キオクシア「1株10万円→4万円」の急落に驚き!「安い=買い時」の意見もあるけど、今買うのは“落ちるナイフ”を掴む悪手? 10月の「株式分割」で“3分の1になるのを待つ”べき? 注意点を解説
本記事では、急落が起きた理由と、株式分割で変わること・変わらないことを整理して解説します。読んだ後には、値動きに振り回されない自分なりの基準が見えてくるはずです。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
目次
半年で10倍、1ヶ月で3分の1。キオクシア株に何が起きたのか
2026年の値動きを時系列で振り返る
キオクシアホールディングスは、スマートフォンやデータセンターに使われるメモリをつくっている半導体メーカーです。
2026年1月6日の株価は1万945円でしたが、AI向け需要への期待から半年で急上昇し、6月22日には取引時間中に11万2700円という上場来高値をつけました。
ところが、そこから流れが変わります。7月28日にはストップ安の4万4550円まで売られ、翌29日の終値は3万8380円と、ついに4万円を割り込みました。8月に入ってからは4万円台後半から6万円台での上下が続いています。
急落の引き金になった3つの要因
これほど下げた背景には、次の3つが重なっていました。
・米国市場の半導体株安が波及した:7月27日にエヌビディアや、四日市工場でメモリを共同生産する米サンディスクが大きく下げ、その流れが翌日の東京市場に及びました。
・需給が過熱していた:7月17日時点の信用買い残は1388万7900株、信用倍率は一時36.75倍まで上昇していました。
・期待が大きすぎた:7月31日に発表された7~9月期の純利益見通しは前年同期比31倍の1兆2700億円です。それでも市場の予想平均には届かず、好業績なのに買いが続きませんでした。
「安くなったから買い」が危ない理由
高値から下がった=割安、とは限らない
11万円台から4万円割れとなると、7割引のように見えます。ただし、割安かどうかを決めるのは過去の高値ではありません。会社の利益や資産に対して、今の値段が高いか安いかで判断します。
キオクシアは、8月時点でのPBR(株価純資産倍率)が10倍を超える水準にあり、数字の上で安いとは言い切れないのです。
「落ちてくるナイフはつかむな」という格言の意味
「急落の最中に買うと大けがをするので、底を打ったと確認してから買いなさい」という、証券会社の用語集にも載っている有名な相場格言です。
とはいえ、どこが底なのかは後になってからしか分かりません。つまり、この言葉が伝えているのは、底を当てるコツではなく、慌てて飛びつかない姿勢のほうだと言えます。
10月1日の株式分割、待つ意味はある?
1株が3株になっても資産の総額は変わらない
キオクシアは、2026年7月31日、1株を3株に分ける株式分割を発表しました。基準日は9月30日、効力発生日は10月1日です。
ここで誤解しやすいのが、分割で株が安くなってお得になる、という受け止め方でしょう。1株の値段が3分の1になる代わりに株数は3倍になるため、持っている資産の合計や、会社そのものの価値は変わりません。
分割後も最低投資額は100万円超えの見込み
日本株の売買は、通常100株単位で行います。仮に1株5万円なら、買うのに500万円ほど必要です。分割で3分の1になっても約170万円ですから、東京証券取引所が望ましいとする50万円未満の水準には届きません。
分割で買いやすくはなるものの、気軽に出せる金額ではないと考えておきましょう。
値動きに振り回されないために決めておきたいこと
まず用意したいのは、自分の売買ルールです。
いくらまで下がったら売るのか、いくらなら買い増すのかを、買う前にメモへ書き出しておきます。数百万円が必要な銘柄なら、そのお金を生活費と切り離せるかどうかも先に確かめておきたいところです。
金融庁も資産形成の基本として長期・積立・分散を挙げていますから、1つの銘柄に資金を集中させない考え方は、初心者ほど役に立ちます。そして値動きが荒い時期には、あえて見送るのも立派な選択です。
まとめ
キオクシア株は半年で約10倍になったあと、1ヶ月ほどで3分の1近くまで下げました。10月の株式分割で1株の値段は下がりますが、資産の価値そのものが増えるわけではありません。
急落も分割も、それだけを理由に売買を決めてしまうと、値動きに振り回されるばかりです。自分の基準を先に決めて、そこから外れた動きはしないようにしましょう。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
