「楽天日本株4.3倍ブル」は“年644.5%”のリターン!?「100万円投資すれば744万円になる」…信じて持ち続けると“手元のお金”はガリガリ削られる? レバレッジ投信の「冷徹な罠」
運用会社の月次レポートによると、2026年5月末時点で過去1年のリターンは644.5%にのぼりました。100万円なら1年で約744万円になった計算です。ただ、この数字だけで飛びつくのは危険かもしれません。
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目次
「楽天日本株4.3倍ブル」とは? なぜ644.5%にもなるのか
楽天日本株4.3倍ブルは、楽天投信投資顧問が運用する投資信託です。
「ブル」は強気を表す言葉で、相場の上昇を見込むときに利益を狙う商品を指します。この商品は、株価指数の「1日の値動き」に対して、その概ね4.3倍程度の値動きを目指す「レバレッジ型」の投資信託です。
例えば、日経平均株価が1日で1%上がった日には、基準価額は約4.3%上がることを目指します。反対に1%下がった日には、約4.3%下がる計算です。こうした連動は、株価指数先物を使って実現しています。
上昇局面では、この4.3倍が利益の側に働くわけです。株式市場の上昇が続いた結果、リターンが膨らみ、2026年5月末時点で過去1年のリターンは644.5%に達しました。
100万円が約744万円に? ただし「過去の実績」にすぎない
仮に1年前へ100万円を投じ、644.5%がそのまま当てはまったとすれば、1年後には約744万円に膨らんでいた計算です。数字だけを見れば、夢のような話に思えるかもしれません。
しかし、これはあくまで過去の実績である点に注意が必要です。投資信託の運用成績は、将来の結果を約束しません。相場が逆に動けば、下落の勢いも4.3倍となります。
このように、高いリターンが狙える分、損失も膨らみやすいのがレバレッジ型の特徴です。
リターンが高いほど大金を投じてよい、とは限らない
高いリターンに引かれて、まとまった資金を長く預けたくなるかもしれません。ただ、レバレッジ型を長期で持つことには落とし穴があります。特に注意したいのが、株価が一定の範囲で上下を繰り返す「もみ合い相場」です。
レバレッジ型は、上昇と下落を繰り返すたびに、増幅された値動きが少しずつ基準価額を削っていきます。この場合、時間とともに目減りし、株価が元の水準に戻っても基準価額は戻りません。
運用会社も、もみ合いが続くと基準価額が押し下げられると説明しています。しかも、長く持つほど、もみ合いに遭遇する機会は増えていきます。
値動きの荒さにも注意が必要です。2026年5月には、1日で27.0%上昇した日もあれば、9.5%下落した日もありました。さらに2020年3月のコロナショックでは、基準価額が2301円まで沈みました。資金を預けたまま相場が急落すれば、資産は一気に削られてしまうのです。
向いている人・向いていない人
レバレッジ型が合うのは、相場の方向性を読んで短期で売買できる人です。運用会社も、中長期の投資には向かず、比較的短期間の投資に向いた商品だと位置づけています。
買ったら持ちっぱなしにせず、自分で利益確定や損切りのルールを決められる人に向いています。反対に、次のような人には向きません。
・長期でコツコツ資産形成をしたい人
・買ったあとはほったらかしにしたい人
・日々の激しい値動きに気持ちが動じてしまう人
なお、楽天日本株4.3倍ブルは、NISAの対象外です。信託報酬も年1.243%(税込)と、一般的なインデックス型より高めに設定されています。長期の積立や低コスト運用とは、そもそも目的が異なる商品といえるでしょう。
まとめ
楽天日本株4.3倍ブルの過去1年のリターン644.5%は、確かに目を引く数字です。
ただし、株価上昇が続いた結果にすぎず、将来を約束するものではありません。レバレッジ型は値動きが荒く、もみ合い相場では基準価額が削られていく仕組みです。
高いリターンだけを見て大金を投じれば、思わぬ損失を被りかねません。仕組みと弱点を理解し、自分に合う商品かどうかを冷静に見極めてください。
出典
楽天投信投資顧問株式会社 楽天日本株4.3倍ブル
楽天投信投資顧問株式会社 楽天日本株4.3倍ブル 月次レポート(2026年5月)
金融庁 レバレッジ型・インバース型ETF等への投資にあたってご注意ください(令和3年6月30日)
執筆者 : 金子賢司
CFP

