令和4年からアルバイトやパートの社会保険適用が拡大する? 私たちの生活にどんな影響があるのか教えて!

配信日: 2022.01.14 更新日: 2024.10.10

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令和4年からアルバイトやパートの社会保険適用が拡大する? 私たちの生活にどんな影響があるのか教えて!
社会保険の被扶養者でいるために、年収を130万円未満に抑えている方は少なくないのではないでしょうか。手取り収入を少しでも多くしたい方は、この「130万円の壁」を意識していることと思います。
 
しかし、令和4年10月以降、この「130万円の壁」の一部が壊されることをご存じでしょうか。令和4年10月から短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。
 
これにより、私たちの家計にはどのような影響があるのでしょうか。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

令和4年10月から健康保険・厚生年金保険の適用が拡大

先述のとおり、令和4年10月から短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。現行の制度との変更点は、以下のとおりです。
 

対象 要件 現行 令和4年10月以降
事業所 事業所の規模 常時500人超 常時100人超
短時間労働者 勤務期間 継続して1年以上使用される見込み 継続して2ヶ月を超えて使用される見込み

※日本年金機構 「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」より筆者作成
 
健康保険・厚生年金保険の適用要件は、今回変更のあったもの以外に、以下のようなものがあります。

●労働時間:週の所定労働時間が20時間以上
●賃金:月額8万8000円以上
●適用除外:学生(休学中や夜間学生は除く)

 

影響があるのは、これまで被扶養者だった方

今回の改正は、短時間労働者に係るものです。短時間労働者とは、パートタイマーやアルバイトの方のことをいいます。このうち、今回の改正により適用範囲内に変わる方は、健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられることになります。
 
健康保険・厚生年金保険への加入が義務付けられるということは、言い換えれば、これまで被扶養者だった方が、改正後には被保険者になるということです。
 

家計に与える影響

被扶養者だった方が被保険者になるということは、第3号被保険者から第2号被保険者になるということです。つまり、これまで支払っていなかった健康保険・厚生年金保険の保険料を支払わなければならなくなるということです。
 
例えば、事業所が東京にあって、毎月の給料が9万円の場合、健康保険料4330円、40歳以上であれば介護保険料792円、厚生年金保険料8052円の負担が生じることになります(令和3年3月分からの保険料)。つまり、社会保険料として1万3174円を支払う必要があり、手取り収入はその分少なくなります。
 
短期的には保険料の支払いが生じることによって手取り収入が減ってしまうので、損をした気分になるかもしれません。しかし、厚生年金保険に加入したことのメリットも忘れてはいけません。
 
公的年金は、第2号被保険者は国民年金(基礎年金)と厚生年金保険(厚生年金)ですが、第3号被保険者は国民年金のみです。第2号被保険者となることにより、老齢・死亡・障害への備えが手厚くなります。特に、平均寿命が高齢化している現在、厚生年金保険への加入により受給できる年金額が増えるのは、家計に良い影響を与えると考えるべきです。
 

まとめ

令和4年10月から短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されることにより、健康保険・厚生年金保険に加入する方が増えることになります。あなたが現在、配偶者の被扶養者である場合、社会保険に加入することによって家計に影響があるかもしれません。
 
短期的には保険料を支払うことによって手取り収入が減るといったマイナスの面に目がいってしまうかもしれません。しかし、長期的には厚生年金保険に加入することによって老齢・死亡・障害への備えが手厚くなるので、手取り収入が減ったからといって悪い影響があるというわけでもありません。
 
また、今回の改正で厚生年金保険に加入するのであれば、「保険の見直し」もしていただきたいと思います。社会保険は「保険」だからです。
 
そして、保険の基盤は社会保険(公的保険)です。今回の改正で、あなたが厚生年金保険に加入するのであれば、民間の保険の見直しもしてみてはいかがでしょうか。
 
出典
日本年金機構 「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 「従業員数500人以下の事業主のみなさま」
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 「パート・アルバイトのみなさま」
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 「配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま」
全国健康保険協会 「令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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