執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
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多くの職業の中でも高収入といわれる医師。一方で、医師の中には「労働の割に収入は低い」「他の医師はもっと給与が高いのでは?」と考えている方もいるのではないでしょうか。医師の年収は現実的にみてどの程度なのか気になりますよね。
そこで最新データを基に、さまざまな視点から医師の年収について解説します。本記事を読めば、医師の年収の現実について深く理解できるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
医師の年収は現実的に高い?
数ある職業の中でも医師は給与が高い職業です。国税庁によれば、日本人の平均年収は以下でした。
●男女の平均年収は461万円
●男性の平均年収は567万円
●女性の平均年収は280万円
厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1000万円以上であり、職業全体で見ると給与水準がかなり高いことが分かります。医師の年収が他職よりも高い理由は次の通りです。
●社会的に必要とされる職業である
●命に関わる仕事をしている
●労働時間が長い
医師の多くはさらなる収入を望んでいる
医師の収入は高めですが、多くの方がさらに高い給与水準を望んでいます。厚生労働科学研究成果データベース(2007年)によると、医師が希望している年収について次のように報告されました。
●勤務医の希望の年収は「年収1500~1700万円」が26.1%と最も多く、次いで「年収2000万円以上」が22.1%となっている
●研修医の希望の年収は「年収1000~1250万円」が36.0%と最も多く、次いで「年収1200~1500万円」が18.6%となっている
●希望の年収を「1000万円未満」とする医師の割合は、勤務医では2.9%、研修医では12.9%だった
一般的に理想の年収は、現状の年収よりも高い金額を希望することが多くなります。医師の希望から見ると、医師の年収について不満を感じている可能性があります。
医師の年収の現実は?最新データを徹底分析
実際に医師の年収は現実的にも高いのでしょうか。以降では、最新のデータ(2024年6月時点)である厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」を参考に、2023年の医師の平均年収についてみていきましょう。
【経験年数別】医師の平均年収
医師の平均年収は経験年数によっても大きく異なります。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、経験年数別による医師の平均年収は図表1の通りです。
図表1
医師の経験年数 | 医師の平均年収 |
---|---|
0年 | 598万円 |
1~4年 | 764万円 |
5~9年 | 988万円 |
10~14年 | 1262万円 |
15年以上 | 1631万円 |
※政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査を基に作成
※ 計算方法=所定内給与×12ヵ月+賞与
上記を見ると、医師の平均年収は経験年数を積むほど高い傾向であることが分かります。
研修医時代には会社員と同程度の年収であっても、年数が経つと、専門医になったり、指導医や部長などの役職に就いたりすることで、賃金が上昇することが考えられます。
また、開業動機と開業医の実情に関するアンケート調査(2007年)によると医師になってから平均で40歳くらいで、自分のクリニックを開業する方も増えてきます。開業医は勤務医と比べると平均年収が高くなるのも、経験年数ごとの平均年収の金額に影響を与える要因となっています。
【男女別】医師の平均年収
医師の平均年収は性別によっても大きく異なります。ここでは、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」による男女ごとの医師の平均年収についてみていきましょう。
図表2
医師の性別 | 医師の平均年収 |
---|---|
男性医師 | 1347万円 |
女性医師 | 998万円 |
※政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査を基に作成
上記から、男性医師よりも女性医師の方が平均年収が300万円以上も低いことが分かります。近年は男性の子育て参加が一般的となってきましたが、家事や育児の負担は女性にかかる傾向が多いためです。
