妻が「非課税枠をできるだけ使いたい」とNISAへの投資を増やしました。そのせいで旅行や外食を我慢していますが、“今の生活を削ってまで”投資する必要はあるのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
NISAの枠は「使わないと損をする期限付きクーポン」ではない
NISAでは、通常は約20%課税される株式や投資信託の売却益、配当・分配金が非課税になります。2024年からの制度は、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すれば年間360万円まで投資できます。非課税保有限度額の総枠は1800万円です。
ただし、これは投資できる上限であって、目標額ではありません。今年使わなかった年間投資枠を翌年へ繰り越すことはできませんが、だからといって生活費を切り詰めて毎年360万円を入れる必要はありません。利益が出なければ非課税の恩恵はなく、購入した商品が値下がりすれば元本割れもあり得ます。
先に確保したいのは、近い将来に使うお金
まずは、毎月の生活費と、数年以内に予定している支出を整理します。病気や失業、家電の故障などに備える予備資金のほか、住宅購入、教育費、車の買い替え、旅行など、使う時期が近いお金は値動きのある商品と分けておくほうが安心です。
例えば、手取り月収40万円の家庭が、以前は月5万円だった積立額を10万円へ増やしたとします。すると年間投資額は60万円増えますが、そのために夫婦の楽しみや必要な交際費が削られるなら、家計に合った設定とは言いにくいでしょう。まず月7万円にするなど、現在と将来の両方に使える分を残す方法を選ぶとよいでしょう。
節約と投資の目的を夫婦で決める
問題は、外食や旅行を減らすこと自体ではなく、夫婦がその理由と期間に納得しているかです。「老後資金を何歳までにいくら準備したいのか」「旅行を年何回は楽しみたいのか」を数字にすると、投資額の妥当性を話しやすくなります。
一方だけが将来への不安から投資額を増やし、もう一方が我慢を強いられていると感じれば、資産は増えても暮らしの満足度は下がります。投資額を固定するのではなく、賞与月だけ増額する、旅行積立を別口座に確保する、半年ごとに見直すといったルールを設けるのも一案です。
長期・積立・分散も、無理なく続けることが前提
金融庁は、安定的な資産形成の考え方として長期・積立・分散を紹介しています。ただし、NISAは元本を保証する制度ではなく、特定の商品や投資額を国が推奨するものでもありません。生活資金が不足して相場下落時に売却すれば、長期保有を続けられなくなる可能性があります。
非課税枠を埋めることより、家計に余裕を残して継続するほうが現実的です。金額を減らすことは投資の失敗ではありません。必要に応じて積立設定を見直し、自分たちの生活に合う速度で資産形成を進めましょう。
まとめ
NISAの年間投資枠360万円は上限であり、すべてを使い切る必要はありません。旅行や外食を控えることに夫婦とも納得しているならよいですが、今の生活を過度に犠牲にする必要はないでしょう。生活防衛資金と近い将来の支出を先に確保し、現在の楽しみと将来の目標を両立できる積立額を話し合うことが大切です。
出典
金融庁 NISAを利用する皆さま 令和6年6月(令和7年9月改訂)
金融庁 はじめてみよう!NISA早わかりガイドブック
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
