退職金からの「1000万円」で“高配当株デビュー”した60代の父…「年間40万円の余裕」と思っていたら、暴落時のパニック売りで“300万円損”した地獄。高配当投資の「典型的な失敗パターン」

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退職金からの「1000万円」で“高配当株デビュー”した60代の父…「年間40万円の余裕」と思っていたら、暴落時のパニック売りで“300万円損”した地獄。高配当投資の「典型的な失敗パターン」
「退職金2000万円のうち1000万円を高配当株に回したら、突如やってきた相場の暴落でパニックになり底値で売り払ってしまった。結果は300万円の大損……」
 
これは、投資経験のないまま老後資金の運用を始めた人に起こり得る、失敗例の一つです。退職金で高配当株を始めた親御さんが、同様の「狼狽(ろうばい)売り」で老後資産を大きく減らさないか、不安に感じていませんか。
 
老後資金を守る鍵は、現金を厚めに残すキャッシュポジションの設計と、暴落が来ても動じない心構えにあります。本記事では、老後の高配当投資の魅力から典型的な失敗パターン、現金比率の決め方までをまとめて解説します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

老後にも人気の高配当投資とは?

高配当投資とは、配当利回りの高い株式を保有し、定期的に配当金という不労所得を受け取る運用スタイルです。
 
親世代に人気が集まる背景には、年金だけでは足りない生活費を、資産を取り崩さずに配当でおぎなえる安心感があります。仮に元手が1000万円で利回りが4%なら、取り崩しなしでも税引き前で年間40万円(税引き後で約32万円)ほどの余裕が生まれる計算です。
 
株式そのものは手元に残るため、一時的に値下がりしても企業が配当を継続する限り、保有を続ければ配当を受け取り続けられます。いわゆる長生きリスクに備え、生活費を補う収入源の一つとして選ぶ人もいます。
 

高配当投資の典型的な失敗パターンとは?

高配当投資でありがちな失敗は、暴落局面で慌てて売ってしまう狼狽売りと、利回りの高さだけで銘柄を選ぶ判断ミスです。退職金の大半をつぎ込んだ直後に相場が急落し、恐怖に耐えきれず売却して含み損が確定するといった例も、決して珍しくありません。
 
とくに投資に不慣れな親世代は、含み損が日に日にふくらむ画面を見続けるうちに、もう底なしに下がると思い込んで底値で投げ売りしてしまいがちです。
 
配当目的で買ったはずが日々の値動きに一喜一憂し、下落局面で手放してしまうと、狙っていた配当収入まで失う結果になります。売らずに持ち続けていれば配当を受け取りながら株価の回復も待てたのに、と後悔する声は本当に多いものです。
 
もう1つの落とし穴が、利回りの高さだけを頼りに銘柄を選ぶやり方です。例えば利回りが8%や10%を超えるような銘柄は、業績悪化で株価が下がった結果、見かけ上だけ高くなっている利回りの罠である場合があります。
 
配当利回りは配当金を株価で割って求めるため、株価が下がるほど数字は自動的に高く見えてしまいます。業績悪化による減配がいざ発表されると株価もさらに急落し、配当減と元本割れという二重の損失を受けるおそれもあります。目先の利回りに飛びつく前に、企業の業績や配当性向まで確かめる姿勢が欠かせません。
 

老後のリスク許容度に合わせたキャッシュポジションの決め方

老後のキャッシュポジションは、次の手順で決めると迷いにくくなります。

1. まず100マイナス年齢を目安に、投資へ回す割合を決める。65歳なら資産の35%前後が目安。ただし、「100マイナス年齢」はあくまで簡易的な目安であり、実際の割合は、年金収入や生活費、保有資産、今後の支出、投資経験などに応じて調整する必要があります。
 
2. 今回の親御さんのように投資経験の浅い人は、目安よりさらに10~20ポイントほど現金比率を高め、投資割合を15~25%程度に抑えても良い。
 
3. 生活防衛資金として、2~3年分の生活費はいつでも引き出せる預貯金で確保。
 
4. 数年以内に使う医療費や介護費などの大きな支出は、値動きのある資産へ寄せず、預貯金で分けておく。

なぜ年齢を軸にするかというと、老後は下落からの回復を待てる時間が、現役世代よりずっと短いからです。たとえば退職金2000万円のうち、700万円ほどを高配当株に、残る1300万円を現金で持つ形なら、暴落が来ても毎日の暮らしは揺らぎにくくなります。
 
現金を厚く持てば、市場が20%下落しても資産全体の目減りを株式100%の場合と比べて半分以下に抑えられ、暴落時の狼狽売りも防ぎやすくなります。含み損を見ても慌てずにいられる比率こそが、投資する本人にとっての正しいキャッシュポジションです。親御さんが安心して眠れる水準まで現金を残すのが、老後資金を守る何よりの土台になります。
 

まとめ

老後の高配当投資は、資産を取り崩さずに配当という収入を得られる、頼もしい選択肢です。年金の不足をおぎない、長生きリスクへの備えにもなります。
 
一方で、暴落時の狼狽売りや、利回りの高さだけで飛びつく判断ミスは、大切な退職金を大きく減らす原因になります。守りの要は、100マイナス年齢を目安にした現金比率の設計です。
 
投資経験が浅いなら、さらに現金を厚めに残すと安心できます。暴落が来ても慌てず持ち続けられる範囲で運用し、親子で無理のないルールを話し合っておきましょう。
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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