で運用するのであれば問題ありません。ただし、実質的には夫の資金であるにもかかわらず、形式的に妻名義だけを利用するような場合は、贈与税などの取り扱いを確認する必要があります。
制度を正しく理解したうえで活用すれば、脱税ではなく、合法的な節税として資産形成に役立てられるでしょう。
出典
金融庁 NISAを知る
国税庁 No.1476 特定口座制度
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など

