更新日: 2024.02.20 融資
女性で自己資金なしで起業することはできるの? おすすめの融資方法や手順について解説
特に、女性はライフステージの変化ごとに仕事が続けられなくなることも場合によってはあり、独立や起業においては資金面でもサポートが求められます。
日本政策金融公庫や各自治体では自己資金なしでも融資を受けやすい制度を提供しているため、起業前に資金を用意できない方は、ビジネスローンで融資を受ける前に一度どのような融資制度があるのかチェックしてみましょう。
各自治体が提供する融資制度の中には「返還義務のない補助金」もあり、起業時に有効活用することで自己資金がなくても事業をスタートさせられます。本記事では、女性が自己資金なしで起業する際に便利な融資制度について詳しく紹介いたします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
自己資金なしでも起業時に融資は受けられる?
起業に際し資金を調達するには、知人や家族から借りる、株式を売却して出資を受けるなどの方法が挙げられますが、一番おすすめの方法は国や自治体が提供する「公的融資」を利用する方法です。
「公的融資」は金利が安く、条件に適合する方であれば基準金利よりもさらに低い金利で利用できることから、女性に限らず誰でも申し込みやすいことが特徴です。
公的融資の中には一定の自己資金が申し込み要件となる制度もありますが、事業計画があれば自己資金なしでも融資を受けられる種類もあります。
しかし、審査に通りやすくするには、少しでも自己資金が多いほうが有利です。目安としては創業資金総額の5分の1以上の自己資金があれば審査もとおりやすいといえるでしょう。自己資金が少なくても、起業予定の業種で一定以上正社員として勤めたことがある場合や会社員時代の経歴があれば、さらに審査が有利になります。
国や自治体が提供する公的融資以外にも、銀行や消費者金融から融資を受ける「民間融資」も起業時の資金調達方法の1つです。民間融資は金利が比較的高いものの、手続きが公的融資よりもスピーディーで、個人事業主の開業に際した融資であれば自己資金も必要なく、個人のこれまでの経歴や属性で審査されます。
急ぎで融資を受けたい方や公的融資の審査に自信がない方にはおすすめの方法です。しかし将来の見通しがない起業時に、多額の利息を背負うことは大きなデメリットとなるため、起業時は時間をかけてでも公的融資での借入をおすすめします。
女性が起業するにあたり融資を受けるメリット
起業にあたり融資を受けるメリットは、自己資金のみでは実現不可能である高額な取り引きが可能になる点です。
起業するには不動産や設備投資など大きな出費が多く、とても自身の資産のみではまかないきれない部分も出てきます。起業時に融資を受けることで、準備が整った状態で事業を始められます。
日本政策金融公庫が提供する融資には、女性であることが金利を引き下げる条件になっている制度もあります。それらを積極的に利用することで自己資金がない状態でも起業が可能です。
また国や自治体の融資制度には返還義務のない「補助金」が用意されていることもあるため、まずは申し込み条件に当てはまる補助金がないか自治体のサイトを確認する必要があります。
起業するにあたり融資を受けるデメリット
自己資金のない方が起業時に融資を受けるデメリットは、借入に利息が発生する点です。
金利が高いほど利息も高額になるため、将来の経営が不安定な起業時はなるべく低い利息の借入先を見つけることも重要です。自己資金がないと審査もとおりにくくなり、公的融資では思うように資金が集まらない可能性もあります。
無事に審査にとおり融資を受けられても、融資にはそれぞれに資金使途が定められています。
たとえば民間融資の場合は創業資金としての利用がNGであるケースが多かったり、日本政策金融公庫の融資でも使用用途によって融資上限額が異なったりなどの決まりがあります。
借入前の審査ではどのような用途で資金を利用するか確認されるため、正しく答えましょう。もし当初の資金使途に沿わない用途であることが判明した場合は違反行為にあたり、全額返済を求められることもあります。
自己資金なしでも融資を受けやすい日本政策金融公庫とは?
