「退職金1000万円」を受け取ったら、銀行から「金利3%の定期預金」の案内が! 明らかに得のはずが、実は“一瞬で十数万円の損”になるって本当ですか!? 見落としがちな「トータル収支」のリスク
しかし、この特別プランは投資信託とのセット販売が条件となっている場合もあり、手数料などのコストにも注意が必要です。本記事では、一見お得に思える優遇金利のメリットが、税金や諸手数料によって一瞬で相殺されてしまうトータルコストの実態を解説します。
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目次
高金利「3%」の裏にある期間の注意点
退職金特別プランの多くは、「資金の半分を定期預金に、もう半分を投資信託に充てること」などを条件として高金利を提供します。今回は、退職金1000万円のうち500万円を定期預金、残りの500万円を投資信託に分ける標準的なモデルで検証しましょう。
まず、定期預金500万円を預けた場合の実際の受取額を計算してみます。ここで注意すべき点は、提示される高金利は「年利」表記でありながら、適用される期間は「最初の3ヶ月間」など限定な点です。さらに、受け取る利息には20.315%の税金がかかります。
3ヶ月間の優遇金利である年3%(税引後:年2.390%)で算出すると、最初の3ヶ月間で得られる税引き後の利息は「500万円×2.390%×3ヶ月÷12ヶ月=約2万9875円」となり、「金利3%」という数字から想像するほどには増えません。また、最初の3ヶ月間は3%ですが、4ヶ月後以降は店頭金利となります。
投資信託の「購入時手数料」による大きなマイナス
一方、セットで購入する残りの500万円分の投資信託には、金融機関へ支払う「申込手数料(購入時手数料)」がかかります。対面型の金融機関で提案される投資信託のなかには、購入時手数料が設定されている商品もあるため注意してください。
例えば、申込手数料が3%の投資信託を500万円分購入した場合、初期コストは「500万円×3%=15万円」です。この15万円の手数料は、投資信託を購入したその瞬間に元本から差し引かれます。
ここで先ほどの定期預金の利息と比べてみると、定期預金で得られる利息が「約3万円」なのに対し、購入初日に引かれる手数料は「約15万円」です。結果として、運用を開始する時点で「3万円-15万円=-12万円」となり、大きなマイナスからスタートすることになってしまいます。
このように、優遇金利による利息以上に購入時手数料の負担が大きくなるケースもあるのです。
トータル収支のシミュレーションと見えざるリスク
購入時の費用だけでは終わらない点にも、注意が必要です。
投資信託の保有期間中は「運用管理費用(信託報酬)」がかかり続け、特別プランで用意されるファンドのなかには年1~2%程度の信託報酬が設定されている商品も少なくありません。
例えば、年2%の信託報酬がかかるファンドを500万円分保有し、基準価額がまったく値動きしなかったと仮定した場合、管理費用として約10万円のコストが毎年発生することになります。
さらに、将来的に投資信託を解約して現金化する際には、商品によって「信託財産留保額」が差し引かれるケースもあるため、プラン選びには注意が必要です。
これらのコストは、定期預金のように「増えた利益にかかる税金」ではなく、「元本そのものから引かれる費用」であり、実質的な運用成績を押し下げる要因にもなるので、忘れずに把握しておきましょう。
利益が出ても「約20%の税金」でさらに削られる
さらに見落としがちなのが、運用で利益が出た場合の税金です。「NISA」であれば投資の利益は非課税ですが、金融機関や商品によってはNISA口座ではなく特定口座などで購入することになる場合があります。
投資信託が値上がりして利益が出ても、その利益に対して20.315%の税金が課されるため、手元に残る純利益は少なくなってしまうのです。
「退職金特別プラン」は引かれる費用も多いので注意
退職金1000万円を「金利3%」で運用するセットプランは、一見お得に感じられますが、実質的には契約時や運用中に多額のコストを抱えるリスクが懸念されます。年利3%という優遇金利は適用期間が3ヶ月と短く、税金も引かれるため、実際の利息は3万円程度です。
一方、セットで購入する投資信託には3%程度の申込手数料がかかり、今回の試算では、定期預金の利息と購入時手数料を比較すると約12万円の差が生じる結果となりました。
さらに、ここに信託報酬が毎年引き落とされ続けるうえ、特定口座でなければNISAのような非課税メリットはなく、運用益が出ても約20%の税金が課されます。提示された金利の高さだけでなく、税金や保有コストを含めた全体収支を計算しておくことが重要です。
出典
国税庁 株式・配当・利子と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