実際に、女性医師は出産や育児を理由に一度離職する人が多く、就業率は男性医師よりも低くなります。出産後に仕事復帰する際にも、時間の制約上、常勤よりもパート雇用を望む人が多くなり、女性医師の年収の水準が低い要因となっています。
加えて、女性医師の『ガラスの天井』と表現されるように、教授や准教授に就く女性医師は20%ほどです。ただ近年は、女性医師の入局をサポートする医局も増えています。今後、女性医師にも平等な機会が与えられれば、性別差による平均年収の差は縮まるでしょう。
【診療科別】医師の平均年収
医師の年収は診療科によっても異なります。独立行政法人労働政策研修・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、診療科別の医師の年収は図表3の通りです。
図表3
内科1247万円
診療科 | 平均年収 |
---|---|
外科 | 1374万円 |
整形外科 | 1289万円 |
脳神経外科 | 1480万円 |
小児科 | 1220万円 |
産科・婦人科 | 1466万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267万円 |
精神科 | 1230万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078万円 |
救急科 | 1215万円 |
麻酔科 | 1335万円 |
放射線科 | 1103万円 |
その他 | 1171万円 |
※独立行政法人労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査を基に作成
※平均年収について1万円以下は切り捨て
診療科別の医師の平均年収を見ると、内科系よりも外科系の平均年収が高い傾向にあることが分かります。外科系は長時間の手術があったり、当直やオンコールによる勤務が多くなる傾向にあるためです。
一方で、外科系の中では眼科や耳鼻科は、比較的命にかかわる緊急オペや手術時間のかかる手術を行うことが少ないため、平均年収が低くなります。その分、ワークライフバランスは外科と比べ取りやすいと言えます。現在の収入に不満がある方は、転科を検討してみるのも良いでしょう。
【医療機関の規模別】医師の平均年収
医師の平均年収は医療機関の種別によっても異なります。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、医療機関の規模別の医師の平均年収は図表4の通りです。
図表4
医療機関の雇用者数 | 医師の平均年収 |
---|---|
全体(10人以上) | 1428万円 |
10~99人 | 2284万円 |
100~999人 | 1694万円 |
1000人以上 | 1244万円 |
※政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査を基に作成
医療機関の規模ごとの平均年収を見てみると、規模が小さい施設の方が医師の平均年収が高めであることが分かります。多くの職業では、大企業のような規模が大きい勤務先の方が、経営が安定しており、給与が高くなる傾向があります。
一方、医師の場合では、規模が小さい勤務先で働く医師の中には、クリニックの開業医が含まれています。一般的に勤務医よりも開業医の方が高収入になります。医師として収入アップを目指したい人は、自分のクリニックの開業を検討するのも良いでしょう。
【地域別】医師の平均年収
医師の年収は地域によっても異なります。ここでは、都道府県別の医師の平均年収についてみていきましょう。
図表5
都道府県名 | 医師の平均年収 |
---|---|
全国 | 1412万円 |
北海道 | 1323万円 |
青森 | 1481万円 |
岩手 | 1753万円 |
宮城 | 1290万円 |
秋田 | 1925万円 |
山形 | 1049万円 |
福島 | 1827万円 |
茨城 | 1531万円 |
栃木 | 1434万円 |
群馬 | 1838万円 |
埼玉 | 1519万円 |
千葉 | 2128万円 |
東京 | 1247万円 |
神奈川 | 1207万円 |
新潟 | 1833万円 |
富山 | 1235万円 |
石川 | 1167万円 |
福井 | 1451万円 |
山梨 | 1622万円 |
長野 | 1506万円 |
岐阜 | 1541万円 |
静岡 | 1534万円 |
愛知 | 1464万円 |
三重 | 1555万円 |
滋賀 | 1487万円 |
京都 | 1325万円 |
大阪 | 1577万円 |
兵庫 | 1527万円 |
奈良 | 1231万円 |
和歌山 | 921万円 |
鳥取 | 1447万円 |
