更新日: 2022.08.31 キャリア
女性が活躍する企業は業績がいい? 女性が役員になるメリットとは?
実は、女性が役員になると企業にとってメリットがあることが、さまざまな調査結果によって示されています。今回は、女性が活躍する企業に見られる傾向を紹介するほか、女性が役職員を目指す方法について考えてみます。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
日本の女性役職者の割合は?
内閣府男女共同参画局が公表している「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」によると、日本の民間企業で管理職相当に就く女性の割合は、2021年で以下のとおりとなっています。
係長相当クラス:20.7%
課長相当クラス:12.4%
部長相当クラス:7.7%
近年、女性の管理職の割合は上昇傾向ですが、上位の役職ほど、その割合が低くなるという特徴が見られます。
一方、上場企業の取締役や監査役、代表執行役といった女性役員の数は、2012年から2021年の間で約4.8倍に増加し、630人から3055人となっています。
女性役員の割合でいうと、アメリカ(29.7%)、フランス(45.3%)、イギリス(37.8%)など世界の国と比較した場合、12.6%とまだまだ少ない状況ですが、日本の企業でも徐々に女性に活躍をしてもらおうとする動きが見られます。
女性の役員が多い企業は業績がいい?
実際に女性が活躍している企業では、企業のパフォーマンスが高いという客観的なデータもあります。
前述と同じ内閣府の資料によると、海外10カ国の企業を対象とした調査では、女性役員がいない企業よりも女性役員比率が高い企業の方が、企業の業績を示す代表的指標である「ROE」(自己資本利益率)と「EBITマージン」(支払金利前税引前利益と売り上げの比率)が高くなっています。
また、経営幹部における女性の割合が高い企業では、株価のパフォーマンスが高いという調査結果もあります。
こうしたデータから男性に限らず、ビジネスの知識や経験が豊富で、コミュニケーション能力が高い女性が経営に携わるなど、女性が活躍できる環境の整備に取り組むことは、企業にとっても大きなメリットがあるといえるのではないでしょうか。
女性が役職を目指す方法
女性は結婚や妊娠出産、子育てなどでキャリアが中断されてしまう可能性があります。忙しい日常に追われ、仕事を続けられない女性は多いと思いますが、女性が役職員を目指す場合は周囲の協力を仰ぎながら、仕事を継続するという姿勢も必要となります。
また、女性であっても役職員に求められる能力は、基本的に男性と同じです。例えば、部下にやる気を起こさせる、部内のパフォーマンスを上げる、職場の人間関係を円滑にするといった能力が求められますが、
こうした能力は女性であっても十分に発揮することは可能です。
企業の制度などにもよりますが、時短勤務やフレックス制をうまく使って家事や子育てを行いながら、積極的な姿勢で働くことで、役職員に必要な知識やスキルを身に付けていきましょう。
特に、すでに女性が活躍している企業や、女性の役職者が多い企業の場合は、研修制度が充実している、勤務形態の自由度が高い、産休・育休を取る人が多いなど、女性が働きやすい環境が整っている可能性があります。
役職者を目指す女性は、自分の能力を発揮して活躍できる企業を探してみることも、仕事で高いポジションに就くポイントになるでしょう。
まとめ
近年は女性の管理職が増加しているデータもありますが、女性が企業で活躍するためには、本人の努力はもちろん、やはり家族や職場など周囲の人の協力のほか、仕事と子育てを両立できる制度など、企業による体制や環境の整備は必要不可欠です。
今後も女性の役職員の割合が増えていくことが予測されます。いつか企業の経営などに携わりたいと考えている人は、この女性活用の流れに乗って、結婚後や出産後も継続して働く姿勢を貫いていきましょう。
出典
内閣府男女共同参画局 女性活躍・男女共同参画の現状と課題
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者