銀行で「NISAを月2万円」で開始したら、息子に「将来300万円になっても15万円損」と言われました…今どきは“ネット証券が得”と聞きましたが、そんなに違いがありますか?「信託報酬のカラクリ」とは
NISAは、利益にかかる税金(通常約20%)が非課税になる制度ですが、「どこで口座を開設し、どの商品を買うか」によって、将来の手取り金額に数十万円から数百万円の差が生じる可能性があります。
本記事では、銀行窓口とネット証券の違いを解説し、手数料の差が長期間の運用にどのような影響を与えるのかを、計算式を用いてシミュレーションします。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
取扱銘柄と手数料の違い:銀行には「購入時手数料」がかかる商品も
NISA口座は「1人1口座」しか持てないため、基本的には最初に選んだ金融機関のラインアップから商品を選ぶことになります。手続きを行えば金融機関を変更することは可能ですが、年単位の制限があるため気軽に何度も変えられるものではありません。
現在の新NISAでは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)や「eMAXIS S&P500インデックス」といった低コストのインデックスファンドも選択肢です。
しかし、銀行窓口では、購入時手数料や信託報酬が高めの「アクティブファンド」が提案されるケースが少なくありません。そのため、商品のラインアップとコストはセットで確認する必要があるのです。
「将来300万円で15万円の差が出る」信託報酬のカラクリ
手数料の差が長期間の運用や資産額にどのような影響を与えるのか、具体的に確認してみましょう。まず、ネット証券の低コストファンドは、信託報酬が年率0.06%なのに加え、購入時手数料が0円なのも特長です。
一方、銀行窓口のアクティブファンドは、信託報酬が年率1.5%と高く、さらに購入時手数料として取得申込総金額に応じて3.0%などが必要になるケースが多いです。
仮に資産が「300万円」に到達した場合、ネット証券の保有コストは300万円✕0.06%=年間約1800円ですが、銀行窓口のアクティブファンド(年率1.5%)では年間約4万5000円となり、毎年約4万円以上の差が生じます。
これに、購入時に手数料として3.0%が最初にかかるため、300万円分購入すれば約9万円がかかるなど、購入時点ですでに大きな差が生じます。そのため、2年、3年と運用を続けるほど15万円といったコスト差となり、「損をした」と感じる原因になるのです。
月2万円を20年間積み立てた場合の差額
次に、月2万円を20年間(元本480万円)積み立てた場合の将来の資産残高をシミュレーションしてみます。市場の平均的なリターンを「年率5.0%」と仮定し、そこから各商品の信託報酬を差し引いた「実質利回り」で複利計算しましょう。
まず、購入時手数料が0円で、信託報酬を年率0.06%(実質利回り約4.94%)としたネット証券のケースでは、月2万円を20年間積み立てると、将来の運用資産額は約806万円となります。
一方、銀行窓口で販売されるアクティブファンドなどのように、購入時に3%の手数料がかかり、信託報酬が年率1.5%(実質利回り約3.50%)となるケースでは、毎月の積立額2万円から毎回手数料(600円)が差し引かれるため、実際に投資に回る資金は1万9400円です。
この条件で20年間積み立てた場合、将来の運用資産額は約669万円となります。
初期の購入時手数料の負担や、毎月の投資額の目減り、そして保有中の信託報酬の差が複利で重なることで、20年後の最終的な資産残高には約137万円もの大きな差が生じる結果となりました。
毎月同じように2万円を拠出しても、選ぶ金融機関や商品が違うだけで、これほどの金額差につながる点には十分な注意が必要です。
今からでも遅くない「金融機関変更」のすすめ
すでに銀行でNISA口座を開設し、積立を始めていても、金融機関を変更することは可能です。NISA口座は、所定の手続きを行うことで、年単位で金融機関を変更できます。
今年の分の枠をすでに使っていても、翌年以降の投資枠はネット証券へ変更可能です。ただし、すでに銀行のNISA口座で保有している商品を、別の金融機関のNISA口座へそのまま移管することはできません。
金融機関を変更する際は、現在保有している商品をどうするのかも含めて確認しておきましょう。
手数料の違いを確認し、自分に合った金融機関を選ぶ
銀行窓口で提案されるファンドと、ネット証券が取り扱う低コストのファンドでは、購入時手数料や信託報酬などの違いによって、将来的な資産額に大きな差が生じる可能性があります。
NISAは、投資による利益が非課税になる制度です。その恩恵を最大限に生かすためにも、「どこで」「何を買うか」を決める際には、商品の特徴だけでなく、購入時や保有中にかかる手数料をしっかりと確認しましょう。
手数料率や初期コストのわずかな違いでも、長期間の運用では大きな金額差につながります。自身の大切な老後資金を運用する際は、金融機関ごとの手数料体系や商品を比較し、納得のいく環境を選ぶことが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
