夫が「NISAに月3万円、ボーナスは30万円入れる」と決めるも、わが家は「手取り30万円・生活費28万円」…50歳から“老後2000万円”を目指すそうですが「NISA貧乏」になって終わりではないでしょうか?
本記事では、手元資金が少ない状態で限界以上に投資し生活が破綻する「NISA貧乏」の危険性と、計算式を用いた適正な投資割合の算出、そして長く働くことを交えた無理のない老後資金計画の立て方を解説します。
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目次
毎月の赤字が招く「NISA貧乏」とは?
例えば、手取り月収30万円に対して毎月の生活費が28万円の場合、家計の余剰金は2万円しかありません。NISAへ毎月3万円を積み立てると、毎月1万円の赤字が発生していることになります。
さらに、ボーナスから30万円をNISAへ拠出した場合、突発的な支出に対応する現金の余力が少なくなるでしょう。結果として、現在100万円ある貯金を、生活費の補てんとして切り崩す必要が生じるかもしれません。
このように、投資口座の数字は増えても手元の生活費が不足し、日々の生活に困窮したり、損失が出ているタイミングで投資信託を解約(損切り)せざるを得なくなったりする状態を「NISA貧乏」といいます。
「老後2000万円」を目指す積立額の現実的な計算
50代から「老後2000万円問題」をNISAだけで解決しようとすると、運用期間が短いため家計への金銭的負担が過大になります。
現在50歳だとして、65歳までの15年間で2000万円を貯金するケースでは、毎月いくらの積立が必要になるのかを計算してみましょう。仮に年利5%とし、15年間運用して目標金額2000万円を用意する場合、毎月の積立額は約7万6000円が必要です。
「毎月3万円+ボーナス30万円(年1回拠出)」の計画を立てた場合、年間で66万円、月換算では5万5000円のペースとなります。これでも目標の7万6000円には届かず、2000万円を作ることは困難です。
そのうえ、前記の通り毎月の収支が赤字になる無謀な計画であるため、数字の面から見て現実的ではありません。
投資の前に確保すべき「生活防衛資金」の計算式
投資を本格的に始める前に、まずは不測の事態に備えるための「生活防衛資金」を現金で確保することが、家計管理の基本です。生活防衛資金とは、病気による休職や会社の業績悪化などで収入が途絶えた際、当面の生活を維持するためのお金です。
一般的に、会社員世帯における生活防衛資金の目安は「毎月の生活費の3~6ヶ月分」とされています。今回のケースで考えると、3ヶ月分なら84万円、6ヶ月分なら168万円が必要ですが、現在の貯金額は100万円のため、余裕を見た生活防衛資金としては68万円不足している計算です。
まずは、NISAへの積立額を無理のない範囲に抑え、家計の余剰金やボーナスは現金の貯蓄に回し、168万円の確保を優先しましょう。
手元に十分な現金がある状態を作ってから、段階的にNISAの積立額を増やすのが、安全な資産形成の手順です。
投資額を増やすための「生活費28万円」の見直し
手元の現金を確保した後にNISAへの投資額を増やしたい場合は、手取り30万円に対する「生活費28万円」の支出構造を見直さなくてはなりません。
手取り収入の約93%を生活費が占めている状態は、固定費が膨らんでいる可能性が高いでしょう。例えば、スマートフォンの通信費を見直して5000円、不要な生命保険を解約して1万円カットできれば、月に1万5000円が抑えられます。
このように固定費を削減できれば、生活費は26万5000円に下がり、毎月の余剰金は3万5000円に増えます。この余剰金の範囲内でNISAを積立すれば、生活が破綻するリスクを軽減できます。
資産寿命を延ばす「長く働く」選択肢
「老後2000万円」という数字は、一定のモデル世帯を前提として、老後の収入と支出の差額から算出された資金不足の目安です。50代から無理してNISAに生活費を注ぎ込むよりも、定年後も健康な範囲で「長く働く」ことで、資金不足を補うといった選択肢があります。
例えば、65歳以降もパートやアルバイトで毎月5万円の収入を得る場合、1年間で60万円、10年間で600万円になります。夫婦2人で月に10万円稼げば、10年間で1200万円となり、「老後2000万円問題」の大部分を労働収入だけで解決できる計算になります。
健康状態などにもよりますが、手元の現金を減らしてまで過大に投資するより、長く働いて収入の柱を維持することのほうが、老後の資金不足に備える有効な方法ではないでしょうか。
手元現金の確保と身の丈に合った運用で家計を守る
手取り月収30万円、生活費28万円という家計で、毎月3万円とボーナス30万円をNISAに回す計画は、手元の現金が不足する「NISA貧乏」を招く恐れがあります。
まずは、生活防衛資金として生活費の6ヶ月分(約168万円)を現金で確保することを優先し、投資は家計の余剰金の範囲内で行うことが大切です。
「老後2000万円」という目標に縛られず、固定費の見直しによる余剰金の創出と、定年後も長く働く視点を持つことで、日々の生活を脅かすことなく、安心できる老後資金計画を立ててみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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