「日本政策金融公庫」とは、国が100%出資した政府系金融機関です。国民生活の向上に寄与することを目的としています。
個人向けの国民生活事業から中小企業向け、農林水産事業向けのサポートまで幅広くおこなっており、これから起業するどのような方でも利用しやすい制度を提供しています。
これから個人事業主として、もしくは小規模事業を開業する方は国民生活事業の融資制度が利用できます。日本政策金融公庫の融資は原則保証人や担保も必要なく、返済期間も長いことから誰にも迷惑をかけず毎月無理のない返済を目指せる制度です。
日本政策金融公庫の年利は一般的なビジネスローンよりも低く、女性や一定の年齢の方はさらに金利が引き下がる制度もあり、高額な借入でも長期間かけてゆっくり返済できるでしょう。
日本公庫国民生活事業では創業にかかる融資制度以外にも、「創業計画書の作成アドバイス」や「全国各地でセミナーの開催」などの数々のサポートがあるため、自己資金はないけどこれから起業したい女性はぜひチェックしていただきたい金融機関の一つです。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資9選
ここからは日本政策金融公庫や各自治体が提供する、自己資金のない女性が受けやすい融資や補助金制度を9種類紹介いたします。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資1:新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)
●女性が利用しやすい融資制度
●融資額が高額
●新創業融資制度と併用可能
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は日本政策金融公庫が提供する「新規開業資金」内の融資制度です。利用条件は新たに事業を始める方か事業開始からおおむね7年以内の方で、女性もしくは35歳未満、55歳以上の方が利用可能です。
融資限度額は7200万円、その中で運転資金に利用できるのは4800万円であり、資金使途はしっかり定められています。
日本政策金融公庫が定める、担保を不要とする融資制度の基準利率は令和6年1月4日時点で2.1%~3.2%です。新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は特別利率Aの1.7%~2.9%が適用され、通常の融資よりも低い金利で利用できる点が新規開業資金の大きなメリットです。
それにくわえて担保を用意できる場合はさらに金利が引き下がるため、なるべく金利が低い融資を探している方にはおすすめの融資制度です。
担保以外にも、技術やノウハウ等に新規性がみられる方はさらに金利が低くなったり、融資後に一定の目標を達成した場合に利率が引き下がったりなどの特例もあり、事業内容に自信がある方にもおすすめです。
日本政策金融公庫が提供する「新創業融資制度」とも併用可能であり、無担保や無保証人を希望する方にも利用しやすい制度といえるでしょう。
また新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)は個人事業や小規模事業以外にも、融資限度額が7億2000万円まで引き上げられている生活衛生新企業育成資金という制度もあります。
こちらは、生活衛生関係(飲食、美容院、クリーニング業、ホテル等)の事業を創業する方または、創業後おおむね7年以内の方が利用対象となります。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資2:新創業融資制度
●年齢や性別問わず誰でも利用しやすい制度
●一定の自己資金が必要
●担保や保証人は原則不要
新創業融資制度とは、これから起業する方や事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象となる日本政策金融公庫の融資制度です。担保や保証人も原則不要で、女性1人で起業する場合にも利用しやすい制度といえるでしょう。
これから起業する方や事業開始後税務申告を1期終えていない方は自己資金の要件があり、創業資金総額の10分の1以上自己資金があることが申し込みの条件となりますが、これから起業する事業と同じ分野で働いた経験のある方は自己資金の要件を満たしたものとされます。
そのためこれまでに同様の業種に勤めた経験がなく、さらに自己資金の捻出が難しい方は、新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)の利用がおすすめです。
新創業融資制度の融資限度額は3000万円であり、資金使途は起業するための費用や、開業後の運転資金や設備資金などに利用できます。利率は新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)よりも少々高く、令和6年1月4日時点で2.4%~3.5%になりますが、民間融資と比較するとかなり低く、融資を急がないのであれば利用するべき制度の一つです。
また法人の場合は代表者が連帯保証人となることも可能で、その際は利率が0.1%低くなることもメリットです。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資3:小規模事業者持続化補助金(一般型)
●補助金の対象となる商品が幅広い
●審査のポイントが分かりやすい
●個人事業主にも法人にもおすすめ
小規模事業者持続化補助金(一般型)とは、小規模事業者の取り組みを支援する全国商工会連合会の制度です。補助金であるため、日本政策金融公庫の融資とは異なり返還義務がありません。
対象となる事業者は商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者で、個人事業主のみでなく法人や特定非営利活動法人も対象です。補助の対象になる経費科目も機械装置等費や委託・外注料など豊富であることから、多くの方が利用できる制度です。
申請には、経営計画に基づきながらおこなう販路開拓の取り組みを支援する「通常枠」や、特定創業支援等事業の支援を受けて創業した事業者が当てはまる「創業枠」などの種類があります。通常枠が補助上限50万円、それ以外が200万円までの補助上限であり、どれか1つを選んで申請することになります。
申請書は個人でも10種類以上提出する必要があり、審査結果が判明するのも受け付け締め切りからおよそ2ヶ月~3ヶ月程度と長めで、手間と時間がかかる点はデメリットです。しかし返還義務のない補助金を受け取れるため、自己資金はないが、これから起業したい女性にはぜひチェックしていただきたい制度の一つです。
申請期間は定められており、第15回目事業支援計画書の応募締め切りは2024年3月7日になります。
また審査において、どのような申請内容が加点となるかガイドブックに詳しく記載されていることも特徴です。審査のポイントは自社の経営状況を適切に把握していたり、補助事業計画が具体的で実現性が高いものだったりなど、いくつかのポイントと加点一覧が記載されています。
申請の際はガイドブックや公募要領を必ずチェックすることも応募条件の1つであるため、申し込み前に条件やガイドブックを確認しましょう。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資4:IT導入補助金
●高額なITソフトがほぼ半額で購入できる
●自社に適切なITソフトが分かる
●小規模事業者から中小企業まで利用できる
IT導入補助金とは、業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入にかかる費用や、会計ソフトや受発注ソフトなどにかかる費用が補助対象になる制度です。
たとえばITツール導入による業務効率化や売り上げアップを目的とするならば、IT導入補助金の通常枠が利用できます。
通常枠にはA類型とB類型の2種類に分かれており、A類型は5万円以上150万円未満、B類型は150万円以上450万円以下の補助が受け取れます。いずれも補助率は2分の1以内で、購入した分の半額が戻ってくると考えて問題ないでしょう。
A類型とB類型の分け方は、顧客対応・販売支援や会計・財務・経営などいくつかの業務プロセスが用意されており、業務プロセスを1種類以上保有するソフトウェアを申請する場合はA類型、4種類以上保有するソフトウェアの場合はB類型が利用できます。
その他にもセキュリティ対策強化のための「セキュリティ対策推進枠」やインボイス制度に対応した受発注システムが対象となる「デジタル化基盤導入枠」など、さまざまな名目で補助金制度が立ち上げられているため、自己資金はないけどこれからIT化を目指す女性起業家の方にはおすすめの補助金です。
申請方法はIT導入補助金の公式サイトから専用アカウントを作成し、経営課題の設定と解決を目指すためのポータルサイト「みらデジ」にて「経営チェック」を実施します。チェック実施後は導入するITツールの選択をして、IT導入支援事業者と共同作成した交付申請を提出します。
補助金を受けられるのは実際に導入したITツールを利用して事業実績報告が終了したのちになります。
またみらデジ経営チェックは、企業の経営課題やデジタル化に関する取り組みを同業種・同地域の事業者と比較しながらチェックできます。チェック後は課題解決のために専門家からのアドバイスやおすすめの補助金制度、ITツールなどの紹介を受けられます。IT化に取り組みたいけれど何から始めて良いか分からない方には特におすすめのサービスです。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資5:地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
●地元の制度を利用できる
●1年以上継続して融資を受けられる
●補助金であり返金の必要がない
地域中小企業応援ファンドとは、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が提供する支援制度です。
「地域中小企業応援ファンド」と「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類に分かれており、いずれも創業や販路開拓にかかる費用の助成をおこなっています。農林漁業者以外の事業者は、地域中小企業応援ファンドが対象となります。
地域中小企業応援ファンドでは、各地の農林水産物や伝統技術を活用した事業を支援しており、商品開発や研究費の助成をおこなっています。
一度きりの助成金以外にも、2年~3年継続して利用できるファンドもあるため、お住まいの地域に対象のファンドがあるか、ぜひチェックしてみてください。申し込み先はファンドそれぞれで異なり、ファンド一覧にある問い合わせ先のサイトから可能です。
たとえば千葉県の「ちば中小企業元気づくり基金」では、新商品・新技術の開発や地域資源の活用開発が助成の対象となります。新商品・新技術開発助成では助成期間3年以内で上限500万円までの助成金が受けられ、助成率は3分の2まで対象となっており、自己資金が少なくても利用しやすい制度です。
デメリットは対象外の地域が多い点です。2024年1月時点では全国23都道府県の小規模事業者が対象となっていますが、地域を応援する目的のファンドであるため、事業を立ち上げる都道府県にファンドがない場合は原則助成が受けられません。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資6:女性・若者・シニア創業サポート事業(東京都限定)
●金利が低くて利用しやすい
●専門アドバイザーによるサポートが受けられる
●39歳以下、55歳以上であれば男性も利用可能
東京都では女性や若者、シニア世代の事業を応援する「女性・若者・シニア創業サポート事業」による補助が受けられます。対象者は都内で創業予定、もしくは創業後5年未満の女性経営者や39歳以下、または55歳以上の男性です。
地域の需要や雇用を支えられる事業であることが申し込み条件であり、個人事業主以外でも株式会社や合同会社など小規模事業者から中小企業の範囲の方が対象です。
ただ融資を受けられるのみでなく、アドバイザーによるセミナーや個別相談や事業計画についてアドバイスも受けられるため、これから起業したいけど自己資金もなく不安という方には特におすすめの制度です。
融資限度額は1500万円と少々低めですが、金利も固定年利の1%以内と低く、他の融資制度と比較しても費用面で利用しやすいことが特徴です。資金使途は事業を始めるための利用や運転資金、設備資金のみで、他で受けた融資の借換は対象になりません。
申請方法はサポート事業取扱金融機関に相談し、アドバイザーと面談を進めますが、融資実行は2024年の3月末までであるため、お近くの金融機関で受け付けが締め切られている場合は、直接NPO法人コミュニティビジネスサポートセンターに相談しましょう。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資7:創業おうえん資金(横浜市限定)
●融資上限額が高め
●取扱金融機関が多い
●保証料率が低い
創業おうえん資金は横浜市が実施する融資制度で、これから横浜市内で事業をおこなう方か、起業して5年未満の方が対象になります。資金使途は他の制度と同じく運転資金・設備資金であり、融資額の上限は3500万円です。
金利は固定金利で1.9%以内であり、特定創業支援事業の支援を受けた方や横浜市が提供する特定の支援を受けた方は金利が1.5%以内になります。申し込み方法はまず取り扱い銀行の支店に相談に行き、横浜市信用保証協会の保証決定を経て融資が実行されます。
保証が必要であり保証料率が0.3%かかることがデメリットですが、その分保証がない融資よりも審査が優遇される可能性があり、審査に自信がない方にもおすすめといえるでしょう。取り扱い銀行はみずほ銀行や三菱UFJ銀行などの都市銀行から横浜信用金庫、かながわ信用金庫など地元の金融機関まで多数取り扱っています。
また自治体の融資制度は信用保証協会の経由が必要であることが多く、日本政策金融公庫の融資よりも手続きに時間がかかりやすいことがデメリットです。その分保証がまったくない融資制度と比べて審査は有利になるため、審査に自信がない方は各自治体が提供する融資制度の利用もおすすめです。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資8:起業家育成資金(埼玉県限定)
●利率が0.9%と低い
●担保や保証人は原則不要
●女性を支援するサービスが充実
埼玉県では小規模企業者への貸付から経営革新計画の実行に取り組む方向けの貸付など、さまざまな融資制度を取り扱っています。特に新たに創業する方向けの「起業家育成資金」は自己資金の要件もなく、自己資金はないけどこれから起業したい女性におすすめです。
これから起業予定の個人や法人で、具体的な事業計画を持っていれば、埼玉県の商工会議所や創業・ベンチャー支援センター埼玉から申し込みが可能です。融資限度額は3500万円で、利率は3年以内の返済であれば0.9%と非常に低い金利で利用できることが大きなメリットです。
しかし信用保証も加入前提で、年に0.8%以内の保証料も付されます。一方で担保や保証人も不要であり、自己資金はないけど高額な設備投資や運転資金が必要な埼玉の起業家にはおすすめの制度です。
埼玉県では女性の起業だけではなく、仕事と育児の両立や学びなおしてスキルアップを目指したいといった女性の「働く」を応援するワンストップサイトがあり、在宅ワークに関するプログラムや健康に関するセミナーなどのさまざまな取り組みから女性の自由な働き方を応援しています。
また埼玉県は以前「女性・若者経営者支援資金」の制度がありましたが、現在はすでに廃止されました。
女性の起業時に自己資金なしで受けられる融資9:女性・若者・障害者創業支援融資(茨城県限定)
●融資対象の範囲が広い
●保証料は県の補助あり
●融資期間は7年~10年
茨城県では県内に住所や居住を有する、これから新たに起業したい女性・35歳未満の若者・障害者手帳を所持している方向けに、低金利の融資制度を提供しています。すでに起業して事業を営んでいる方も事業開始から5年経過していない場合は利用可能です。
融資限度額は設備資金と運用資金の合計で3500万円で、利率は年1.2%~1.5%です。横浜市や埼玉県の融資制度と同じく信用保証協会の保証が必要になり、信用保証料は0.9%ですが、2024年3月31日までは保証料の引き下げにより0.45%になります。
申し込みは別地域の融資制度と大きく変わらず、茨城県の商工会議所や茨城県中小企業団体中央会に申請書を提出しておこない、県から認定を受けたのちに信用保証協会から保証の承諾を得ます。その後金融機関が審査をおこない融資可能となれば実行となります。
自己資金要件はすでに事業を営んでいる方の場合、創業資金額の10分の1以上の自己資金がないと融資を受けられませんが、これから起業する方に自己資金要件はありません。
女性が自己資金なしで融資審査を通過するコツ
公的融資を受けるにあたり、審査でチェックされるポイントは自己資金の有無や事業計画書の内容です。そのため、自己資金なしで融資審査を通過するコツは、事業計画書の作成方法や事業内容の見直しといえるでしょう。
事業計画書は日本政策金融公庫や各自治体から融資を受ける際に必須となる書類です。内容は申請者のこれまでの経歴や資質、現在の財務状況、将来の収支見通しについてなどがチェックされるほか、事業計画書の内容が実現可能であるか、下調べが十分であるかなども影響します。
その他、公的融資の審査では、ほぼ必ず「面談」をおこなうため、事業計画書以外にも対面した際の人柄やコミュニケーション能力も審査において大事なポイントです。
これから起業する方の場合は業績もなくアピールできる実績が少ないため、なるべく事業計画書や返済計画などの内容を練ってから提出しましょう。
また、日本政策金融公庫や各自治体の審査に落ちてしまった場合は、事業計画書や決算書の提出が必要ない個人事業主向けのビジネスローンやカードローンもおすすめです。
