パートの平均収入はいくら? 注意すべきは106万円の壁と130万円の壁
配信日: 2022.01.29 更新日: 2024.10.10
さらに、パートタイム労働者の間でよく聞かれる103万円や、130万円など「〇〇万円の壁」について解説します。金額による違いをしっかりと理解しましょう。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
パートタイム労働者の平均時給と平均月収
厚生労働省が毎月発表しているデータ(※)によると、2021年11月のパート労働者の平均時給は1223円、月収は9万9281円となっています。
平均月収は、産業によって大きく異なります。2021年11月に最も月収が高かったパートタイム労働者は、電気ガス業で15万4244円、一方最も低かったのは、鉱業採石業で7万1046円となっています。
103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁って?
パートタイム労働者の間でよく使われる、103万円や130万円など「〇〇万円の壁」について、どのような違いがあるのかご存じでしょうか。これは、1年間の収入金額によって、税金や社会保険料の負担が発生するポイントとなる金額です。
まず、覚えておきたい3つの壁について確認しておきましょう。
<103万円の壁>
103万円を超えると、所得税がかかるようになります。例えば、収入が120万円の方の場合、所得税は8500円くらいです。所得税率は、所得の金額によって決まっています。
<106万円の壁>
パート先の会社が501人以上などの大企業で、勤務日数や勤務時間が長いパート主婦などの方の場合、年収が106万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険に自分で加入しなければならなくなります。
<130万円の壁>
106万円の壁に該当しない会社のパート主婦など、全てのパートタイム労働者が年収130万円を超えると、自分で社会保険に加入しなければならなくなります。
注意すべきは社会保険料を払うかどうか
パートタイム労働者の方が一番注意しておきたいのは、社会保険料を支払うかどうかの境界線となる、「106万円の壁」と「130万円の壁」です。社会保険料を自分で支払うようになると、手取り金額は年間約15万円から20万円くらい減ってしまう可能性があります。
社会保険料を自分で払いたくないと考えている場合、106万円や130万円を超えないように働き方を調整しなければなりません。
ただし、厚生年金制度に加入することができると、将来もらうことができる年金は大きく増えるので、一概に損をするわけではありません。106万円や130万円の壁を超えて働くことで、将来の年金を含め、家計の収入を大きく増やすことも検討してみましょう。
いかがだったでしょうか。生活スタイルなど、さまざまな理由でパートタイムで働いている方は、税金や社会保険料のポイントとなる「〇〇万円の壁」を意識している方も多いでしょう。今回ご紹介した内容を参考にしながら、昨年のパートタイム収入を見直して、将来に向けて今後どのような働き方をするのがよいのか、一度検討してみてはいかがでしょうか。
出典
(※)厚生労働省 毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者