定年後は「月収20万円」に減る予定…「退職金1000万円」は、NISAで“毎年の上限額”まで投資すべきですか? 税金覚悟で「早めの一括投資」のほうが、老後は余裕でしょうか? 10年後の結果を確認
「税金がかかるのを覚悟で一括投資したほうが結果的に老後資金は増えるのでは」と考える人もいれば、「NISAの非課税枠を使って数年に分けて投資したほうが賢明か」と迷う人もいるでしょう。
本記事では、退職金の運用方法について、特徴やメリット・デメリットを解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
1000万円を一括投資したら10年後はどうなる?
まず、退職金1000万円を全額投資に回した場合を検証します。NISAの年間投資上限額は360万円であるため、1000万円を一度に投資する場合、NISAの年間投資枠を超える640万円は、特定口座(課税口座)で運用するケースが一般的です。
仮に想定年利が5%だった場合、NISA口座で運用した360万円は10年後には約586万円に増えます。課税口座で運用した640万円は10年後に1042万円となりますが、課税口座では利益に対して20.315%の税金が差し引かれます。
その結果、402万円の利益に対して20.315%の税金として約82万円が差し引かれます。実際の受取額は320万円に目減りすることとなり、結果的な資産額は960万円です。
以上より、NISA分の約586万円と課税口座の約960万円と合わせて、総資産額は1546万円となります。ただし、投資直後に市場の大暴落が起きた場合は、全額がマイナスの影響を直接受けるため、精神的な不安のリスクがあります。
NISA上限で投資したら10年後はどうなる?
次に、新NISAの年間上限額である360万円を利用し、数年に分けて1000万円を投資した場合を検証します。1000万円をNISA枠のみで運用する場合、「360万円+360万円+280万円=1000万円」のように、最短でも3年に分けて投資することになります。
数年間は資金の一部が待機状態となりますが、投資した資金から得られた利益には税金が一切かかりません。その結果、10年後には1558万円ほどになる見込みです。先ほどの例と同じく558万円の利益は、NISAの枠内であればその利益に税金はかからないので558万円がそのまま手元に入ります。
一括投資した場合は資産額が1546万円、NISA上限で投資した場合の資産額は1558万円と試算され、その差として約12万円、NISA上限で投資したほうが高くなりましたが、必ずしも計算通りに増えるとは限りません。
一括投資・NISAで投資するときのメリット・デメリット
一括投資とNISAでの運用には、それぞれメリットとデメリットが存在します。
課税口座での一括投資
一括投資のメリットは、市場が上昇基調で推移した場合、投資機会を逃さず高いリターンを得られる可能性があることです。例えば、定年退職直後に高騰したら、リターンに期待できるでしょう。
デメリットは、利益に対して20.315%の税金がかかる点と、投資直後に暴落した場合に投資した資産全体が値下がりの影響を受ける点です。老後資金を一気に失うことになりかねません。
NISAでの分割投資
NISAのメリットは、投資で得られた利益が全額非課税になることです。また、数年に分けて投資することで「時間の分散」が図られ、高値づかみのリスクを和らげる効果が期待できます。
デメリットは、資金を分割している間に市場が大きく上昇した場合、待機させている現金分の利益を取り逃がす(機会損失)可能性がある点です。
退職金運用で重視したいポイント
現役時代であれば給与収入があり、一時的な暴落が起きても長期間にわたって資産価格の回復を待つことができます。
しかし、定年後は資産を取り崩しながら生活する可能性もあるため、現役世代とは異なる視点でリスクを管理することが重要です。
また、嘱託社員の月収20万円で生活ができるのかどうかも確認しましょう。年金開始までなんとか持ちこたえられるのか、それとも貯金を取り崩す必要があるかどうかでも異なります。
貯金などが少ない場合には、1000万円すべてを投資に回すのではなく、医療費や介護費用、住宅修繕費などに備える生活資金を現金で確保しておくことも検討したいところです。
退職金の運用は自分に合った投資方法を選ぶことが重要
退職金1000万円を一度に投資する場合、NISAの年間投資枠を超える部分は課税口座で運用することになりますが、利益に対して20.135%の税金がかかります。一括投資は早い段階から資金を市場に投入できるため、より大きなリターンを得られる可能性がある一方、投資直後の下落リスクを受けやすいという点には注意が必要です。
反対に、NISAを活用した分割投資は非課税メリットを生かせるほか、投資時期を分散できるという特徴がありますが、市場上昇時には機会損失が生じる可能性もあります。
どちらが有利かは、将来の相場環境によって異なるため、一概に判断することは困難です。退職金の運用は、税制面だけでなく、生活資金の確保や自身のリスク許容度も踏まえながら、無理のない投資計画を立てるようにしましょう。
出典
国税庁 株式・配当・利子と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

