更新日: 2020.12.02 NISA
つみたてNISAの口座開設数が増加?シニアの投資デビューには向いている?
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
つみたてNISAの口座開設数が増加
コロナの影響で、この先の景気がどうなっていくのか不安を感じる声を聞きます。その中で、自粛中に投資を始めた人に関する注目すべきデータがあります。日本証券業協会によると、つみたてNISAの口座開設者数が今年3月末からの3カ月間で16.9%増加。
また6月末時点の、つみたてNISA口座での投資未経験者の割合が76.7%で3月末に比べ2.9ポイント上昇しているというのです。3月にコロナショックで株価が急落する場面がありましたので、「ここは買い時」と口座開設の背中を押すことになったのかもしれません。
そもそも政府が若年層に向けて「老後の資金作りは自助努力も必要」というメッセージを送り続けてきました。つみたてNISAやiDeCoのPRだけでなく、長期分散投資をすることでリスクを軽減できることなどの詳細を説明してきたことも功を奏したといえます。
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資産の寿命を延ばすには
人生100年時代になりました。健康で長生きすることは本来喜ばしいことですが、お金の心配を感じる人も多いです。「老後資金をそのまま取り崩すと〇年で底をついてしまいます。運用しながら資産を取り崩すことで資産の寿命を延ばしましょう」。昨今は金融機関が、こういうフレーズでシニア層に投資を誘います。
これまで投資経験のある人は「そうだね」と納得しつつも、当初の計画は変更しなくてはなりません。現役時代の資産形成期に「貯める」と「殖やす」を実行してきた人たちです。リタイア後はリスクを減らし、株式から債券などに比率を移行するというのが王道でした。
この予定を繰下げる必要があります。大きなイベントがなければライフプランの見直しをする機会はありません。「予定より20年長生きをした場合どうなるか」で、資産を見直してみると良いと思います。
一方で投資未経験のシニアはどうでしょう。
退職金の失敗例として「世界一周豪華客船の旅など高額消費してしまった」と並んで「勧められるままに投資して大損失を被った」があるので気をつけて、という戒めがあります。
この投資の失敗例は、投資先の分散をせず、一括で大金をつぎ込んだに違いありません。加えて「手持ちの500万円を2カ月ごとに100万円ずつ投資します」は面倒なので、時間の分散もしていないと思います。
例えば以前、毎月分配型債券への投資がはやりました。グローバル・ソブリン・オープン(グロソブ)が代表例です。退職金などを預けて、毎月の分配金を受け取ります。
「大金を預けると、毎月かなりのお小遣いがもらえる」という感覚で、人気がありました。定期預金を債券投資に移動した人も多く、「定期預金の利息=債権の分配金」のような勘違いが起きてしまったように思えます。
基本的に定期預金の元本は保証されていますが、債券はそうではありません。始めた時期によっては損もあり得るのです。
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つみたてNISA、アドバンテージはシニアにも
こんな話を聞くと「投資は怖いのでしたくない」「いつ始めたら良いのかタイミングが分からない」と一歩が踏み出せず、結局何もしないまま…ということになってしまいます。もちろん無理強いするつもりはありませんが「後でやっておけば良かった」と後悔するのなら、お勧めのご提案があります。つみたてNISAを使って投資デビューするのです。
つみたてNISAは、長期的に資産形成できるように設計されています。特徴は4つです。
(1)少額から始められる投資信託が対象
(2)運用利益が非課税
(3)非課税枠は年間40万円で、非課税期間は投資した年から最長20年間
(4)対象商品は長期・積立・分散投資に適した商品に絞られている
・販売手数料が0円(ノーロード)で、信託報酬も低い商品
・頻繁に分配金が支払われない商品
「長期的」、それはシニアには向かないのではと指摘されそうですが、そうでもありません。人生100年時代です。今までの予定プラス20年で、ライフプランの見直しをお勧めしました。つみたてNISAは、非課税や手数料などがお得な制度だけでなく、シニアにとって失敗回避のツールともいえます。
(1)投資信託による投資先の分散、(2)積立投資による時間の分散です。現役世代だけでなく、シニアにも強い味方になると思います。
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士