「オルカンさえ買えば老後は安心」と信じ“毎月10万円”を積み立てる30代後輩…もし「1ドル150→135円」と円高が急進したら、評価額はマイナスに!?「為替リスクの罠」とは
「最近の円高のニュースを見て不安になりました。もし円高が急進したら、せっかく積み立てた資産の評価額はどうなってしまうんでしょうか?」
全世界へ分散投資できるオルカンを選んでいても、為替の変動によって円ベースの評価額が大きく揺れることがあります。
本記事では、オルカンの基本から、円高が評価額へ与える具体的な影響、そして為替リスクを軽くする投資のポイントまでを順に解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
全世界株インデックス(通称オルカン)とは?
オルカンは、世界中の株式へ1本で分散投資できる代表的なインデックスファンドです。正式名称はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)で、三菱UFJアセットマネジメントが運用しています。
ベンチマークはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)で、先進国と新興国あわせて47か国・地域の株式が対象です。運用会社の説明では、同指数は世界の投資可能な株式のおよそ85%を網羅しているとされています。
ただし、時価総額加重型のため、株式市場の時価総額が大きい国ほど比率が高く、米国だけで約6割を占めます。信託報酬が低く抑えられ、新NISAのつみたて投資枠でも成長投資枠でも使える手軽さから、多くの投資家に選ばれてきました。
株価が横ばいで円高が進むとどうなる? 為替リスクの罠とは?
株価が横ばいでも円高が進めば、円換算の評価額はそのぶん目減りします。オルカンは原則として為替ヘッジを行わないため、米ドル建て資産の場合、対ドルで円高が10%進むと株価が同じでも円ベースでおよそ10%減る計算です。
例えば1万ドルの米国株なら、1ドル150円のときは150万円ですが、135円になると135万円へと約10%分下がります。実際に2025年4月には、ドル円が年初の158円台から約11%円高の約140円まで下落しました。
株価が上がっていても、株価の上昇率を上回るペースで円高が進めば、円換算のリターンがマイナスへ沈む場面もあります。評価額が下がった局面で原因が為替か株価かを切り分けられれば、根拠のない不安に流されず落ち着いて判断できます。
為替リスクを軽減する投資のポイントとは?
為替リスクをゼロにはできませんが、分散の工夫で影響はやわらげられます。主な方法は、次の3つです。
1. 毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法で購入時期を分散する
2. 為替ヘッジありのファンドを一部だけ組み入れる
3. 国内債券や国内REITなど円建て資産を組み合わせる
ドルコスト平均法では、基準価額が高いときは少なく、低いときは多く買えるため、購入単価を平準化して高値づかみのリスクを抑えられます。為替ヘッジありのファンドは為替変動の影響を抑えられますが、金利差などに応じたヘッジコストがリターンを削る点には注意が必要です。
円建て資産を足せば、ポートフォリオ全体の為替感応度を下げられます。老後資金のような長期運用では、コストを抑えた「ヘッジなし」中心の設計も選択肢になる点を、覚えておくと良いでしょう。
まとめ
オルカンは世界中の株式へ1本で投資できる便利なファンドですが、為替ヘッジがないぶん、円高の影響が円換算の評価額に直接およびます。米ドル建て資産の場合、株価が横ばいでも対ドルで円高が10%進めば評価額は約10%目減りし、株高であっても、株価の上昇率を上回るペースで円高が進めばリターンはマイナスへ傾きます。
だからこそ、評価額が下がった局面では、原因が為替なのか株価なのかを切り分ける視点が欠かせません。原因を分けて捉えられれば、「基準価額が下がった局面では、積み立てによって同じ金額でより多くの口数を購入できる」と前向きにとらえ直せます。
対策としては、ドルコスト平均法による購入時期の分散、為替ヘッジあり商品の一部活用、円建て資産の組み合わせが有効です。為替の予測に頼らず、長期の資産形成を落ち着いて続けていきましょう。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
