最終更新日:2019.09.25 公開日:2018.10.15
家計

扶養控除の年収ラインは103万?130万?150万?

平成30年分から、納税者と生計を一にする配偶者の年収150万円(所得金額85万円)まで源泉控除対象配偶者とされ、配偶者控除と同額の配偶者特別控除が受けられるようになりました。
 
しかし、配偶者の給与収入150万円でも配偶者特別控除が38万円受けられる(納税者の所得900万円以下の場合)というだけで、103万を超えると所得税・復興特別所得税が掛かります。130万を超えると、社会保険料も払わなくてはなりません。
 
林智慮

執筆者:

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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林智慮

執筆者:

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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◯◯万円の壁

いろいろな制度によって、年収の金額による線引きがされています。所得税が掛からない103万円以下でも、住民税が掛かる場合があります。扶養されていて所得税も掛かってないのに、住民税の課税対象になれば役所から通知書が来ることになります。給与収入があって自分に扶養者がいない場合、以下の様に線引きがされます。
 

100万/住民税所得割非課税の壁

・・・給与収入で年収100万円までなら住民税の所得割が非課税で、均等割りのみです。100万を超えると所得割も掛かってきます。
 

103万/所得税非課税、扶養控除・配偶者控除の壁

・・・被扶養者本人の所得税非課税の線引きライン。これを超えると課税されます。扶養者にとっては、扶養控除・配偶者控除の線引きで、これを超えると所得税・復興特別所得税の課税がされます。
 

106万/新・社会保険の壁

・・・パートでも500人以上の企業で月額8万8000円(年収で105万6000円)を超えると社会保険の扶養から外れるので、社会保険に加入しなければなりません。(この場合、学生は除きます。)
 

130万/元祖・社会保険の壁

・・・社会保険の扶養から外れ、社会保険料の負担が生じます。合計所得で判断します。
 

150万/所得税 扶養の壁

・・・配偶者の給与収入150万円までを源泉控除対象配偶者とされ、扶養者の所得から配偶者控除と同じ金額の配偶者特別控除を受けられます。150万円を超えると、配偶者特別控除を受けられても、受けられる金額が少なくなります。
 
それでは、所得税と社会保険の扶養について、詳しく見ていきましょう。
 

所得税でいう扶養

所得税額を計算する際、扶養親族(16歳以上で合計所得が38万円、給与収入がある場合は103万円以下)がいる場合は、扶養控除として自分の所得から一定の金額を控除することができます。一般の扶養親族は38万円、19歳以上23歳未満の扶養親族は63万円、70歳以上の扶養親族で別居の場合48万円、同居の場合58万円です。
 
合計所得は、給与収入の場合は給与所得控除後の金額、事業所得の場合は収入から経費を引いたものの合計です。生命保険料控除等の各種所得控除は、税額を計算する場合のものです。
 
配偶者を扶養している場合、配偶者の所得合計38万円までは最大38万円の配偶者控除、それを超えても配偶者の所得合計123万円(給与収入201万6千円)までは配偶者特別控除を受けることができます。扶養をする人と、配偶者の合計所得により控除額が決まります。
 
配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養をする人の所得が1000万円以下でないと受けられません。配偶者の所得がゼロの場合でも、扶養をする人の所得が1000万円以上あると受けられません。
 

配偶者特別控除の金額


(出典 国税庁HP「配偶者特別控除の控除額」)
 
ただし、配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養をする人の所得が1000万円以下でないと受けられません。配偶者の所得がゼロの場合でも、扶養をする人の所得が1000万円以上あると受けられません。
 
合計所得は、給与所得なら給与収入から給与所得控除を引いた金額、個人事業主であれば収入から経費を引いた金額、両方ならそれぞれの所得を合算します。扶養を外れてしまったら、それまで控除できていた扶養控除・配偶者控除または配偶者特別控除が受けられなくなります。
 

社会保険でいう扶養

ところで、社会保険と所得税の被扶養者の要件は違います。
 
社会保険の被扶養者であるための収入要件は、「年間収入130万円未満」です(60歳以上または障害者の場合は180万円未満です)。
 
しかし、130万円以上になることが明らかになった時点(給与の月額が10万3333円を超える、失業保険の受給額が日額3611円を超える)で、夫の社会保険の被扶養者から外れてしまいます。
 
その場合、妻の勤務する会社に社会保険があれば、妻が社会保険料を支払って社会保険に加入することとなります。無い場合は、国民年金・国民健康保険料を支払わなければなりません。
 
また、130万円未満でも、パートタイマーで労働時間が一般社員の4分の3以上になる場合や、特定適用事業所(500人を超える、または500人未満でも労使合意で加入)で給与収入105万5千円(月8万8000円)以上の場合は、社会保険に加入することになります。
 
例えば、年収130万円は月額平均10万8333円ですが、標準報酬月額は11万円になります。健康保険料(40歳以上)6374.5円と厚生年金保険料1万65円の合計1万6439円を本人が負担しなければなりません。年間、約20万円の負担になります。
 
年収150万の場合、月額平均12万5千円、標準報酬月額は12万6千円となり、健康保険料(40歳以上)7301.7円、厚生年金保険料1万1529円の合計1万8830円を本人が負担します。この場合、年間約23万円の負担になります。
 
社会保険に加入できれば良いのですが、社会保険適用でない所での勤務、パート先に社会保険はあっても加入条件を満たさない場合(アルバイトの掛け持ちや、副業の所得を合算して130万円以上になってしまうケース)は、国民年金保険料・国民健康保険料を払う必要があります。
 
令和元年4月の国民年金保険料は1万6410円です。国民健康保険料は所得金額と地域により約8千円や1万4千円とばらばらですが、ほぼ1万円前後になります。国民年金保険料と合計で、年間30万ほどの負担をすることになります。
 
妻の年収が130万でも150万円でも、所得税では同額の配偶者特別控除を受けられます。103万を超えているため妻の所得に課税されますが、1、2万程度です。所得税の負担と比べると、社会保険の扶養の壁を超えた場合の負担が大きいことが分かります。
 
ただ、社会保険に加入できる場合は、会社が半分保険料を負担してくれます。国民年金保険料より安い保険料で、年金受け取り時には国民年金に上乗せしたものが受け取れます。給与は一足飛びには上がりません。将来収入を上げることを考えているのでしたら、損得の境目を探り、働き方を調整して扶養の範囲でいると、将来の年金に上乗せがされません。
 
また、学生の子どものアルバイト収入が年間130万あったとします。合計所得が65万円(給与収入の場合130万円)以下であれば27万円の勤労学生控除を受けることができるので、本人は130万円から27万円引いて103万と非課税にすることができます。
 
しかし、非課税にすることができても、扶養の判定は130万の収入なので、扶養から外れたままです。
 
親の扶養から外れた結果、特定扶養控除63万円を受けられなくなってしまいます。仮に親の所得税率が20%とすると、親は12万円ほどの損になります。130万以上の収入なら親の健康保険から外れます。健康保険の保険料の負担が増えます。保険料は市町村によって違いますが、平均すると年間12万ほどになります。
 
合計24万の負担増になり、103万円より27万円多い130万円の収入があっても、収入が増加した分が税金や保険料に充てることになります。
 

「収入」とされるもの、されないもの

扶養の判定をする場合に、収入とされるもの、されないものが重要になってきます。給与以外にも受け取るお金がある場合、年収に含まれるのでしょうか?また、諸手当は、給与に含まれるのでしょうか?
 
所得税の場合、給与には、残業手当や住宅手当、家族手当、通勤手当など諸手当が含まれます。ただし、通勤手当や日直手当などのうち一定額以下は非課税となります。非課税分は給与に含まれません。
 
また、失業保険の求職者給付を受け取っている場合、出産育児一時金や出産手当金の支給を受けている場合、育児休業給付金の支給を受けている場合、傷病手当金等、課税されないものについては所得税上の扶養に該当するかどうかの判定には合算されません。
 
住民税についても、所得税で非課税とされるため、翌年の住民税の算出時に収入とされません。
 
ところが、所得税上非課税でも、社会保険の扶養認定では収入とされます。扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。
 
社会保険の扶養について、非課税のために見落としてしまう収入に注意をしてください。
 
出典・参照
国税庁HP「No.2508 給与所得となるもの」
国税庁HP「No.1191 配偶者控除」
日本年金機構HP 「従業員が家族を扶養にするときの手続き」
日本年金機構HP「健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き」

 
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者

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