更新日: 2022.05.24 キャリア
ポータブルスキルとは? 年収アップにつながるスキルの考え方
本記事では、そんな方にぜひ知って欲しい、「ポータブルスキル」について解説します。
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
ポータブルスキルとは?
ポータブルスキルについて、厚生労働省は業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」であると定義しています。例えば、問題を分析し考える力や、人とのコミュニケーション能力などです。
別な表現をすれば、どんな仕事でも、どんな会社でも必要とされる能力だといえます。これに対して、「テクニカルスキル」は専門知識や専門技術を意味するので、対極にあるといえます。
ポータブルスキルを生かす方法は?
年収を増やす方法には、勤務先の会社でさらに上の役職に就くか、転職や副業、スキルや能力を高めるために先行投資をするなど、さまざまな方法があります。
このときに、自分のポータブルスキルを認識し、さらに自分の強みとして活用することで、仕事におけるパフォーマンスや生産性が上がり、社内の評価を高め、収入がアップする道を広げられることになります。
内閣府の年次経済財政報告(2018年度)によると、自分の思考や能力を高めるための自己啓発努力をすると、2年後には年収が9万9000円、3年後には15万7000円アップしたというデータがあります。もちろん、ポータブルスキルは転職や副業に生かすこともできます。
ポータブルスキルは、「仕事の仕方」と、「人との関わり方」の2つに分けて考えます。「仕事の仕方」とは自分の課題の捉え方や取り組み方、「人との関わり方」とは対人関係に関するスキルのことを指します。
仕事の仕方(対課題)におけるポータブルスキル
仕事の仕方(対課題)とは、自分の仕事上で抱える課題にどのように向き合い、どのように解決するのかというスキルのことです。
仕事には目的があり、解決したい課題があるはずです。課題を解決するスキルは、下記のような観点で分けることができます。
・現状の把握…必要な情報を収集し分析する力
・課題の設定…課題を特定する力
・計画の立案…課題解決のために必要な計画を立てる力
・課題の遂行…課題に取り組み、推進する力
・状況への対応…予期せぬ状況に対応する力
「課題を明らかにし、計画を立てて実行する」能力がどれだけ高いかで、仕事ができる人かどうかの評価に影響します。
人との関わり方(対人関係)におけるポータブルスキル
仕事の多くは、1人で完結させることはできません。「人との関わり方」は次のような観点で考えることができます。
・社内対応…経営層、上司、関係部署との関わり
・社外対応…顧客や企業のパートナーなどとの関わり
・部下のマネジメント…部下の評価や指導、チームや部下をまとめていく力
コミュニケーション能力の高い人は、上司や周りの人とうまく関わり仕事ができるため、良い評価につながりやすいです。
ポータブルスキルを身につけるには?
ポータブルスキルは実は社会人の基礎として、仕事をしたことがある人なら誰でも多少なりとも経験し、身につけていると考えられます。その上で、自分がどのスキルを得意としているのか、やりたい仕事にはどんなスキルが特に必要とされているのかを明確にし、さらに伸ばしていく工夫や努力が大切です。
例えば、「仕事の仕方」のポータブルスキルをさらに細かく分けると、文章力や情報収集能力、論理的思考(物事を道筋をたてて考える力)やポジティブシンキング(前向きで積極的な考え方)、時間管理力(タイムマネジメント)などがあります。
「人との関わり方」のポータブルスキルは、ビジネスマナーや人をまとめる力、企画を管理・推進する力などが支えています。
文章力は、企画書や報告書など書類作成には不可欠なものです。数多く書類を作成したり、本を読んだりすることでスキルアップにつながります。
情報収集能力は、常にアンテナを張り幅広く関心をもつことだといえます。
ビジネスマナーは、社会に出ると上司や先輩から教えられ、少しずつ身に付いていくものです。また、一緒に仕事をする相手を思いやることで、身に付くのではないでしょうか。
ほかにもいろいろなスキルがありますが、共通していえるのは、自分がどのポータブルスキルに関わって仕事をしているか、また、自分の仕事上の課題を解決する上で、何が足りていないのかを意識することが大切です。
さらに、自分の身に付けたいポータブルスキルの考え方や行動の仕方について、本を読んで学んだり、セミナーを受講したりするなど、行動することによって早くスキルアップする可能性が高まります。
より「自由な働き方」を支えるポータブルスキル
これからの時代、会社に縛られず転職や副業など、自由な働き方を模索する人がさらに増えてくると考えられます。終身雇用や年功序列が崩壊しつつある現代では、ポータブルスキルは身に付けておくべきスキルです。
内閣府の年次経済財政報告(2018年度)では、「企業が今後重要になっていくと考える能力」として、マネジメント能力、専門的な知識・技能、コミュニケーション能力、アイディア力などが上位にあげられています。専門的な知識・技術以外の能力は、ポータブルスキルであることがわかります。
ポータブルスキルは、会社での待遇や自身の収入の改善につながるスキルです。どこへ行っても通用する人材になることは、生涯において収入を安定させることにつながるからです。
ポータブルスキルを磨くことで、希望すれば、生涯現役で仕事ができる可能性も高まり、老後の安心にもつながるでしょう。
出典
厚生労働省 ヒアリング・面談スキルを高めマッチングの可能性を拡げる“ポータブルスキル”活用研修
内閣府 年次経済財政報告(平成30年度)より 第2章 人生100年時代の人材と働き方 第2節
内閣府 年次経済財政報告(平成30年度)
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP