NISAで毎月「10万円」積み立てていますが、相場が下がって不安です。もしも大暴落した場合、補償や税金の控除はあるのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
NISAで大暴落した場合
例えば、毎月10万円積み立て・投資額合計600万円・相場急落で評価額400万円になった場合、200万円の評価損が発生・補償金は出ない・税金の還付もないというのが基本です。
つまり、NISA口座は、利益が非課税になるメリットがありますが、損失が出た場合でも税務上は「損失がないもの」として扱われます。そのため、通常の証券口座(特定口座など)との損益通算や、翌年以降への損失の繰越控除はできません。
なぜ、多くの人がNISAを続けるのか
積立投資では、相場下落時に同じ10万円で多くの口数を購入できます。
例えば、
・基準価額2万円→5口購入
・基準価額1万円→10口購入
となり、将来相場が回復すると、有利になることがあります。
つまり、毎月コツコツ積み立てる「ドルコスト平均法」の仕組みにより、安いときに多くの口数を買えるため、相場回復時の利益につながる可能性があります。
過去の大暴落では
例えば、米国株(S&P500)における暴落時の下落率と回復までの期間を見てみましょう。
図表1
| 年 | 出来事 | 下落率 | 回復期間 |
|---|---|---|---|
| 2008年 | リーマン・ショック | ▲53% | 5年 |
| 2020年 | コロナ・ショック | ▲34% | 6ヶ月 |
筆者作成
このように、リーマン・ショックや新型コロナウイルス感染症の際には、一時的に30~50%近く下落した市場もありましたが、その後数年で回復しています。
また、世界経済は短期的な上げ下げを繰り返しながら、長期的に右肩上がりに成長しています。日経平均株価、ダウ平均株価を見ても、長期的には上昇しています。
市場暴落時に避けたいことの一つは、「慌てて売ること」です。下落が続くと、投資をやっている人は不安でたまらないでしょう。しかし、下がったからと怖くなって売ってしまうと、長期的な資産形成の機会を失う可能性があります。
歴史的には、大きな下落を経験しながらも、多くの市場は長期的に回復してきました。仮に下がっても、長期的に保有していれば持ち直す可能性があるためです。わざわざ安いときに売ることは得策ではありません。
また、売るところまでにいかなくても、下がったからといって、積み立てを安易に「止める」のは避けたいところです。
前述のように、積立投資のよさは、値下がりしたときにたくさん口数を買うことができ、平均購入単価を下げやすい点にあります。値下がりしたときに積み立てを止めてしまうと、そのメリットは生かせません。
下がった局面でも、無理のない範囲で積み立てを続ける姿勢が求められます。積立投資をやっている人は、怖くなって売ったり、積み立てを止めたりするのではなく、値下がりしても淡々と積み立てを続けることが大切です。
年代別に見る大暴落への考え方
NISAで毎月10万円積み立てている場合、大暴落への考え方は年齢によって大きく異なります。
<20~30代>
最も有利な年代です。投資期間は30年以上あり、暴落はむしろチャンスです。
例えば、100万円が50万円になっても、その後20~30年かけて回復する可能性があります。長期運用を前提とするなら、株式を中心とした資産配分も選択肢となります。
<40代>
老後まで20年前後あり、まだ時間を味方につけられます。教育費や住宅ローンが重なる時期でもあるため、生活防衛資金、教育資金は投資とは別に確保しておくことが重要です。株式70~90%程度、10年以上使わないお金で運用するという考え方もあります。
<50代>
定年が見えてきますので、リスク管理が重要になります。役職定年、再雇用という収入減少も近づく年代です。例えば、資産2000万円、株式100%の場合、暴落で600~800万円減る可能性があります。株式50~70%、預金30~50%、生活予備資金は別管理にしておくと安心です。
<60代前半(60~64歳)>
退職金の受取時期で、最も注意が必要です。退職金を一括投資すると、暴落の影響を受けやすくなります。株式40~60%、預金40~60%、5年分程度の生活費を現金で確保しておくと不安が少なくなります。
<65~74歳>
年金受取開始で、資産を増やすより守る時期です。年金で生活費を賄えるなら、運用を続けて構わないでしょう。株式30~50%、預金・債券50~70%が一つの目安です。
<75歳以上>
年金や生活資金を十分確保したうえで、余裕資金の範囲で運用を続けることが大切です。
まとめ
NISAでは、損失が出ても税金の控除(損益通算・繰越控除)はできません。それより大切なことは、毎月10万円の積み立ての場合「生活費や緊急予備資金は十分あるか」「積立期間は10年以上を想定しているか」「下落時も積み立てを続けられる金額か」などです。また、投資は「余裕資金」で行うことが大切です。
出典
金融庁 つみたてNISA早わかりガイドブック
執筆者 : 水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー

