更新日: 2024.10.10 家計の見直し
【相談実例】資産形成をしたいが、毎月ギリギリの生活で何を始めたらいいのか・・
「私は40代の会社員です。そろそろ老後に向けて資産形成を考えていますが、毎月の収支がギリギリで貯蓄もさほど多くなく、資産形成に回すお金がありません。家計の見直しは、どこから手をつけたらよいでしょうか? 」
執筆者:下田幸彦(しもだゆきひこ)
ファイナンシャルプランナー(AFP)
ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員二種・FP事務所・青い森マネードクターズ 代表
青森県出身。大学卒業後IT企業に入社。金融系システム構築をきっかけにFP資格を取得。
保険ショップ店長、東証一部上場ハウスメーカー金融担当者を経て2016年独立。
10年にわたる保険業界と住宅業界の経験をもとに、保険などの金融商品を販売しない独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を重視した中立な立場のアドバイスを行っています。
個別相談を中心に企業や学校へのマネーセミナー、各メディアへのコラム執筆も担当。
FP事務所・青い森マネードクターズ公式運営サイト
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資産形成の第一歩は家計の見直しから
ご相談者は、40代のシングル女性の会社員。そろそろ老後に向けた資産形成を始めたいが、毎月のお給料から各種支払いや住宅ローンの返済をすると、ほとんど貯蓄や投資に回すお金が残らない状態です。
家計の見直しが必要と感じてはいるものの、何から手をつけたらよいのか分からず、ご相談にいらっしゃいました。
家計見直しは固定支出を先にチェック!
まずは、現状の家計の収支に改善できる部分がないかどうかの確認が必要です。
ご相談者の場合、家計の状況を詳しくお伺いしたところ、中古住宅購入時に組んだ返済期間の短いリフォームローンと、歯列矯正をするときに借りたカードローンがあることが分かりました。
さらに、生命保険は20代の頃から加入している大手保険会社のアカウント型保険で、2年前に新商品を勧められて乗り換えをし、解約返戻金の一部を取り崩して保険料に充当するという契約内容でした。
家計支出の割合が大きかったのが、通信費です。大手通信会社の「通話し放題プラン」に契約していて、端末代金も48回の分割払いになっています。他に、自動車ローンやガソリン代、食費などを差し引くとほとんど残りません。
今回のご相談者の場合、資産形成の前に家計の根本改善が必要と判断し、家計の固定支出を中心に以下の見直しを実行することとしました。
1、リフォームローンを住宅ローンへ借り換え
2、カードローンの借り換え
3、生命保険の見直し
4、自動車保険の見直し
5、火災保険の見直し
6、通信会社の見直し
「1、リフォームローンを住宅ローンへ借り換え」では、返済期間を現在よりも長くし、さらに金利を低く抑えることができました。
「2、カードローンの借り換え」も、返済期間を長くすることによって毎月の返済負担を抑えられるようになり、毎月の支払額から合計で約1万6000円軽減することができました。
さらに、「3、生命保険の見直し」では、独身であることや住宅ローン返済があることから、就業不能や入院時に備える保障を中心に、保障の目的別に保険商品を組み合わせた見直しを行いました。
見直し前の生命保険の解約により解約返戻金が10万円以上戻ったため、金利負担の大きいカードローンの返済が可能になりました。さらに、「5、火災保険の見直し」では、同内容の補償で保険料の安い会社の見積もりを取得し、乗り換えました。自動車保険も同様です。
「6、通信会社の見直し」では、格安スマホ会社一括比較サイトを利用し、ご相談者に有利な格安スマホ会社を選択。
乗り換え時は端末分割代金の残代金の一括支払いや2年契約の場合は違約金が発生しますが、6ヶ月程度で元が取れる計算です。格安スマホへ乗り換えた場合の毎月の通信費削減額は、約3000円となりました。
家計の固定支出を中心とした見直しで、支出額の削減効果は月額1万9000円となりました。
保険見直しのときは、保険金の請求忘れに注意。
家計の見直しでは、生命保険、火災保険、自動車保険の見直しを行うことがありますが、今の保険を解約する前に確認してほしいことがあります。
それは「保険金の請求忘れがないか? 」です。今回のご相談者の場合、火災保険と地震保険で未請求のものがあったため、請求を行っていただきました。保険の見直しをするときは「もらい忘れ」にも注意してください。
まとめ
資産形成をする資金が乏しく、どこから家計の見直しに取り組めばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。しかし、すぐに諦めず、上でお伝えした内容を参考に突破口を見つけてください。
自分で何から取り組めばよいのか分からない場合は、遠慮せずにファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも一つの方法です。
執筆者:下田幸彦(しもだゆきひこ)
ファイナンシャルプランナー(AFP)