島根 | 1640万円 |
岡山 | 1195万円 |
広島 | 1352万円 |
山口 | 1969万円 |
徳島 | 1578万円 |
香川 | 1219万円 |
愛媛 | 1465万円 |
高知 | 1502万円 |
福岡 | 1093万円 |
佐賀 | 1278万円 |
長崎 | 1292万円 |
熊本 | 1756万円 |
大分 | 1752万円 |
宮崎 | 1145万円 |
鹿児島 | 1763万円 |
沖縄 | 1593万円 |
※政府統計の総合窓口(e-Stat) 賃金構造基本統計調査を基に作成※現給額×12+年間賞与で計算/算出額は小数点以下を切り捨て
都道府県ごとの医師の平均年収を見ると、「大都市の賃金が高くて、地方の賃金が低め」というわけではないことが分かります。一部例外もありますが、医療機関数や医師数が少ない地域では、医師の平均年収が高い傾向があります。
医師の賃金を高くすることで、医療機関の医師数を確保する目的があるためです。医師の偏在解消を目指して、医師の数が少ない地域で働けば、年収アップを叶えられます。
医師が年収の現実に不満を抱く理由
他職種の中でも高収入である医師ですが、「給与が低い」と感じる方も多くいます。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、以下が報告されています。
●給与に満足している医師の割合は40.3%
●給与に不満を抱いている医師の割合は37.7%
以降では、医師が年収の現実に不満を抱く具体的な理由についてみていきしょう。
医師が年収に不満を抱く理由(1)研修医は給与が低め
医学生が大学を卒業して医師免許を取得すると、研修医として初期研修を受けます。初期研修は医師に必要な診療の基礎力を身に付けるために、数か月ごとに複数の科を回ります。各診療科で一から学ぶことも多く、医師として半人前の立場になります。
一昔前までは研修医の給与は低く抑えられていましたが、現在は一般的な水準の給与をもらえます。厚生労働省の「臨床病院における研修医の処遇」によると研修医1年目の年収の推計は次の通りです。
1年目の年収 | 2年目の年収 | |
---|---|---|
全体平均 | 約435万円 | 約481万円 |
大学病院平均 | 約307万円 | 約312万円 |
臨床研修病院平均 | 約451万円 | 約502万円 |
給与水準が高い施設 | 約955万円 | 約1026万円 |
給与水準が低い施設 | 約184万円 | 約184万円 |
上記を見ると、研修を受ける医療機関によって差があるものの、研修医全体の平均で見ると国内の平均収入ほどはもらっていることがわかります。
医師の年収の特徴として、都市部よりも地方の方が給与が良いことが多いです。地方のほうがニーズが高いため給与は良くなります。
また、大学病院は低い傾向にあります。理由として、目的として利益を追求していないため、人件費が低く抑えられていることや、医師の数が多いことが挙げられます。
研修医が「給与が低い」と不満を感じやすくなる要因は主に3つです。
●勤務時間に対しての給与が低い
●一部の研修医は奨学金の返済がある
●大学期間が長いため、同年代と比べて低い場合がある
研修医の期間はアルバイトが原則できないため、より収入に対する不満を抱きやすいといえます。
医師が年収に不満を抱く理由(2)時間外労働が多い
医師の年収が高い理由として、時間外労働が長いことも挙げられます。厚生労働省の「医師の勤務実態」によると、次のように報告されています。
●労働時間が週40~50時間である医師の割合 32.7%
●労働時間が週50~60時間の労働時間である医師の割合 23.7%
●労働時間が週40時間未満である医師の割合 22.5%
●労働時間が週60~70時間である医師の割合 12.1%
時間外労働が長いと、次の勤務までのインターバルが短くなり、医師が十分な休息をとれず、不満を感じる原因になります。特に医師は長時間労働が常態化しており、過労による自殺などが社会問題になりました。
患者さんに適切な医療を提供するためには、医師自身の心身が健康であることが欠かせません。2024年4月からは医師の働き方改革により、医師の残業時間は原則として次のように制限されます。
・月の残業時間は100時間未満 ・年の残業時間は960時 間未満
医師の中には、労働時間自体が長いために年収が高い方もいます。医師の働き方により労働時間が適切化することで、現在の給与よりも低くなる可能性があります。
医師が年収に不満を抱く理由(3)労働に対する給与が低め
医師は給与が高いですが、職業の性質上、労働時間も長くなります。厚生労働省の「医師の勤務実態」(2020年)によれば、医師の勤務時間の平均は図表6の通りです。
図表6
医師の年代 | 男性医師 | 女性医師 |
---|---|---|
20代 | 61時間 | 58時間 |
30代 | 61時間 | 51時間 |
40代 | 59時間 | 49時間 |
50代 | 56時間 | 51時間 |
60代 | 47時間 | 44時間 |
※厚生労働省 医師の勤務実態についてを基に作成
医師の時給は高いといわれますが、時給にすると3000円ほどになることもあります。医師の中には、労働時間に見合った収入を得ておらず、給与が足りないと感じる方も多くいます。
医師が年収に不満を抱く理由(4)生活費がかかる
他の職業よりも高収入である医師ですが、「生活費が足りない」と感じる方が多くいます。パーキンソンの法則にあるように、収入が増えればその分支出も増えることは良く知られています。
医師のように高い収入を得ていれば、広い戸建てに住む・高い車を買う・子どもを私立学校に通わせるなど自分の社会的な地位にふさわしい生活を望む方が多いでしょう。しかし、給与には限りがあるため、経済的に豊かな暮らしをするには生活費が足りないと感じることがあります。
実際に、生活費を補うためにアルバイトに勤しむ方も多くいます。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、医師が複数の勤務先で働く理由は次の通りです。
●収入を増やしたいから 48.1%
●勤務先の指示のため 36.5%
●1つの勤務先だけでは生活できないから 34.3%
上記を見ると、医師が複数の勤務先で働く理由の8割が収入に関するものであることが分かります。医師の年収は高いけれど、理想の生活を送るには不十分というのが現実といます。
医師の年収を決定する要素
医師の年収は勤務先や診療科、地域によっても異なります。ここでは、医師の年収を決める要素についてみていきましょう。
医師の年収を決定する要素(1)医療機関の種類
医師の年収は勤務先の規模によっても異なりますが、医療機関の種類によっても異なります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、勤務先の経営形態別の医師の年収は次の通りです。
●国立 約882万円
●公立 約1347万円
●社会保険関係 約1280万円
●医療法人 約1443万円
●個人 約1414万円
上記を見ると、国立病院の医師の平均年収がかなり低めとなっていることが分かります。一方、個人経営のクリニックは開業医も多いため、平均年収が高くなっています。
医師の年収を決定する要素(2)診療科
医師の年収は診療科によっても異なります。年収が高めの診療科と年収が低めの診療科は図表7の通りです。
図表7
年収が高めの診療科 | 脳神経外科/産科・婦人科/外科 |
年収が低めの診療科 | 眼科/耳鼻咽喉科/泌尿器科/皮膚科 |
※独立行政法人労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査を基に筆者が作成
上記を見ると、脳神経外科や産科など外科系の診療科は医師の平均年収が高めになります。これらの診療科は命に関わる手術を担当することが多く、手術時間が長時間に及んだり、緊急手術やオンコールなどの対応の頻度も高くなるためです。
また、外科や産婦人科の診療科では訴訟リスクも高いため、若手の医師が入りたがらない傾向があります。地域ごとに必要な医師を確保するために、年収が高めに設定されていることもあります。
一方で、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科などでは、外科的な手術はあっても比較的ワークライフバランスを保ちながら働くことができます。一般的に緊急手術がほとんどなく、オンコールや時間外労働が少なくないことから、年収が低めになります。
医師として高い年収を得たい方は、給与水準が高い診療科を選ぶのも良いでしょう。すでに専門の診療科に属している方は、転科を検討してみるのもおすすめです。
医師の年収を決定する要素(3)地域
医師の年収は地域によっても異なります。一般的な職業では、大都市では年収が高く、地方では年収が低い傾向がありますが、医師では逆の現象がみられることがあります。
医師の確保は地域差があり、地方の中でも医療機関数や医師数が十分でないところは、医師の年収が高くなる傾向があります。高収入を提示することで、必要な医師数を確保する目的があるためです。
医師の中には都心で働きたいと考える方も多くいますが、給与水準が高い勤務先を探しているのであれば、働く地域を変えてみることを検討してみましょう。
研修医が年収をアップさせる現実的な方法
研修医は、初期研修医と専攻医の2つに分かれます。
