30代の平均貯蓄額を調査!みんなどれくらい貯蓄している?

配信日: 2021.10.08 更新日: 2024.10.10

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30代の平均貯蓄額を調査!みんなどれくらい貯蓄している?
結婚や子育て、住宅購入や転職など、30代はライフスタイルに一番変化が生じやすい時期であるかもしれません。その分、家計にも変動が起きやすいといえます。そんな30代ではどれくらいの貯蓄があるのでしょうか?
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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30代の平均貯蓄額

厚生労働省が実施した2019年国民生活基礎調査によると、世帯主が30代の1世帯当たりの平均貯蓄額は約530万円、平均借入金額は約1071万円となっています。
 


出典:厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況
 
借入金額が貯蓄額を大きく上回っているのは30代で住宅購入をする人が多いことが大きな要因の1つであることがうかがえます。実際、金融広報中央委員会が2019年に実施した家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)によれば、金融資産残高が減少した理由として30代までに6割以上の世帯が土地・住宅購入費用の支出があったことを、その理由に挙げています。
 

世帯・年収別の平均貯蓄額

同じ30代でも世帯人数の違いや、年収にも差が出てくる時期でもあります。そこで、世帯別や年収別に貯蓄の内訳を見てみます。
 

世帯別平均貯蓄額

単身世帯と2人以上の世帯では貯蓄額にだいぶ開きがあるようです。これは2人以上の世帯では共働きの収入のある世帯が含まれることがその差の要因の1つのようです。
 


※金融広報中央委員会 2019年家計の金融行動に関する世論調査より筆者作成
 
上記表の数字は金融資産を保有していない世帯を含んだ数字となっていますが、金融資産を保有していないと回答した世帯の割合は、2人以上の世帯では約15.8%、単身世帯では約36.5%となっています。単身世帯で貯蓄ができていない割合が高いことも、2人以上の世帯と比べて単身世帯の貯蓄額が低い要因となっています。
 
なお、平均値と中央値の違いですが、平均値は貯蓄額の非常に多い一部の世帯に数字が引き上げられてしまう傾向があります。中央値は低い数字から高い数字までを順に並べたときに真ん中に位置する値です。そのため、中央値の方がより多くの人の実感としては近いかもしれません。
 

年収別平均貯蓄額

収入が多ければそれだけ貯蓄も多いでしょうか? 次に、年収別に平均貯蓄額を見てみます。
 


※金融広報中央委員会 2019年家計の金融行動に関する世論調査より筆者作成
 
調査に対する回答数が単身世帯と2人以上の世帯ではその分布に差があることが分かります。単身世帯では年収500万円未満に回答数が偏り、2人以上の世帯では300万円から750万円未満が回答の中心となっています。いずれの世帯でも年収の多さに応じて貯蓄も多い傾向にあることがうかがえます。
 
また、単身世帯と2人以上の世帯の世帯別で貯蓄額を比較したときは、2人以上の世帯の貯蓄額の方が多かったですが、世帯年収別に見たときは、年収500万円を越えてくると単身世帯の貯蓄額の方が2人以上の世帯の貯蓄額より多い結果となっています。これは2人世帯の方が収入の増加に応じて支出も増えやすい傾向にあるのかもしれません。
 

統計情報を見るときの注意点

今回は2019年に調査された数字で30代の平均貯蓄額について見てきましたが、金融広報委員会では2020年にも家計の金融行動に関する世論調査を実施していて、その数字もすでに公表されています。それでも、2020年の数字を参考にしなかったのは、2020年の調査にコロナ禍の影響があったためです。
 
2020年の調査はコロナ禍の影響によりその調査方法を従来の「訪問調査」を取り止め「郵送調査」のみとしたとあり、調査結果の回収率も25.7%と前回の40.3%から大幅に低下したとの報告がされています。また、これに伴い、回答世帯の属性に一定の変化が見られ、 その分調査結果にバイアスが生じている点には注意が必要ともあります。
 
同じようにコロナ禍の影響を受けた調査として、厚生労働省が家計の貯蓄額などを調査している国民生活基礎調査も2020年については新型コロナウイルス感染症への対応などにより中止となっています。
 
このように調査時点で起きた世の中の大きな出来事によっては、その調査結果が実態を必ずしも適正に反映していない可能性もあるので注意が必要です。
 
また、必要な貯蓄額というのは各家庭の状況・事情によりさまざまです。統計情報に見る数字はあくまで参考程度にとどめ、ライフプランニングなどで必要な貯蓄額の目標をしっかり立てるようにしましょう。
 
出典
厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和元年調査結果
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年) 各種分類別データ
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年) 各種分類別データ
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年) 設問間クロス集計
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年) 設問間クロス集計
厚生労働省 2020(令和2)年国民生活基礎調査の中止について
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
 

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