金利は高いですが、創業前であれば個人の属性が審査されるため、退職前にローンの滞納や一定の収入が確認できれば審査が有利になります。
自己資金がない場合でもできる融資以外の資金調達方法
自己資金がない場合、融資を受ける以外で資金を調達する方法は、主に「クラウドファンディング」や「知人・家族からの支援」が挙げられます。
知人や家族から無利子で一定の金額を借りられるのであれば、頼ることも検討しても良いでしょう。しかし、起業できるほどの資金を借りることを伝えにくいという方は、手数料はかかりますがクラウドファンディングも選択肢としておすすめです。
クラウドファンディングで資金調達する場合
「クラウドファンディング」とは、ネット上に自身の成し遂げたいことを提案し、出資してくれるパトロンを集めることを指します。新たに事業を始める際にも利用でき、事業内容や目的を掲載することで手軽に資金調達できることから、多くの方が取り組んでいる方法の1つです。
クラウドファンディングで資金調達するには、まず目標金額を設定します。出資は提出した事業計画やアイディアにより集まる金額が大きく変わるため、多くの方が魅力的だと思えるように記載することが大切です。
そしてクラウドファンディングで出資を受けた場合は一定のリターンが必要です。起業して商品を開発する場合は、一般発売の前に出資者に商品を送ったり、新たなサービスを限定で受けられたりなどのリターンが挙げられます。
もし自己資金の要件で融資を受けられない場合は、自己資金なしで借りられる日本政策金融公庫の起業家支援資金を利用したり、起業前に目標を立てて一定の自己資金を貯めたりなど、起業に際し無理のない資金計画を立てましょう。
自己資金なしで起業する際の注意点
(1)起業すると公的なサポートが受けられない
(2)家庭との両立が難しくなる
(3)事務作業や経理などすべて自己責任
自己資金なしで起業する際は、いくつかの注意点があります。
自己資金なしで起業する際の注意点(1)起業すると公的なサポートが受けられない
まず、起業して自身が経営者となり働く際は育児休業や産後休暇などの公的サポートは受けられません。
正社員では守られていた権利も個人事業主には適用されず、もし自身が動けなくなっても自己資金がなければ生活に不安が出ます。妊娠や出産に限らず、病気やけがで長期間動けなくなっても同様です。
自己資金なしで起業する際の注意点(2)家庭との両立が難しくなる
現在育児中・介護中など家庭の事情でまとまった時間が作りにくい方も、新たな事業と家庭が両立できるように、起業前に家族と話し合う必要があります。
もし誰も手が離せない状態であれば外部サービスに家事や育児を委託できるように、自己資金は多いほうが安心できます。
自己資金なしで起業する際の注意点(3)事務作業や経理などすべて自己責任
起業してからは事務員を雇わない限り、事務作業や経理作業をすべて自身が担当することになります。
税金関連の作業は税理士に任せることも可能ですが、個人事業の範囲であれば費用削減のために自身で取り組むことをおすすめします。起業後に必要となる経理のスキルはなるべく起業前に学び、万全の態勢で起業しましょう。
女性が自己資金なしで受けられる融資まとめ
自己資金なしでも女性が受けられる融資制度は、公的融資と民間融資問わずいくつもあります。
日本政策金融公庫や自治体などの公的融資は金利も低く、申し込み条件を満たしていれば誰でも利用しやすいことから、起業経験のない女性から一度事業に失敗した方まで幅広く利用されている融資制度です。特に各自治体が取り組んでいる返還義務のない補助金に関しては、積極的に利用しましょう。
本記事では、公的融資のみの紹介でしたが、民間融資であれば金利は高くても同じく自己資金なしで融資を受けられます。スピーディーな手続きを求める方は、民間融資の方法もチェックしてみてください。
出典
日本政策金融公庫新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連
日本政策金融公庫新創業融資制度
商工会議所地区小規模事業者持続化補助金(一般型)
IT導入補助金2023
独立行政法人中小企業基盤整備機構地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
東京都女性・若者・シニア創業サポート事業
横浜市創業おうえん支援
埼玉県信用保証協会起業家育成資金
茨城県女性・若者・障害者創業支援融資
みらデジ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー