更新日: 2019.01.10 株・株式・FX投資

米国株、そろそろ上昇もピークに?

米国株、そろそろ上昇もピークに?
筆者は日本人として日本企業を応援したいのですが、自分が投資した資金が利益を生むという観点で考えれば、どうしても米国株に軍配があがり、応援という漠然とした理念ではなく結果をもたらしてくれるというドライ・客観的な基準に基づけばやはり米国株と言わざるを得ないかと思います。そろそろ、上昇もピークという声に対する反論を示したいと思います。
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

過去の規則性に則った景気判断

 
チャートやトレンドを重視する方の主張は「景気サイクル」論です。景気をみると歴史的に循環を描きながら変動しているというもので、拡大局面と後退局面の2つに分けます。
 
このうち後退局面をよくリセッションという名前で呼んでいます。日本政府も、多くの経済指標をベースに景気動向指数を合成して、そこから拡大・リセッションと判断づけをしています。
 

在庫循環という言葉が色あせてきた

 
景気転換点を決定づける最大のキーワードは「在庫循環」です。在庫が減少すれば、それは消費が旺盛な証拠で、その在庫減少に基づき企業は生産活動を活発化する。
 
そして当初は、プラスの面で(景気がよくなる証拠)在庫の積み上がりを解釈するけれども、やがて生産過剰になり景気という観点からはマイナスの面での在庫の積み上がりが確認され、企業は生産調整を行いそれとともに景気はリセッションに転換するという考え方です。
 
しかし、今は製造業よりも非製造業のほうが売上・利益両面から景気に及ぼす影響は大きくなっているため、この在庫循環により景気の拡大・縮小を判断するのは適切ではなくなっています。
 

数字で測ることが難しい要因で判断するべき

 
2017年にノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授の行動経済学などは在庫循環論が主流だったころには影も形もありませんでした。景気循環としてとらえるのではなく、消費者の行動、企業側の利益追求の在り方を見ていくと、まだ上昇余地はあると判断できると思います。
 
例えばFRBの金融政策、トランプ大統領の政策運営、その目玉となる減税法案の議論の進捗、これらは数字で割り切れるものではありません。
 
企業側のM&A戦略についても然りです。過去のトレンド、循環論で「そろそろ拡大局面は終盤(のはず)」という考え方に縛られていると見誤ることになります。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

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