コーチングとは何か? その1 コーチングの要点とその目的
配信日: 2023.12.15
コーチングはビジネスやスポーツなど、さまざまな分野で広く使用されており、ファイナンシャル・プランナーや税理士といった士業に携わる人が、クライアントの経済的目標を達成させるための技術としても有効です。
本記事では、コーチングの要点や目的のほか、どんな場合に有効なのか、2回にわたって説明します。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
コーチングのプロセスと要点
コーチングのプロセスと、その要点は以下のとおりです。
目標志向性
コーチングには、クライアントが達成したい目標や成果を明確にし、それに向けて進めていくプロセスがあります。目標には個人の成長、キャリアの発展、パフォーマンス向上、対人関係の改善など、さまざまなものが考えられます。
質問と対話
コーチングでは、コーチがクライアントに対して質問を通じて自己探求を促し、対話によって洞察を深めます。コーチはアドバイスを提供するのではなく、クライアントが自分で目標を達成するために障害となっている問題点と、その解決策をみつける手助けをします。
自己認識と自己成長
クライアントの自己認識を高め、強化し、行動に移すためのプロセスにより、クライアントは自分自身の価値観、信念、スキル、強みや弱みを理解し、それを活用して自己成長を達成します。
フィードバック
コーチングのプロセスでは、クライアントに対してフィードバックが提供されることがあります。このフィードバックを成長の機会として、今までの行動を見直し、修正することを支援します。
信頼関係(ラポール)の形成
コーチングを成功させるためには、クライアントとコーチの間の信頼関係=ラポール(※)が重要です。ラポールを形成することにより、クライアントが安心して自分自身をさらけ出し、自己探求を進めることができるようになります。
(※)「ラポール」については、過去の記事「ビジネスにおけるラポールの形成の重要性とは?」を参照してください。
さまざまな分野や状況への応用
コーチングはビジネス、パーソナルライフ、スポーツ、教育など、さまざまな分野や状況への応用が可能です。例えば、ビジネスでのコーチングはリーダーシップスキルの向上を支援し、スポーツにおけるコーチングはアスリートのパフォーマンス向上を目指します。
コーチングは個人や組織にとって非常に価値のあるプロセスであり、目標達成や成長に向けたサポートを受けることができる方法です。また、認定を受けたプロによるコーチングのほか、個人が自身に対してセルフコーチングを行うこともできます。
コーチングはどんな目的のために行われるのか?
コーチングがさまざまな目的に使われることが可能なのは、単に設定した目標に向けてまい進するだけでなく、何が障害となっているのかコーチとともに分析し、目標達成のための最善の方法を見つけ出すというプロセスにあります。
コーチングが使われる目的を、以下にいくつか挙げてみます。
キャリアの発展
個人が職業的な目標を達成し、キャリアを発展させるためには、コーチングが有効です。これには組織での地位の昇進、キャリアの転換、ビジネススキルの向上、リーダーシップの発展などが含まれます。
リーダーシップスキルの向上
会社などで、部下や後輩を管理・育成するポジションにいる人がリーダーシップスキルを向上させ、組織を効果的に指導するためにコーチングを利用します。
この場合、リーダーシップの発展、コミュニケーションスキルの向上、チームへの指導力、問題解決能力の強化などが焦点となります。リーダーが部下との対話を通じ、部下の悩みを解決する手助けをして、仕事の処理能力を向上させることも可能です。
ストレス管理とワークライフバランス
個人が自身の抱えるストレスを分析・管理し、ワークライフバランスを実現するためにコーチングを受けることがあります。これは多忙なライフスタイルによるプレッシャーに対処し、心身の健康を維持する方法といえます。
目標設定と達成
コーチングは個人が自分の目標を設定し、それを達成するプロセスをサポートするのに役立ちます。個人の目標には、健康や学習、ライフスタイルの変革などいろいろなものが含まれます。
対人関係の改善
対人関係の改善にも、コーチングが使われます。個人やグループ間でのコミュニケーション能力、協力・協調のスキルを向上させ、対人関係を円滑にすることが目的です。
自己啓発
コーチングは、個人の自己啓発に寄与します。コーチングの効果には、自己認識や自己価値観の向上、自己信頼の強化などが含まれます。
プロジェクトやタスクの成功
チームや個人が、特定のプロジェクトやタスクの成功を目指して、コーチングを受けることがあります。この場合、プロジェクトマネジメントや目標達成戦略の作成と実行に焦点を当てます。
継続的な成長によるパフォーマンスの最大化
個人が継続的に成長し、自身の可能性を最大限に引き出すための手段としてコーチングが利用されます。
まとめ
コーチングの目的は非常に多様であり、個人や組織のニーズ、目標に合わせてカスタマイズできます。コーチングは目標の達成、成長、およびパフォーマンスの向上を支援する強力なツールとして広く認識されています。
次回「その2」では、コンサルタントがコーチングのスキルを用いる場合の注意点と、ファイナンシャル・プランナーへの相談(FP相談)での応用について説明します。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー