「トヨタ=鉄板の優良株」と“200万円分購入”したのに「1株4000円→3000円」を切りショック! 早めに売って“損切りすべき”ですか? なぜ停滞が続いているのか…「トヨタ神話」が揺らぐ背景
本記事では、1株4000円ぐらいでトヨタ自動車の株を200万円分買っていたら、現在の含み損がどれくらいになるのか試算するとともに、株価が低迷している理由を解説します。さらに、今後のトヨタ株への投資について考察しますので、参考にしてください。
FP2級
タイミング悪くトヨタ自動車株を200万円分購入していたら?
トヨタ自動車の株価は10年の長期スパンで見れば、2016年の水準からは3倍近くに成長しています。しかし、直近2年の株価は軟調で、変動はあるものの上値が重たい状態です。
とくに2024年や2026年には、1株4000円近くまで株価が上昇しても、直後に大きな下落局面に入る傾向を繰り返しており、2026年10月時点の株価は3000円を切る水準にとどまっています。
もし、1株4000円ほどの水準で500株、つまり約200万円分を購入していた場合、現在の評価額は1株約3000円×500株=約150万円となり、含み損は約50万円に達しているでしょう。優良企業の代表格であることから「トヨタなら安心」と株を購入した人にとって、このような事態は想定外かもしれません。
なぜトヨタ自動車の株価は低迷しているのか?
トヨタ自動車は時価総額も大きく、過去の株価の値動きを見ると、日経平均株価と連動した動きを見せていました。しかし、日経平均株価がこの2年間で3万円台から7万円をうかがうハイパフォーマンスを見せているにもかかわらず、トヨタ自動車株の水準は停滞したままです。
時価総額トップの座も別の企業に奪われるなど「トヨタ神話」が揺らぎつつある状態なのかもしれません。ではなぜ、トヨタ自動車の株価は停滞が続いているのでしょうか?
株価低迷には複数の要因がありますが、まずは業績が市場の期待に届いていないという側面があります。とくに営業利益に関しては2期連続で減益となっており、2027年3月期も減益が見込まれています。
2025年3月期と2026年3月期決算の比較で言えば、販売台数は微増になっているものの、資材高騰や米国関税などによるコストアップが重荷となり、利益を圧迫しています。
とくに1兆円を超える米国関税のマイナス要因をカバーするまでには至っていません。簡単に言い換えれば「車の売れ行きは普通だけど、コストが増えた分だけ利益が減った」という状態です。
また、気になる今後の見込みについても、大きなトレンドの変化が見られません。2027年3月期の業績見込みでは、長引く中東情勢への懸念もあり、販売台数は横這い、営業利益は引き続き減益の見込みです。
また、トヨタだけでなく自動車メーカーはAI・自動運転技術やEVといった領域の拡大などにより、ビジネスモデルの転換期を迎えていると言えるでしょう。トヨタも中長期では従来のクルマづくりだけでなく、陸海空での多様で新たな移動・運搬手段の提供や、人とロボットが協働する「ロボティクス」の積極展開などを視野に入れています。
もちろん、業績には為替や世界経済の動向も大きく影響します。しかし、短期的には中東情勢や米国関税などの外部要因、中長期で見れば現在の自動車メーカーの枠を超えた領域での競争が、今後の株価を左右するのかもしれません。
トヨタ自動車の株は早く売るべき?それとも買い?
株価が軟調で、短期的には劇的な上昇が見込みにくいトヨタ自動車の株は早めに見切りをつけたほうがいいのでしょうか。もちろん、手っ取り早く株の売買で大きな利益を得たいのであれば、リスクを取って、もっと成長性の高い企業に乗り換えるのも1つの方法です。
しかし、トヨタ自動車は世界で販売台数1位の自動車メーカーに変わりはなく、会社の財務基盤は依然として安定しています。少なくともPBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)といった株価の代表的な指標を見る限り、今の株価が割高とまでは言えないでしょう。
また、配当金による株主還元にも力を入れており、配当利回りが3%を超える水準なのは、株主にとって1つの大きなメリットです。
もちろん、株価がいつ上昇トレンドに戻るかは誰にも分かりません。しかし、健全経営で安定した配当もあるトヨタ自動車の株は、少なくとも慌てて「パニック売り」するような状況には見えません。
むしろ、株価低迷の現状を「買い場」と捉える人もいるでしょう。いずれにしても、今後の売買については、今の株価低迷の要因がどうなっていくのか、さらには将来的な企業変革の動きを見定めて、慎重に検討する必要がありそうです。
まとめ
もし、トヨタ自動車の株を1株4000円ぐらいのときに200万円分購入していたら、株価の下落により含み損が50万円を超えている可能性もあります。トヨタ自動車は中東情勢や米国関税の影響で利益を増やしにくい状況が続いており、株価もその状況を反映していると言えるでしょう。
しかし、トヨタ自動車は依然として世界有数の自動車メーカーであり、今の株価低迷だけで慌てて売却するのは早計かもしれません。今後の株価がどうなるかは、米国関税などの外部環境や、将来的な自動車メーカーの枠を越えた事業展開にかかっているのかもしれません。
もし、トヨタ株に関心がある人は、トヨタの業績や財務状況だけでなく、外部のリスク要因や自動車メーカー全体を取り巻く環境なども調べてみてはいかがでしょうか。
出典
トヨタ自動車株式会社 決算報告
執筆者 : 松尾知真
FP2級
