更新日: 2021.01.23 その他資産運用

円預金ならリスクはなく安心なの?現金や預金のリスクとは

円預金ならリスクはなく安心なの?現金や預金のリスクとは
投資にはリスクがあるから銀行に円預金だけをしている、という人も少なくないと思います。確かに普通預金や定期預金に預け入れているお金は、株式投資などをした場合にあるような元本割れといった損失を被るようなリスクはないように見えます。
 
では、預金をしていれば安心といえるのか考えてみたいと思います。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

日本の家計の金融資産の半分以上は現金や預金

日本銀行調査統計局が2020年12月21日に発表した2020年第3四半期の資金循環(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は9月末時点で1901兆円となり、過去最高を更新したようです。
 
金融資産のうち現金・預金が前年比4.9%増の1034兆円と全体の54.4%となり、半分以上を占めています。また、投資信託は72兆円(前年比1.6%増)、株式などは181兆円(同1.8%減)となったようです。
 

2020年9月末残高 残高(兆円) 構成比(%)
現金・預金 1034 54.4
債務証券 26 1.4
投資信託 72 3.8
株式など 181 9.5
保険・年金・定型保証 530 27.9
その他 58 3.1
金融資産計 1901

※日本銀行調査統計局 「2020年第3四半期の資金循環(速報)」より筆者作成
 
投資対象としてイメージのある投資信託や株式などの金融資産に占める割合は全体の1割強となっており、この割合は近年あまり大きな変化は見られないようです。
 
2020年8月21日に同じく日本銀行調査統計局が公表した「資金循環の日米欧比較」によると、2020年3月末時点の金融資産の割合は、日米欧で以下のように大きな違いが見られます。
 


出典:日本銀行調査統計局 「資金循環の日米欧比較」
 
日本と米国の比較では「現金・預金」と「投資信託」「株式等」の金融資産に占める割合がほぼ真逆といっても良いかもしれません。
 

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金融資産増加の差の要因の1つが投資割合の差

金融庁が公表している平成31年4月12日付「人生100年時代における資産形成」資料によると、1998年からの20年を見ると米国の家計金融資産が2.7倍と伸びているのに対し、日本では1.4倍にとどまっているようです。
 
この背景には先に見た金融資産のうちの「投資信託」「株式等」から生み出された運用リターンの違いの結果がその1つと分析されています。
 
また年代の起点の違いはありますが、同資料の以下の図も日本と米国で年齢を重ねるごとの資産の増え方の違いが、日本ではほぼ現金・預金による積み上げに対して、米国では投資による資産の増加が見て取れます。
 


出典:金融庁 「人生100年時代における資産形成」
※米国の退職口座とはIRA、401(k)などの税制優遇のある確定拠出型年金制度
 

円の現金や預金のリスク

一般的には円の現金や預金にはあまりリスクがあるイメージはないかと思います。しかし、実際には例えば以下のようなリスクが考えられます。

・円は日本という国(政府・日本銀行)の信用がその担保となっているため、国の信用が揺らげば円の価値は下がる可能性がある
・モノの価値が上がれば相対的に円の価値は下がる可能性がある

今でも為替市場において、円はしばしば「安全資産」や「逃避先」と表現されています。この背景には世界最大の対外債権国であることや、日本の治安の良さなどがいわれているようです。このことは日本という国の信用にもつながっているかもしれません。
 
一方で、コロナ禍で各国とも借金は増加傾向ですが、日本政府の借金は対GDP比で約238%(2019年)と世界で最も高く、また少子高齢化も日本が世界で最も進んでいるといわれています。このことは将来の日本の信用に影響がないとはいい切れず、円の価値のリスク要因となり得ます。
 
またこれまで日本ではデフレ(モノの価値が下がる)傾向にあったことから、現金や預金を持っていることはある意味合理的な選択だったといえるかもしれません。
 
しかし、アベノミクスやコロナ禍対策での大規模な金融緩和により大量の円紙幣が発行されています。このことは将来の円の価値を下げインフレ(モノの価値が上がる)の可能性を高めているといえます。
 

円預金でも、それは円預金という投資

円預金は投資ではないという意見もあるかと思いますが、筆者は円預金も投資の1つと考えます。端的にいってしまえば、円預金をするということは「日本」と「デフレ」に賭けて投資しているようなものといえます。
 
働いて得た対価(お金)は将来受け取れるモノやサービスの交換のための価値としてなんらかの形に変えて保存しておくことが必要です。その価値の保存先として円やドル、株式や投資信託、金(ゴールド)やビットコイン(仮想通貨)などがあります。そしてその価値が変わらないように、もしくは今より上がる可能性のある保存先を選択することが投資といえます。
 
円預金もあくまでそれらの選択肢の1つとしての投資といえるのではないでしょうか? そう考えれば、円預金しかないということは円に集中投資しているわけで、投資リスクを抑えるためには円預金以外の分散投資も必要になってくると筆者は考えます。
 
出典・参考
日本銀行調査統計局 資金循環の日米欧比較
金融庁 人生100年時代における資産形成
日本銀行調査統計局 2020年第3四半期の資金循環(速報)
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
 

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