執筆者: 板橋理
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目次
介護士と介護福祉士の違い
介護の仕事を目指す際によく目にする言葉、介護士と介護福祉士。似ているような職業名ですが、その2つにどういった違いがあるのかわからない人も多いのではないでしょうか。こちらで介護士と介護福祉士について解説するとともに、違いを説明していきます。介護士は、正式な役職の名称ではなく、介護に携わる仕事をしている人・介護をして報酬を得ている人全般を指す言葉です。求人情報などでは、介護士をヘルパーと書くところもあります。介護士として働くために、資格の有無は関係ありません。介護職に携わる人全般に使われる言葉ですが、介護施設で働く事務員ではなく、介護を要する人へ直接的なケアを行っている人を対象として使われる場合が多いでしょう。
介護福祉士は、社会福祉士および介護福祉士法に基づく国家資格です。介護に関する専門的な知識を得、国家試験に合格した有資格者のこと。この国家資格を得た人のみが、介護福祉士を名乗れるというわけです。しかし、介護士と業務内容が大きく変わるわけではなく、介護福祉士としての仕事は介護を要する人への直接的なケアが主になります。
つまり、介護職を行う人全般を「介護士」と言い、その中でも国家資格に合格した人が「介護福祉士」となることができます。そのため、介護福祉士の資格がなくても、介護士として働く人はたくさんいます。中には、介護士として働いてしばらくしてからキャリアアップのために介護福祉士になる、という人も存在します。
介護福祉士(国家資格)以外の資格とは?
先ほどの説明で、介護士は介護福祉士の資格がなくてもできる仕事であることがわかりました。実は、介護福祉士(国家資格)以外にも、介護士として働くための資格がいくつかあることをご存じでしょうか。こちらでは、介護福祉士以外にどういった資格があるかを紹介します。介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護職につく際のスタートラインとも言える資格です。未経験から介護士として働く際に取得しておくと、介護に関する基礎知識が学べるためおすすめです。介護職員初任者研修の資格を受けるためには、さまざまな介護に関する知識を得るために合計130時間の研修を受ける必要があります。研修時間の内訳は以下の通りです。職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障がいの理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
これらの研修を講義または座学で学び、実際に都道府県が高齢者施設もしくは障がい者施設と認める施設で実習をする必要があります。取得までに時間を要しますが、試験などはなく、130時間の研修をこなせば取得できます。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、介護福祉士の国家試験を受けるためにも必要な資格です。つまり、介護福祉士を目指す場合に取得しなければならない可能性のある資格となっています。介護福祉士実務者研修取得を介さずに介護福祉士になるルートもありますが、社会人になってから介護福祉士を目指す場合はほぼ必須の資格と言っても良いでしょう。介護福祉士実務者研修は、介護を必要とする人とのコミュニケーション技術や医療の知識など、専門的な介護知識を得るためのものです。資格取得には、講義や座学と実習によって合計450時間の研修を受ける必要があります。
ケアマネージャー
ケアマネージャーも、よく耳にする職業ではないでしょうか。ケアマネージャーは別名「介護支援専門員」と言い、介護を必要とする人の相談にのったり、的確に介護を受けられるように施設などと連絡調整を行う仕事です。介護福祉士が国によって認定される国家資格なのに対し、ケアマネージャーは都道府県が認定する資格です。ケアマネージャーの資格を得るためにはまず、保健医療福祉分野での実務経験が5年以上ある必要があります。そして、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修課程を修了した後、介護支援専門員証の交付を受けなければいけません。
介護支援専門員実務研修受講試験の受講を希望する際は、各都道府県の福祉関係の課に問い合わせる必要があります。令和元年度の全国の合格率はおよそ19.5%。決して簡単な試験ではありません。介護支援専門員実務研修課程は全都道府県共通で87時間。やや難易度の高い資格と言えるでしょう。
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介護福祉士資格取得のメリットは?
