仮想通貨で利益が出たときの税金はどうなるの?
配信日: 2021.02.14 更新日: 2021.02.15
そんな仮想通貨には、どういった税金がかかるのか見ていきたいと思います。
執筆者:小山英斗(こやま ひでと)
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/
仮想通貨にはどんなときに税金がかかる?
仮想通貨で税金がかかる可能性があるのは、基本的には仮想通貨を売却して利益が出たときです。しかし、他にも利益があったとみなされるケースがあります。仮想通貨で「利益が出た」場合となるのは以下のようなケースです。
●仮想通貨を売却したとき(日本円などの法定通貨に替えたとき)に利益が出た
●所有している仮想通貨を別の仮想通貨に交換(例:ビットコインをイーサリアムへ交換)したときに利益が出た
●仮想通貨を使ってモノやサービスを購入したときに利益が出た
●マイニング(取引の承認作業)をしてビットコインを手に入れたときなど
始めの3つについては、仮想通貨を購入したときにかかった取得費用より、仮想通貨を手放して別のモノを手に入れた時点で所有していた仮想通貨の時価が高ければ、利益があったことになります。
マイニングによりビットコインなどを得た場合は、手に入れた仮想通貨の時価からマイニングにかかった必要経費を引いた分が利益となります。
なお、仮想通貨を所有しているだけでは、その所有中に価格が上がっても税金がかかることはありません。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
仮想通貨で税金の申告が必要な人とは?
仮想通貨で利益があったとき、確定申告によって所得として申告する必要があります。ただし、全ての人が申告の対象となるわけではありません。確定申告が必要となるのは以下のような人です。
●給与や退職金とは別に仮想通貨を含めた他の所得が20万円を超える人
●公的年金の所得が400万円以下で、仮想通貨を含めた他の所得が20万円を超える人
●扶養に入っている人(専業主婦や学生など)で仮想通貨を含めた所得が48万円を超える人
仮想通貨の利益にかかる所得税の計算
なんらかの収入を得て所得が発生したときには、所得税の計算対象となります。所得税を計算する場合、所得を10種類の所得(給与所得や事業所得など)に分類して計算しますが、仮想通貨で得た利益は「雑所得」に分類します。
雑所得は他の給与所得などと合算して総合課税されます。そのため、利益に対してどのくらい所得税がかかってくるのかは他の所得によっても変わってきます。また、その所得が多くなればなるほど、税率が上がる累進課税となっています。
総合課税される所得税の計算の大まかな流れは以下のとおりです。
- 1. さまざまな収入ごとに必要経費を引いた総所得金額を求める
- 2. 総所得金額から基礎控除や社会保険控除などの所得控除を引いた課税所得を求める
- 3. 課税所得に税率をかけて税額を求める
- 4. 税額から税額控除を引いて実際の納税額を求める
以下は、所得税の速算表です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円~195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円~330万円未満 | 10% | 9万7500円 |
330万円~695万円未満 | 20% | 42万7500円 |
695万円~900万円未満 | 23% | 63万6000円 |
900万円~1800万円未満 | 33% | 153万6000円 |
1800万円~4000万円未満 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
※国税庁 「No.2260 所得税の税率」より筆者作成
例えば、給与所得(給与収入から給与所得控除額を引いた額)が400万円、仮想通貨の売却益(雑所得)が100万円、所得控除額(基礎控除や社会保険控除額など)が120万円あった人(税額控除なし)の場合の所得税は以下のように計算されます。
総所得金額:給与所得400万円+雑所得100万円=500万円
課税所得 :総所得金額500万円-所得控除額120万円=380万円
所得税 :課税所得380万円×税率20%-控除額42万7500円=33万2500円
これが給与所得だけだった場合は、以下のようになります。
総所得金額:給与所得のみの400万円
課税所得 :総所得金額400万円-所得控除額120万円=280万円
所得税 :課税所得280万円×税率10%-控除額9万7500円=18万2500円
仮想通貨の売却益100万円があった場合、給与所得400万円だけの場合に比べて所得税が15万円増えていることが分かります。
※2013年から2037年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則として、その年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。
なお、仮想通貨の取得や売却においては、それらを何度かに分けて行ったりすることがあるかと思います。仮想通貨の所得を具体的にどのように計算するかは、国税庁ホームページ「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について」に用意されている計算書が利用できます(移動平均法と総平均法のいずれかで計算する必要があります)。
また、仮想通貨で損失が出た場合は、以下の点に注意が必要です。
●給与所得などの他の所得から、その損失を差し引くことはできない
●損失を翌年に繰り越すことができない
まとめ
ここまで仮想通貨の利益にかかる税金として、主に所得税について見てきました。しかし、所得税以外に住民税も仮想通貨の利益の課税対象となります。住民税については「所得の計算」で見てきた課税所得の10%くらいが目安となります。
給与所得以外の仮想通貨などによる雑所得が20万円以下のため所得税の確定申告をする必要がない場合で、忘れてしまいがちなのが住民税の申告です。20万円以下は申告不要といった免除規定は所得税についてのもので、住民税にはありません。所得税の確定申告は不要でも、住民税の申告は必要になることに注意しましょう。
参考
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)