任天堂株を「スイッチ2が爆売れで、売上高が過去最高」と購入した友人…しかし“決算発表”の翌営業日、なぜか株価が「6895円」まで急落! 絶好調なのにナゼ!? 株価が下がった2つの理由
しかし実際には、決算が発表された直後に株価は年初来安値、その年の取引で最も安い水準を更新し、急落してしまいました。好調な決算のはずなのに、なぜ株価は下がったのでしょうか。
本記事では、決算の中身と株価急落の理由、そしてその後の値動きについて解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
決算は本当に「過去最高」だった
任天堂は2026年5月8日、2026年3月期の決算を発表しました。売上高は2兆3130億円で、前期に比べて98.6%増加し、2兆円を超える結果になりました。
営業利益は3601億円、当期純利益は4240億円で、いずれも前期を上回り、増収増益の決算でした。この結果を支えたのが、2025年6月に発売した新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」の好調な販売です。
発売から2026年3月末までの10ヶ月間で、Switch2は世界で1986万台売れ、売上高に大きく貢献したと言えます。
決算と同じ日、値上げと翌期の減益見通しも発表
記録的な決算にもかかわらず、株価は決算発表の翌営業日である5月11日に急落しました。
前週末の終値から772円、率にして10.06%下がり、1株6895円まで売られたのです。7000円を割り込んだのは2024年8月以来のことでした。株価が下がった理由は、決算と同じ日に発表された2つの内容が関係していると考えられます。
1つは、半導体メモリーの価格高騰を理由にしたSwitch2の値上げです。結果、国内価格は4万9980円から5万9980円に引き上げられました。
もう1つは、2027年3月期の業績予想です。売上高は2兆500億円、当期純利益は3100億円で、いずれも2026年3月期の記録的な実績を下回る内容でした。
過去の好決算よりも、これから先の費用増加と利益の伸び悩みという懸念のほうが投資家に強く意識された結果、株価は下落したと考えられます。
株価はその後も下げ止まらず、6月26日には一時6544円まで下がりました。これは2025年8月につけた上場来高値1万4795円から、約55.8%低い水準です。
株価は「これまでの実績」より「これからの見通し」で動く
株価は、発表された決算の数字だけでなく、その先の業績がどうなるかという期待によって変動します。そのため、過去の実績がどれほどよくても、今後の利益が伸び悩むと受け止められれば、株価は下がることがあるのです。
任天堂の場合も、2026年3月期の記録的な決算そのものより、値上げによる負担増と翌期の減益見通しが重く受け止められたと考えられます。
実際に2026年8月6日発表の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)の決算では、Switch2の販売台数は前年同期より34%少ない382万台にとどまりました。それでも、利益率の高いソフトの販売が伸びたことで、純利益は前年同期比54%増の1474億円を記録しています。
通期の業績予想に対してどれだけ利益を積み上げられたかを示す進捗(しんちょく)率は47.9%で、過去5年平均の26.5%を上回るペースです。この決算後、株価は反発し、8月の半ばには8874円まで値を戻しました。
同じ「好調な決算」でも、市場がどう受け止めるかは、発表のタイミングや中身によって変わることが分かります。
まとめ
任天堂の株価が5月11日に1株6895円まで急落したのは、2026年3月期の実績ではなく、値上げによるコスト増と2027年3月期の減益見通しが優先されたためと考えられます。
決算の数字を見るときは、売上や利益の実績だけでなく、同時に発表される値上げや翌期の業績予想にも目を向けると、値動きの理由が見えやすくなるでしょう。今後の投資の参考にしてください。
出典
任天堂株式会社 2026年3月期 決算説明資料
任天堂株式会社 2027年3月期 第1四半期決算短信
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

