コロナショック相場で積立投資を始める人が増えている? 始めるなら、積立投資の弱点も知っておこう
配信日: 2020.04.24
中でも、若い世代が積立投資を始める好機と考えているようです。ただ、早めに資産運用を計画し始めることは重要ですが、注意すべきこともあえて一点挙げておきたいと思います。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
http://marketoinfo.fun/
株価の急落で、投資を新たに始める人が急増
最高値を更新し続けていた米国などを筆頭に、世界の株価は今年初めまでおおむね堅調に推移していました。しかし、中国の武漢で発生した新型コロナの感染の舞台が欧米に移ったことをきっかけに、2月には一転して急激な下げに見舞われました。
新型コロナに加えて、原油価格の急落も重なり、世界の株価は3月に入って以降も乱高下を繰り返しています。日経平均株価でも、10%を超える下げ幅となる日もありました。まさに、リーマンショックやブラックマンデー級のショックが市場を襲っています。
しかし、この暴落に多くの投資家が苦悩する一方、これを機に新たに投資を始めようとする人も多いようです。3月26日付けの日本経済新聞によると、2月以降のネット証券の口座開設数が大きく増加しているといいます。
マネックス証券を除く大手4社の1~3月の開設数は、初めて50万を超える見込みです。そして、そうした開設者の大半が、投資初心者や若年層であると見られます。楽天証券によると、同社の新規顧客のタイプを2016年と2020年3月で比較してみると、投資初心者の比率が58.8%から、72.3%へと増加したといいます。
同様に、若年層の比率を見ても、51%から61%へと増加しています。また、最大手のSBI証券の発表では、投資信託の月間の積立設定金額が昨年11月末からおよそ3ヶ月半で50億円以上増加し、200億円を超えたといいます。
老後2000万円問題をきっかけに若年層にも資産運用に対する関心が高まっている中、今回の株価急落を好機に積立投資に踏み切る若い人が増えている様子がうかがえます。
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運用効果が高いとされる積立投資
積立投資のメリットとしては、「ドルコスト平均法」が有名です。ドルコスト平均法とは、価格の変動する商品を一定の金額で定期的に買い付けていく手法をいいます。同じ金額で買い付けていくということは、価格が高いときには少なめに買い、低いときには多めに買うことになります。
これによって、価格の変化が読みづらい運用商品であっても、高値で買いすぎたり、安値で買い損ねたりせずに済むというわけです。税制面で優遇制度があって利用が拡大しているiDeCoや、つみたてNISAも、この手法を活用していることになります。
始める前に知っておきたい積立投資の弱点
積立投資は、投資のタイミングが判断できないと考える投資初心者や、一括で多くの金額を運用に回せない若年層には、有用な運用手法です。ただし、始める前にぜひ知っておきたい弱点もあります。それは、運用を長く続けるほど、相場の影響を大きく受けるようになるということです。
当然の話ですが、積立投資を続けるほど、よほどの下げ相場が続かない限り運用残高は増えていきます。運用を始めたころなら、リーマンショックのようなことが起こっても、むしろたくさん買い付けができると、さほど慌てずに済みそうです。
しかし、長年積み立てを行った後にリーマンショックが起これば、そのダメージは莫大なものになってしまいます。積立投資を漫然と行っていると、最終的な運用結果は運用終了時の相場次第となってしまうということです。
積立投資で失敗を避けるには
運用末期に相場が大きく下落していて、自分の運用資産もかなり目減りしていた、というような事態を避けるためには、2つのことが重要です。
まずは、運用状況を定期的に確認するということです。「放ったらかし」は、運を天に任せるということで、運用においてはお勧めできません。ある程度の収益が出ていれば、いったん現金化して利益を確定しておくことも必要です。
積立投資によって入り口である買いを分散するのであれば、出口も分散しておくべきでしょう。
また、運用が後期に近づくほど、預金などのすぐに現金化できるものを増やしておくべきです。それにより、運用終了予定の時期に相場が下落していれば、運用商品の安値での売却を避けて、先に遅らせることができます。
iDeCoでは積み立てた資金は60歳から受け取りが可能ですが、60歳になったときの相場が悪ければ、受け取りを先延ばしするほうが賢明かもしれません。しかしそうした選択ができるのは、預金などの生活資金が他にある場合だけです。
後に振り返れば、現在のようなコロナショック相場は確かに良い買い場だったとなるのかもしれません。運用を長期で考え、早めに計画することも重要です。
しかしまた、長期運用の中では何らかのショックが今後も起こることを想定し、定期的に確認する重要性も心に留めておく必要があります。
(参考)
日本経済新聞 ネット証券、口座開設が急増 株価急落で初心者参入
PRTIMES 歴代業界最多更新!3月の月間口座開設数16万超に
PRTIMES 【主要ネット証券最大級】投資信託の積立設定金額200億円突破のお知らせ
執筆者:北垣愛
マネー・マーケット・アドバイザー