更新日: 2024.10.10 働き方

副業したときの残業代はどうなるの?

副業したときの残業代はどうなるの?
副業をするとき心配になることの1つに、「1日8時間を超えて働いたときに、ちゃんと25%割り増しした残業代がもらえるのだろうか?」ということがあるかもしれません。
 
25%割り増しした残業代をもらえるとして、「それは本業の会社か副業の会社のどちらが払ってくれるのだろうか?」と心配になりますね。その仕組みについて考えてみましょう。
北山茂治

執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)

高度年金・将来設計コンサルタント

1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。

人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。

HP: https://www.kitayamafpsr.com

労働時間を通算して残業代が払われる

労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されています。「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含むとされています。
 
ということは、時間的に先に労働契約を結んだ本業の企業(ここでは企業Aとします)と、時間的に後から労働契約を結んだ副業の企業(ここでは企業Bとします)の労働時間は通算されるということですから、1日の労働時間が8時間を超えた場合は、ちゃんと25%アップした残業代がもらえます。
 
では、どちらの会社が払ってくれるのでしょうか。時間的に後に労働契約を結んだ企業(企業B)が25%アップした残業代を払うことになります。
 
<原則的な労働時間管理の方法>
具体的にどのように労働時間を管理しているのか、具体例を見てみましょう。
 
企業Aの所定労働時間と企業Bの所定労働時間を通算し、時間外労働となる部分があるかを確認します。
 
所定労働時間を通算した結果、企業Aの労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、その超えた部分が時間外労働となり、企業Bが自社の労基法第36条第1項の協定(以下「36協定」という)で定めるところによって、その時間外労働を行わせることになります。
 


(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」)
 

副業をする前にすること

副業をする方は、その旨を本業の企業に届けましょう。届ける内容は、下記のようなものです。
 

■基本的な確認事項

1. 副業・兼業先の事業内容
2. 副業・兼業先で労働者が従事する業務内容
3. 労働時間通算の対象となるか否かの確認

 

■労働時間通算の対象となる場合に確認する事項

4. 副業・兼業先との労働契約の締結日、期間
5. 副業・兼業先での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
6. 副業・兼業先での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
7. 副業・兼業先における実労働時間等の報告の手続
8. これらの事項について確認を行う頻度

 
(出典:厚生労働省「副業・兼業」(※1))
 

労働時間の通算がされない場合

下記の場合は、その時間は通算されません。


・ 労働基準法が適用されない場合

 (例:フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)
 
・ 労働基準法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合
(例:農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度)

 

労働時間の通算がされない規程

時間外労働(労基法第36条)のうち、36協定により延長できる時間の限度時間(同条第4項)、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(同条第5項)については、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであり、それぞれの事業場における延長時間を定めることとなります。
 
また、36協定において定める延長時間が事業場ごとの時間で定められていることから、それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されません。
 
休憩(労基法第34条)、休日(労基法第35条)、年次有給休暇(労基法第39条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間および他の使用者の事業場における労働時間は通算されません。
 
(厚生労働省「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」より一部抜粋(※2))
 

副業をするときの留意点

副業をすると、就業時間が長くなる可能性があるので、自分自身による就業時間の管理や健康の管理が必要になります。働きすぎて体を壊さないよう十分注意しましょう。
 
(※1)厚生労働省「副業・兼業」
(※2)厚生労働省「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」
(出典)
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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