初期研修医期間中は、アルバイトなどの副業が禁止されています。
厚生労働省によると下記のように定められています。
医師臨床研修に関するQ&A(研修医編) |
上記を踏まえたうえで収入を増やす方法をいくつか紹介します。
医師向けサイトでポイ活を行う
医師向けサービスであるM3や民間医局などでポイントを貯めることが可能です。
さまざまなサイトを駆使すれば、月で4万円ほど稼ぐことも可能です。 しかし、年間で20万円以上稼ぐと、雑所得として確定申告が必要となるので注意が必要です。
投資を始める
すぐに収入を増やすことはできませんが、長期的な視点で見れば投資は年収を増やすことができます。
特に医師は時間とともに安定した高収入を得られる職業であるため、投資による資産運用が有効です。
一般的に、株式投資や不動産投資、保険商品などがありますが、どれも一長一短があります。たとえば、株式投資はリスクが高い反面、大きなリターンが期待できます。一方、不動産投資は安定した収入が見込めますが、物件選びや管理に手間がかかります。保険商品はリスクが低い反面、リターンもそれほど高くはありません。
ただし、投資は自己責任なので、自身でリスクを理解した上で行うことが重要です。
医師が年収アップを目指すための現実的な方法
現在の年収に不満を感じているのであれば、年収を増やすために働きかけることもおすすめです。ここでは、医師の年収アップに効果的な方法についてみていきましょう。
医師の年収アップ方法(1)勤務先で待遇改善してもらう
収入を増やしたい場合、まずは勤務先に相談してみましょう。多くの医療機関では医師不足に悩んでいるため、医師に辞められるよりかは、給与を上げて有能な人材を確保したいと考えている施設もあるかもしれません。
現在の職場で年収の話は相談しにくいと感じる方も多いかもしれませんが、「労働に対して年収が見合ってない」と感じるのであれば、一度相談したほうが給与に対する不満を解消でき、今後気持ちよく働ける可能性が高いです。特に、勤務先で実績を積んでいたり、貢献している方は、年収について相談することがおすすめです。
医師の年収アップ方法(2)アルバイトする
医師が手軽に収入を増やしたいのであれば、アルバイトをすることもおすすめです。医師の半数近くはアルバイトをしています。医師のアルバイトは高額であり、時給にして1万円以上稼ぐことができます。休日にアルバイトに入ることで、月20~30万円プラスすることも可能です。
ただ、医師のアルバイトは常勤の合間にする必要があります。医師が診療をこなすには、心身の休息も必要です。日々の仕事に支障がでないように、アルバイトとのバランスを図りましょう。
医師の年収アップ方法(3)開業する
医師が年収を増やしたいのであれば、開業を検討することもおすすめです。 開業医は勤務医よりも給与が高い傾向があるためです。厚生労働省の「『勤務医の給料』と『開業医の収支差額』について」によれば、両者の収入には次のような違いがあります。
・病院の勤務医の平均年収は1479万円
・個人の開業医の平均年収は2458万円
開業医は自分が医療機関の長になるため、診療方針などを自分で決定できるメリットがあります。一方で、医師が開業するには、施設の賃貸代や購入代金、医療機器の導入費、看護師や受付など人件費がかかります。
医師の開業には準備期間やリスクもありますが、高収入を得るチャンスでもあります。自分なりの医療を提供してみたい方は、開業を目指してみるのも良いでしょう。
現在の年収に満足できないのなら転職がおすすめ
現在の勤務先で年収アップができない場合、転職を検討してみましょう。勤務先によっては、相談だけで医師個人の給与を上げることが難しい場合があります。常勤の合間にアルバイトを入れれば、全体の収入は増えても自由時間が少なくなってしまいます。
医師の給与水準は、勤務先のある地域や診療科によっても異なります。転職により、自分の条件に合った勤務先を選べば、勤務時間の負担はそれほど変えずに、給与や待遇を改善できるでしょう。
医師が転職を検討する場合は、以下に挙げたポイントを抑えた上で準備をしてみてください。
●転職の目的や優先事項をはっきりさせる(年収とワークライフバランスのどちらを重視するかなど)
●時間に余裕を持って転職活動をするために、半年から1年前から準備を始める
●転職エージェントを活用し、さまざまな情報源から転職先をピックアップする
●希望の転職先を見つけたら、病院見学をして勤務先の雰囲気を確認する
●採用前の面談についても、事前にしっかり準備する
医師の年収に関してよくある質問
医師の年収について質問や疑問がある方もいるでしょう。ここでは、医師の年収についてよくみられる質問とその回答についてみていきます。
年代別の医師の平均年収はどれくらい?
