更新日: 2023.12.18 キャリア
退職金が減少傾向なら、無理して定年まで働かずに50歳代のうちに転職したほうがいいのでしょうか?
しかし、近年退職金は減少傾向にあるといわれています。50代は、最後の転職のチャンスです。無理をして安い退職金を受け取るより転職を考えるべきなのでしょうか。そこで、50代で転職を迷ったときの考え方や退職金の現状について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
実際に退職金は減少しているのか?
厚生労働省が、実施した「令和5年就労条件総合調査」から、退職金の傾向を見ていきます。令和4年の1年間における勤続20年以上かつ45歳以上の退職者で、大学・大学院卒の平均退職給付額は1896万円で、2018年は1983万円でした。5年間のうちに約87万円下がっていることが分かります。
ただし、同じ定年退職でも高校卒の場合は事情が変わります。管理・事務・技術職の高校卒の定年退職金は2018年では1618万円でしたが、2023年になると1682万円と増加傾向です。現業職の高校卒も、2018年は1159万円だったのに対し、2023年では1183万円に上がっています。
定年を待たずに自己都合で退職すると考えた場合も、大学・大学院卒は2018年の1519万円に対して2023年になると1441万円に下がっています。
一方、高校卒の場合は管理・事務・技術職と現業職のいずれも上がっており、必ずしも定年での退職金が減少しているとはいえません。実際には、業種や企業規模などで違いが出るため、自分の職場がどのようになっているか把握しておく必要があります。
転職時期による退職金の減少率は?
ところで、50歳代での転職は得策なのでしょうか。ここでは、(独)労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2022」から紹介していきます。
なお、このデータは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」と中央労働委員会事務局「賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」の資料をもとにした、製造業で従業員数 1000 人以上の男性労働者における2019年の推計値です。同データによると、大学卒の人が50歳で転職した場合の減少率はマイナス39.8%、55歳で転職した場合はマイナス23.4%でした。
やりがいや給与など総合的に判断する
新卒で50歳代まで勤務した場合、勤続年数は30年前後です。たとえ定年を待たずに自己都合で辞めたとしても、それなりの退職金にはなるでしょう。その後、どのような仕事に就いて何年働くかによっても異なりますが、2社目でも退職金を受け取れる可能性もあります。
ただし、50歳代は求人自体が減少し、雇用条件も良いとはいえないため、転職後は収入自体が下がる可能性も理解しておく必要があります。現在勤務している職場の給与や仕事のやりがいなどを考慮し、総合的に判断して転職を決めることが重要です。転職を希望する場合は、まず良い条件の職場を探してから退職したほうがいいでしょう。
生活とのバランスを考えることも大切
大学卒に限定すれば、数年のうちに定年退職金は減少傾向にあるといえます。実際に、自分の勤務先も退職金が下がっている傾向であれば、転職を考えることも選択の一つです。
ただし、50歳代の場合、求人自体は大きく減少するため、特に自立していない子どもを抱えている人は慎重に考えたほうがいいでしょう。退職金だけでなく、自分の生活とのバランスを考えたうえで転職のタイミングを判断することが大切です。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022 ―労働統計加工指標集―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー