夫の扶養に入る?入らない?パート主婦が気を付ける「〇万円の壁」とは

配信日: 2019.05.20 更新日: 2024.10.10

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夫の扶養に入る?入らない?パート主婦が気を付ける「〇万円の壁」とは
子どもの進学などをきっかけに、「春から新しく働き始める!」という主婦の方も多いのではないでしょうか。パートで働く方にとって扶養に入るかどうかは、手取りの収入や将来の年金にも影響する、悩ましい問題です。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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そもそも「扶養」ってなに?

「扶養」とは、生活ができるよう誰かに支えてもらう、養ってもらうということです。扶養の状態にあると認められると、住民税や所得税、健康保険や年金などの負担が軽くなります。
 
どういう状態だと扶養と認められるのか、いくらくらい負担が軽くなるのか。その基準が、それぞれの税金や社会保険ごとに違うので、少しややこしいですね。
 
一般的によく言われる「〇万円の壁」は、養われている側の収入がそれを超えるか超えないかで、負担金額が大きく変わるボーダーラインのことです。
 
夫が自営業などで国民健康保険、国民年金に加入している場合は、制度上そもそもこの「扶養」という概念がありません。扶養に入るか入らないかを考えないといけないのは、夫が会社員や公務員の場合です。
 
※今回は「養う側=夫、養われる側=妻」としていますが、「養う側=妻、養われる側=夫」でも同じです。
 
また、「〇万円の壁」の金額は「給与所得のみの場合」なので、妻が自営業の方にはあてはまりません。もしパートのお給料以外の収入(たとえばメルカリなどのフリマアプリで収益がプラスになっていたり、株の配当を受け取ったり)があると、変わってくることがあります。
 

いっぱいある!?「〇万円の壁」

・年収100万円(月約8.3万円)

お住まいの自治体にもよりますが、だいたい妻のパート収入が100万円前後から住民税を支払う必要が出てきます。年間数千円ほど負担が増えます。

・年収103万円超(月約8.5万円)

ここから所得税の支払いも必要になってきます。以前は103万円を超えると配偶者控除(夫の税金負担が軽くなる制度)の対象外になってしまっていたのですが、2018年分からは150万円まで対象になるよう改正されています(ただし夫の年収が1220万円以下の場合に限る)。

・年収106万円以上(月約8.8万円)
・年収130万円以上(月約10.8万円)

 
ここが最も大きい「壁」です。健康保険と年金の支払いがスタートするのですが、これが年間20万円ほどになることもあり、なかなか重い負担です。この壁があるので、年収120万円で抑えた場合と、140万円まで頑張って働いた場合、140万円の方が少ない手取り額になってしまうことがあります。
 
106万円なのか130万円なのかは、お勤めの状況によって違います。以下の条件すべてにあてはまる方は106万円が壁になります。
 
(1)週の所定労働時間が20 時間以上
(2)1 年以上雇用される見込み
(3)賃金の月額が8.8 万円以上
(4)学生ではない
(5)勤務先企業の被保険者数が常時501 人以上(一部例外あり)

 
夫側の会社の制度で「扶養手当」「家族手当」がある場合、会社によりますがこのあたりから手当の対象ではなくなってしまう可能性があります。事前に規定を確認しておきましょう。

・年収150万円超(月約12.5万円)

この金額を超えても、急に負担が増えるわけではないのですが、夫の税金に対する負担軽減率がじわじわと下がっていきます。ただし、夫の年収が1220万円を超えている場合は、もともとこの負担軽減措置(配偶者控除や配偶者特別控除)を受けることができないので関係ありません。

・年収201万6000円以上(月約16.8万円)

ここまでくると、もう完全に扶養ではなく自力で生活しているとみなされます。支払い免除や各種控除などの負担軽減措置は、何もない状態になります。
 

結局、扶養に入った方がお得なの?

扶養に入った方が必ずしもお得とは言い切れません。扶養から外れると、たしかに税金や社会保険を自分で払う必要が出てきますが、その分将来もらえる年金額が増えるなどのメリットもあります。
 
年収130万円前後で「どうしても、今手取りが減ってしまうと生活がきつい…」という方でなければ、扶養を意識しすぎて必死に収入を抑える計算をするより、働けるならしっかり働いておくのがおすすめです。
 
家事や育児などとのバランスも見ながら、一度ご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか?
 
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
 

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