更新日: 2021.08.16 家計の見直し

30代・40代 子育て世帯の家計の見直しポイントはどこ? FPが解説

執筆者 : 小山英斗

30代・40代 子育て世帯の家計の見直しポイントはどこ? FPが解説
30代・40代の子育て世帯は、教育費と住宅費の支出の割合が大きくなる時期です。
 
同時に老後の資金作りも気になり始める時期でもあり、さまざまな支出にバランスよく意識を向けながら、人生で何を大切に(優先)するかを考えながら家計を見直すタイミングといえます。
 
どんなことにお金を掛けるのか、掛けないのか、家計の見直しポイントと合わせて考えていきましょう。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
https://miraiken.amebaownd.com/

家計の見直しは生活費の把握から

家計の見直しをするためには、まずは生活費の内訳を把握することが大切です。この把握ができていない家庭が決して少なくはなく、また生活費の内訳を把握できていない家庭ほど必要な貯蓄ができていない傾向にあります。
 
家庭によって収入も違えば、生活費に掛ける支出ももちろん違います。それでも、一般的にどのくらいの生活費が掛かっているのかを参考にすることは、家計の見直しをする上での1つの目安になります。
 
総務省統計局による2020年の「家計調査(家計収支編)」によれば、2人以上の勤労世帯で世帯主が30代・40代の場合、1ヶ月の生活費(消費支出)の内訳は以下のようになっています。
 
ただし、こちらの住居費には住宅ローン返済分が含まれていないこと、また実家暮らしなどで家賃が掛かっていない世帯も含まれているため、実際の数字より少なく見えることに注意が必要です。
 

支出項目 30代 40代
食費(外食・酒代含む) 7万1380円 8万3011円
住居費(住宅ローン返済分除く) 2万3029円 1万6829円
光熱・水道費 1万9078円 2万1849円
家具・家事用品 1万3107円 1万3664円
被服費 1万1404円 1万2199円
医療費 1万1438円 1万1996円
交通費(自動車等関係費含む) 3万400円 3万4437円
通信費 1万3445円 1万6787円
教育費 8442円 2万4630円
教養・娯楽費 2万6055円 3万290円
その他(小遣い・交際費等含む) 4万781円 5万1982円
合計 26万8559円 31万7674円

※総務省統計局 「家計調査(家計収支編) 調査結果」より筆者作成
 
生活費の内訳を把握できていない人は、まずは生活費の支出を上記表のように分類し、支出を記録することから始めましょう。そうすることで、一般的な家庭と比較して支出が多過ぎる費用がないか見えてきます。
 

効果的な固定費の削減

生活費の把握ができたら、固定費の見直しから始めましょう。固定費は一度見直して支出を減らすことができれば、その分が変わらず続きますので、効果的な家計の見直し方法といえます。
 
見直しによる効果がすぐに表れるので、見直ししやすい固定費から少しでも早く手を付けることもポイントになります。
 
通信費(スマホやインターネットの料金)や生命保険料、あまり利用できていない会費制のサービス(例えばネット会員やトレーニングジムの利用料)などは見直しがしやすい固定費でしょう。
 
見直しの候補となる固定費をいくつか見ていきます。
 

通信費

スマホなどは大手キャリアから格安SIMを提供している業者に乗り換えることで、毎月の通信費を半分以下にできるケースもあります。
 
インターネット回線と合わせて契約を見直したり、家族で同じキャリアにしてデータ通信量を分け合うプランを検討するなど、家族全員で見直すことも効果的です。
 

保険料

生命保険なども、終身保険よりも掛け捨て型の定期保険や収入保障保険などで必要な保障を見直すことで、保険料を抑えることが可能かもしれません。
 
また、住宅ローンを組んで住宅を購入する場合は団体信用生命保険に加入するケースが多く、団体信用生命保険で保障がカバーできる部分も出てくることから、住宅購入の予定がある人は保険の見直ししはしておきましょう。
 
ただ、本当に必要な保障まで削ってしまわないことに注意が必要です。
 

住宅ローン

住宅ローンも見直しによって今よりも低い金利で借り換えできれば、月々の返済額を減らせたり、返済期間が短くなることで総返済額を抑えることができます。
 
よく住宅ローンの見直し条件の目安として「金利差1%以上、借入残期間10年以上、ローン残高1000万円以上」というのがありますが、これは借り換えに伴う諸費用を考慮したものです。
 
しかし、金利差が1%未満であってもメリットがあるケースもありますので、実際に試算してみることが大事です。
 

光熱費

以前は地域ごとに契約する電力・ガス会社が決まっていましたが、現在は電気やガスの小売業への参入が全面自由化されたことにより、契約する会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
 
これにより、例えば電気とガスを一緒に契約すると利用料金が安くなったり、さらにインターネットや電話回線もまとめて契約すると割引が適用されるプランもあります。
 
家庭に合ったプランを選べるようになり、光熱費の節約にもつなげられます。工事を伴わずに契約変更するだけで見直しできることもメリットです。
 

家賃や車にかかる固定費

家賃や車にかかる維持費は、これまで見てきたものとは違い、簡単に見直しできるとはいい難い固定費です。なぜなら、これらの見直しには生活スタイルの大きな変更が伴う可能性が高いからです。
 
家賃を抑えるため住居を変える、維持費をなくすため車を手放す、といったことは生活スタイルにも影響があります。しかしその分、固定費は大きく削減できる可能性があります。
 

大事なのは、いざというときの守りの貯蓄を確保できること

これまで固定費を見てきましたが、いわゆる食費などの変動費も節約することはできます。
 
ただ、食費や被服費、娯楽費などは、抑えることが「我慢」に直結する費目でもあります。日々の生活の楽しみを抑え過ぎてしまっても、その節約は長続きせず、生活も窮屈なものになります。
 
では、固定費だけでなく、食費などの変動費まで含めてどこまで見直しをすればいいのでしょうか?
 
家計の見直しをする上で1つ大事なのは、その見直しの目的をはっきりさせることです。やたらと見直しをして、可能な限り節約すればいいというものでもありません。日々の生活も大切にしながら、将来のための貯蓄もできるようバランスよく家計を見直しすることが大切です。
 
将来に必要な貯蓄(教育資金や住宅購入資金、老後資金など)は、家庭によってさまざまですが、もし今、生活費の1年分の貯蓄ができていないなら、まずは少しでも早くその貯蓄ができることを目標に家計の見直しをしてみてください。
 
万が一、収入が途絶えるようなことがあっても、その「いざというときの貯蓄」があることは生活の大きな安心につながるでしょう。
 

家計も予算化することが大切

家計の見直しをするのに決まった時期というのはありませんが、子どもの成長や仕事の変化などに伴って、家族の生活スタイルに変化が生じやすい30代・40代の子育て世帯は、想定外のこともより起きやすく、とりわけ家計の見直しが大切な時期といえます。
 
変化が生じやすいからこそ、その変化にしっかり対応するために家計の支出を予算化し、その予算内に支出が収まって生活できているかを定期的に確認することが大切です。予算どおりにいかない状態が続くようでしたら、再び家計を見直すようにしましょう。
 
出典
総務省統計局 家計調査(家計収支編) 調査結果
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)