JTは“配当利回り4%”なのに「100万円投資したら、将来年8万円もらえる」と言う友人。利回り4%なら「4万円」のはずが、なぜ“倍になる”のでしょうか? JTの「配当金の実績」をもとに解説
今回は、高配当株として知られるJTを例に、100万円投資した場合の配当金や、将来8万円もらえる可能性について解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
配当利回り4%なら100万円で年間4万円
配当利回りとは、現在の株価に対して年間でどのくらいの配当金を受け取れるかを示す指標です。例えば、配当利回り4%の株式を100万円分購入した場合、単純計算では年間の配当金は、4万円です(100万円×4%)。
もちろん、株価は推移しますので、実際に100万円で購入できる株数は一定ではなく、購入する株数によってもらえる配当金額の総額は変わります。また、NISAではなく課税口座で保有する場合、配当金には原則として税金がかかるため、4万円をそのまま手取りで受け取れるわけではありません。
友人が「将来8万円」と考える理由は?
友人が100万円の投資で将来8万円の配当金が得られると考える理由は、JTがこれまで配当金を増やしてきた実績を見ているのかもしれません。
JTによると、1株あたりの年間配当金は2016年度の130円からほぼ上昇傾向をたどり、2026年度は272円の予想となっています。つまり、約10年間で2倍を超える水準となっています。
仮に100万円分購入した株式をそのまま保有し、将来的に1株あたり配当金が購入時の2倍になれば、購入金額に対する年間配当金も4万円から8万円程度になる計算です。
つまり、友人の「将来8万円」という話は、「今後も増配が続いて配当金が2倍になる」という想定なら、計算上はあり得る話です。
今後の配当金は約束されていない
ただし、過去10年間で配当金が約2倍になったからといって、次の10年間でも同じように2倍になるとは限りません。
JTは株主還元方針として、「強固な財務基盤を維持しつつ、中長期の利益成長を実現することによる株主還元の向上を目指す」としています。また、配当性向は75%を目安に、プラスマイナス5%程度の範囲で判断する方針です。
一方、JTの配当金は毎年必ず増えてきたわけではありません。2020年度の年間154円から、2021年度には140円へ減配しています。その後は2022年度188円、2023年度194円、2025年度234円と増え、2026年度は272円を予想しています。
企業の配当金は利益や経営方針などによって決まるため、「これまで増えたから、これからも同じペースで増える」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
高配当株は利回りだけで選ばないことが大切
高配当株を選ぶときは、現在の配当利回りだけではなく、これまでの配当実績や企業の配当方針、業績なども確認することが重要です。見るべき指標として、例えば「配当性向」が挙げられます。
これは、企業が稼いだ利益のうち、どの程度を配当金として株主へ還元しているかを示す指標です。配当性向が高すぎたり低すぎたりしないかという点は、安定して配当金を受け取れる可能性を考える際に重要となってきます。
また、JTの場合では、たばこ市場を取り巻く規制強化や競争激化といった事業上のリスクがあります。高い配当金だけでなく、「今後も利益を確保し、配当を維持・増加できるのか」という視点で見る必要があるでしょう。
まとめ
配当利回り4%のJTに100万円投資した場合、現在の水準を前提とすれば年間の配当金はおおむね4万円です。
一方、JTの1株あたり年間配当金は2016年度の130円から2026年度予想の272円へ、約10年間で2倍以上になっています。そのため、今後も同程度に増配すれば「将来年間8万円」という可能性が計算上はあり得ます。
しかし、増配は保証されているわけではありません。高配当株へ投資する際は、「利回り4%だからお得」と考えるだけでなく、増配実績や配当方針、業績、配当性向などを確認し、将来も無理なく配当を続けられる企業なのかを考えることが大切でしょう。
出典
日本たばこ産業株式会社 JT 株主還元方針・配当
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