医師の年収は経験年数を積むほど高くなる特徴があります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、年代別の医師の平均年収は以下です。
●20歳代 約599万円
●30歳代 約967万円
●40歳代 約1326万円
●50歳代 約1527万円
●60歳代 約1486万円
上記を見ると、50歳代までは医師の平均年収は上がっていくことが分かります。経験年数を積んだベテラン医師の中には、開業したり、病院の部長や大学の要職に就いたりする可能性が高くなります。
後輩医師を指導したり、チームの中で責任がある立場になることで、平均年収がアップするようになります。
医師のボーナスはいくらもらえる?
医師のボーナスは地域や医療機関によっても異なります。一般的な医師のボーナスは、年間で約90~130万円です。勤務先によっては、毎月の給与水準が高くても、年間の賞与が少ない場合もあれば、毎月の給与水準が低くても、年間の賞与が高い場合もあります。
ただ、医師の給与体系が年俸制である場合は、年収を12で割った金額が毎月支払われるため、ボーナスが支払われないこともあります。。
非常勤医師の給与はいくら?
近年、医師の働き方が多様化し、常勤ではなく定期非常勤やアルバイトのみで働いている方もいます。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、非常勤医師の平均年収は次の通りです。
●定期非常勤医師 927万円
●アルバイト医師 658万円
上記を見ると、医師が非常勤のみで働くと年収が低くなると感じる方もいるでしょう。非常勤の働き方は、医師によってまちまちで、人によっては週5日間働いていない方もいます。
非常勤医師の時給は1万円ほどで、自分の希望に合う条件で働けるメリットがあります。働き方によっては、常勤医師よりも高い年収を稼げるでしょう。子育て中の女性や激務に疲れた方は、非常勤医師として働くことも検討してみるとよいかもしれません。
医師の年収の現実まとめ
医師の年収は他の職業と比べると高めですが、勤務時間の長さや生活水準の高さから「年収が少ない」と感じる方も少なくありません。医師の年収は地域や診療科、勤務医か開業医によっても異なります。
また、女性医師では出産や子育てにより、要職から遠ざかったり、パート雇用が多くなったりすることで、男性医師よりも年収が低くなる傾向があります。医師で年収を増やしたい人は、勤務先に相談したり、アルバイトを入れる方法があります。
それでも収入の増加が見込めない際は、より良い条件の勤務先に転職することがおすすめです。自分が満足できる職場で働くためにも、きちんと情報収集をした上で転職活動をしましょう。
出典
国税庁1 平均給与
厚生労働科学研究成果データベース医師の需給のあり方に関する研究
政府統計の総合窓口(e-Stat)賃金構造基本統計調査
JAMANetwOpen2020[PMID:32644136]
独立行政法人労働政策研究・研修機構勤務医の就労実態と意識に関する調査
厚生労働省臨床病院における研修医の処遇
厚生労働省医師の勤務実態について
いきサポ医師の働き方改革~患者さんと医師の未来のために~
厚生労働省「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部