更新日: 2020.04.06 家計の見直し

1カ月の食費が10万円!?「1週間の手書き家計簿」で家計のスリム化は可能か?

執筆者 : 宮﨑真紀子

1カ月の食費が10万円!?「1週間の手書き家計簿」で家計のスリム化は可能か?
総務省が2月17日に発表した家計調査によると、エンゲル係数は二人以上の世帯で前年より0.8ポイント上昇して25.8%となりました。1987年以来29年ぶりの高水準です。食品価格の上昇に加え、外食や中食と呼ばれる調理済食品の購入が増えたことが要因とされています。一方、衣料品は買い控えられ、節約志向は続いています。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

無駄遣いはしていないはずだけど、食費にお金をかけすぎる

家計相談に来られたWさんは49歳。息子さんは社会人1年生で昨年から独立されていて、現在は50歳のご主人と二人暮らしです。これまではご主人の会社からの家賃補助が10万円あったのですが、ご主人が転職されたので補助がなくなりました。
 
そこで家計を見直したいというご相談内容です。Wさんはこれまで息子さんの教育費にかなりの費用がかかったので、老後資金の準備もこれからです。
 
「贅沢はしていません。生命保険も見直したし、車も持っていません。無駄遣いはしていないと思います。一番気になっているのは、食費が1カ月10万円かかっていることです。他の人は、4~5万円でやり繰りしていると聞きました。何を食べているのか不思議です」と話すWさん。
 
人事院「人事院勧告」(平成26年)によると、二人世帯の標準生計費のうち食品は約36,000円という資料があります。Wさん世帯はあきらかにオーバーしていますね。
 
「外食はしますか?」と尋ねると、「主人があまり好きではないので、ほとんど家で食事をします」との答えでした。
 
たまたま同じ時期にご相談にいらした方も、Wさんと全く同じことをおっしゃっていました。その方は30代のご夫婦で第一子が誕生したばかり。今後必要になる教育費の準備をしたいというご希望で、Wさんと同じように「食費に1カ月10万円がかかっているのは多いのかも?」と自覚して相談に来られました。
 
食費が多いことを自覚するきっかけは、人によってさまざまですが、「食費が10万円かかっているのでどうしたら良いでしょうか?」という悩みは決して稀な事例ではないのです。
 
お二人は、家計簿アプリを使って家計管理をされています。その中で、「食費が多いのでは?」「家計のスリム化が必要なのでは?」と自覚することができたのです。この気づきは重要です。
 

食費の内訳を把握し、自分の買い物を自分で分析してみる

食費に関しては、健康に繋がるので節約しづらいと考える傾向にあります。また「外食していない」という場合は、「贅沢していない」と考えがちです。今回Wさんには、まず「10万円→8万円」に食費を減らすことを提案しました。予算を作ってその中で工夫してもらいます。そのために、手書きで1週間家計簿をつけていただくようお願いしました。
 
食費の内訳を把握してもらうのが目的です。
 
家計簿アプリは簡単に家計簿をつけられる優れものです。簡単なので長く続けられるというメリットに加え、分析力もあります。ですが簡単すぎて、自分の買い物を把握できていないことが多いのです。
 
冷蔵庫にある食品を忘れて食品ロスにしてしまう、お菓子を買い過ぎて太ってしまう、そんな経験はありませんか。
 
手書きなら、レシートを見ながら買い物の内容を復習できます。自分の買い物を自分で分析することは、節約への近道なのです。とは言えアプリに慣れた方には、ずっと手書きでは面倒で続きません。これが「手書きで1週間」の理由です。
 
Wさんは、デパートでパートのお仕事をされていて、デパ地下でお惣菜を買う機会が多いということも分かりました。その結果、「冷蔵庫で食材がロスしてしまうことも……」と話されていました。共働き世帯と単身者世帯が増えたことで、お弁当やお惣菜などの中食と呼ばれるものが充実。
 
デパ地下も増床しています。また、食材も産地にこだわるなど、ブランド化しているものも少なくありません。「少し高くても美味しいものを選ぶ」傾向が高くなっています。
 
一旦それに慣れてしまうと、「普通のもの」に戻れません。
 
衣食住、どれに重きを置くかは人それぞれです。「食」重視の方が「少し高くても美味しいものを選ぶこと」は尊重すべきですが、“メリハリのある消費”ということも頭の片隅に置いて欲しいと思います。贅沢する日は思い切って贅沢するけれど、普段は節約を心がけるだけでも、家計のスリム化は図れます。
 
Wさんは手書き家計簿をつけるにあたり、「お惣菜の欄を別枠にしてみようかしら~」とヤル気満々。無駄遣いの原因の見当はついているようです。「無駄遣いしているよね~」と漠然と思っていても、なかなか節約は実行できませんが、数字を可視化することで、次の努力目標を明確にすることに繋がります。この調子ならWさんは、節約を簡単に実現出来そうですね。
 

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