【キオクシア株】「7万8000円→3万8000円」の暴落で“損切り”…同僚は“240万円分”を「浮動株比率が上がるから」と買い増ししましたが、含み損があるのに大丈夫? 危険な「自分だけが知っている」思い込み

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【キオクシア株】「7万8000円→3万8000円」の暴落で“損切り”…同僚は“240万円分”を「浮動株比率が上がるから」と買い増ししましたが、含み損があるのに大丈夫? 危険な「自分だけが知っている」思い込み
「もう少し待っていればよかった……」
 
職場の後輩は、SNSでも話題となっていたキオクシア株を7万8000円で購入。しかし、その後暴落しついに4万円割れし、3万8000円でこわくなり損切りしたと言います。
 
ところが、株価は反発し、8月17日には6万1400円まで戻りました。その後は再び6万円を割り込みましたが、9月7日時点では6万円際まで戻しています。損切りした3万8000円から水準は上がっているため、後輩が悔しがるのも無理はありません。
 
一方、職場の同僚も同じように7万円台でキオクシア株を購入、含み損を抱えているのに、株価が下落しても強気です。「浮動株比率が上がるから、これから絶対上がる。だから、さらに240万円分買い増した」というのです。
 
キオクシア株を7万円台で350万円分購入し、今現在含み損を抱えたまま、さらに240万円を追加するほどの自信は、いったいどこから来るのでしょうか。
藤田寛子

1級ファイナンシャルプランニング技能士、証券外務員二種

浮動株比率が上がるから絶対上がる

同僚が期待しているのは、キオクシアの浮動株比率の変更です。
 
日本取引所グループ(JPX)は7月10日、2026年10月の浮動株比率の定期見直しについて、キオクシアの変更を一度に適用せず、10月最終営業日と11月最終営業日の2段階に分けて適用すると発表しました。
 
見直し後の浮動株比率は、10月の第5営業日に公表される予定です。これは、指数連動運用や市場への影響を緩和するための措置です。
 
TOPIXは、浮動株時価総額加重型の指数です。浮動株比率が上がれば、ほかの条件が同じなら、TOPIXにおけるキオクシアの組み入れウエートが高くなる可能性があります。
 
すると、TOPIXに連動する投資信託やETFなどから、キオクシア株への買い需要が発生すると考えられます。
 
同僚からすれば、「これだけ大きな買いが期待され、しかも実施時期も決まっている。だから絶対上がる」と考えているのでしょう。しかし、ここで一度考えたいことがあります。
 

「自分だけが知っている」は危険な思い込み?

その情報を知っているのは、同僚だけなのでしょうか。キオクシア株を購入している投資家のなかには、同じように「浮動株比率が上がれば買いが入る」と考えている人がほかにもいるのではないでしょうか。
 
つまり、同僚が「今のうちに仕込んでおけば、みんなが買うからもうかる」と考えていても、実際には同じ情報を見て、すでに買っている投資家がいるかもしれません。
 
そうなると、「これから買われるだろう」という期待そのものが、すでに株価に織り込まれている可能性があります。株価は、現在の企業の価値だけを表しているものではありません。
 
今後の業績見通し、政策金利、為替、メモリ価格、AI需要、そして「浮動株比率が上がるから買いたい」と考える投資家の動向など、さまざまな情報や期待を織り込んで形成されています。
 

「みんなが買えば、みんなもうかる」のか?

では、同じように考えた投資家がみんなキオクシア株を買ったら、みんながもうかるのでしょうか。
 
そうとは限りません。買いたい人が増えれば、株価が上昇することはあります。しかし、利益を確定するには、最終的にその株をより高い価格で買ってくれる人が必要です。
 
「浮動株比率が上がるから買いが入る」という期待で多くの投資家が買えば、その期待によって株価が上昇する可能性はあります。
 
一方、「思ったほど買いが入らなかった」「すでに期待が株価に織り込まれていた」となれば、今度は売りたい人が増えることもあります。「自分だけが先に知っている」と思っていた材料が、実は多くの投資家に知られていた。個別株投資では、こうしたことも起こります。
 

株価が下がれば「指数の買い」の効果も変わる

さらに、同僚の「絶対上がる」という考え方には、もう1つ注意したい点があります。TOPIXにおけるウエートは、浮動株時価総額をもとに決まります。浮動株時価総額は、株価が下がれば小さくなります。
 
例えば、株価が10万円のときと5万円のときでは、発行済み株式数や浮動株比率などの条件が同じなら、浮動株時価総額は大きく変わります。
 
そのため、浮動株比率が上昇して指数でのウエートが高くなったとしても、株価が下落していれば、指数連動ファンドによる買い需要の金額も小さくなる可能性があります。
 
つまり、「指数連動ファンドが買う」という材料だけで、株価がどこまでも上がるわけではありません。
 

「絶対上がる」と思ったときこそ考えたいこと

株式投資では、非常に良い決算が発表されても株価が下落することがあります。
 
「良い決算になる」ことが事前に株価へ織り込まれていて、さらに「次の決算ではもっと上方修正するだろう」とまで期待されていれば、実際に上方修正されても、市場の期待を下回ったことで、「材料出尽くし」として売られることがあります。
 
キオクシアについても同じです。「浮動株比率が上がるから買いが入る」という情報は、投資判断の材料にはなるでしょう。しかし、それを知っているのが自分だけではないとしたら、そして、その期待を多くの投資家がすでに株価に織り込んでいるとしたらどうでしょうか?
 
「だから絶対上がる」とまでは言えません。7万円で50株350万円相当のキオクシア株を購入した同僚が、含み損を抱えながらさらに240万円を買い増したことを見て、「自分も買ったほうがいいのでは」と思うかもしれません。
 
しかし、強気になるほど、その根拠となっている材料が「自分だけの情報ではない」という視点も持ちたいところです。
 
キオクシア株の上昇を期待することと、「絶対に上がる」と思い込むことは違います。期待が強くなるほど、予想が外れたときのリスクが大きくなります。個別株では、「上がる理由」だけでなく、「もし上がらなかったらどうするか」まで考えておきたいところです。
 
執筆者 : 藤田寛子
1級ファイナンシャルプランニング技能士、証券外務員二種

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