前の章で介護士にまつわる資格を紹介しました。介護士は資格がなくてもできる仕事ですが、働きながら介護福祉士を目指す人は多くいるのはなぜでしょうか。介護福祉士の資格を取得するとどのようなメリットがあるのか、こちらで紹介します。介護福祉士とは
介護福祉士の資格を得るためには実務研修を受け、国家試験に合格する必要があります。令和2年度の国家試験合格率はおよそ70%。資格取得にはいくつかルートがあります。実務経験ルートの場合、国家試験を受ける前に3年以上の実務経験かつ540日以上の従事日数と、450時間を要する介護福祉士実務者研修の修了が必須です。多くの時間と年月を費やして知識と経験を積む必要のある資格なのです。
資格取得課程で心のケアや体の仕組み、福祉サービスの仕組みについての知識も幅広く得ることができます。そのため、介護福祉士は介護の現場でさまざまなケースに対応でき、他の介護職の人々の指導もできる人材になると言えるでしょう。
介護福祉士資格所得のメリット
介護福祉士の資格を取得していると、どういったメリットがあるでしょうか。まず、長い研修経験があり、試験に合格するだけの知識量のある国家資格取得者ということで、就職の際に信頼を得やすい傾向にあります。そのため、無資格の場合よりも転職の際に有利になると考えられます。
また、厚生労働省は介護職員等特定処遇改善加算という介護報酬の加算を用意しています。介護職員等特定処遇改善加算とは、技能や経験のある介護職員への待遇をより良くするための制度。この制度により、職員の資格取得に応じて給与を上げるシステムを導入している職場は加算の対象になります。つまり、介護福祉士の資格を持っている介護職員は、給与が上がる可能性が高いと言えるのです。
介護福祉士の資格を取るにはどうすればいいの?
介護職につくうえで取得しておくとさまざまなメリットがある介護福祉士の資格。それでは、介護福祉士の資格はどうやって取得するのでしょうか。介護福祉士の資格取得方法は、大きく分けて3種類あります。それぞれの方法を紹介します。まずは、福祉系高校を卒業して資格取得する方法。文部科学省と厚生労働省が指定した福祉系の高校で介護に関する授業を受け、単位を取得します。卒業後に9ヶ月以上かつ従事日数135日以上の介護実務経験を経て初めて受験資格が得られます。そして国家試験に合格すれば、介護福祉士の資格を得られるのです。
福祉系高校で学ぶためには、遅くとも中学生の間に進路を決めておく必要があるため、若いうちから介護福祉士を目指す人に適した方法です。
次に、高校卒業後等に介護福祉士養成施設で学び、資格取得する方法。都道府県知事の指定した養成施設で介護に関する知識と技術を得た後、国家試験に合格して介護福祉士になります。
介護福祉士養成施設へは、高校卒業またはそれに準ずる資格がないと入れません。普通科の高校を卒業している場合は2年、福祉系大学・社会福祉養成施設・保育士養成施設等を卒業している場合は1年、介護福祉士養成施設で学ぶ必要があります。
最後に、介護施設での実務経験を経て国家資格を受験する方法。介護施設等で3年以上かつ、従事日数540日以上の実務経験を経る必要があります。実務経験を経た後、介護福祉士実務者研修、もしくは介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を取得して初めて資格試験が受けられます。(介護職員基礎研修は2012年度末で廃止されているので、新たに取得することはできません。)
この方法は、介護福祉に関係のない学校を出て社会人になった人でも介護福祉士の資格を取得できる唯一の方法になります。介護士として働きながら資格取得を目指す人におすすめです。介護職の求人には、介護福祉士の資格取得をサポートしてくれるものもあるため、介護福祉士資格取得を目指す人はそういった求人を見つけると良いでしょう。
介護福祉士とは、国家資格を得たプロフェッショナルな介護士
今回は、介護士と介護福祉士の違いを解説するとともに、介護福祉士の資格について紹介しました。介護福祉士は、介護の実務経験を積み、国家試験に合格した介護のプロフェッショナルです。介護福祉士の資格がなくても介護士として働けますが、より介護士として上を目指すなら、資格取得を視野に入れてみるのもおすすめです。関連記事
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